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【裳華房】 メールマガジン「Shokabo-News」連載コラム 
裳華房 編集子の“私の本棚”

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第1回 編集者という職業に導いてくれた宝物

『なるにはBOOKS41 編集者になるには』(植田康夫 著,ぺりかん社)

 編集者のAです.私が編集者の道に進んだのは,ある一冊の本との出会いがきっかけでした.

 当時,大学で物理学を専攻していた私は,間もなく迎える就職活動を前に,「将来,自分はいったい何になりたいのだろう,何がしたいのだろう」と,日々悶々と悩んでいました.ただ,自分は地道にコツコツと進めていくような仕事が性に合うだろうなぁということと,本が好きだということ,そして,物理の知識を活かすことができる仕事がしたいなぁという漠然とした思いだけはありました.でも,まだそのときは,「よし! 編集者になろう」なんて考えは全くありませんでしたし,お恥ずかしながら,そもそも編集者という職種があることすら,あまりよくわかっていませんでした. 

 そんなある日,地元の小さな図書館で一冊の本と運命的な出会いをしました.それが,今の道に進むきっかけとなった,『編集者になるには』という本でした.当時は,まだ誰も借りた人がいなかったのか,手垢一つない,とてもきれいな本であったことを今でも鮮明に覚えています.

 刊行が古いせいか,残念ながら現在では書店で手に入らないようですが、自分の手元にある本を見ると,
 T 企画と創造に生きる
 U 編集者の世界
 V 編集者になるには
という3つの構成からなっていて,小社のような学術系の出版社をはじめ,いくつかの出版社を紹介しながら,実際にそこで働いている編集者の方々のインタビュー記事なども掲載し,出版社の業務や編集者の仕事について解説した内容となっています.

 私にとって特に参考になったことは,偶然にも,学術系の出版社の一つとして理工系の出版社が取り上げられ,学術書の編集者の仕事とやりがいについて紹介されていたことでした.学術書の出版では時には一冊の本を刊行するまでに10年単位の月日がかかることもあること,学術書の編集者は地道にコツコツと忍耐強く仕事を進めていくことが求められることなどが書かれていました.そして,本書を読み終えたとき,正直言って,理工書の編集者という職種が存在することにとても驚いたとともに,「これだ!」と,自分の進むべき道が見つかったと思いました.

 そんなわけで,物理の知識を活かしつつ,好きな本に創り手として携われる仕事があるということを教えてくれた本書は,私にとって単に想い出の一冊ということではなく,自分の将来をも決定づけるきっかけとなった,とても大切な宝物となっています.


【今回ご紹介した書籍】 
植田康夫 著『なるにはBOOKS41 編集者になるには
   B6判/180頁/定価(本体1068円+税)/1981年発行/ぺりかん社/ISBN978-4-8315-0289-6(版元品切れ中)

「裳華房 編集子の“私の本棚”」 Copyright(c) 裳華房,2013
Shokabo-News No. 287(2013-4)に掲載 


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