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【裳華房】 メールマガジン「Shokabo-News」連載コラム 
裳華房 編集子の“私の本棚”

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第18回 分子調理とは――「ちょっと食べてみたくなりませんか?」

『料理と科学のおいしい出会い』(石川伸一著,化学同人)

 新米編集者Fです。
 突然ですが、タイトルにある「分子調理」という言葉をご存知でしょうか? 私は本書を通して初めて知ったのですが、国内外にはミシュラン三ツ星を獲得している「分子調理レストラン」があるそうで、とても驚きました。今回は、近年注目されている分子調理の入門書をご紹介します。

 分子調理とは、物理・化学・生物・工学のような“サイエンス”を取り入れて、よりおいしい料理を開発することをいうそうです。その格好の例として、本書では「京の料亭『菊乃井』の田村吉弘さんのエピソード」を取り上げています。以下に少しご紹介します。
 和食の要である昆布ダシについて、研究者らによる実験で「昆布のうま味成分を最大限に抽出するには60℃で1時間加熱するのがいい」という結果が出ました。田村さんはこの実験結果をもとに、これまで伝統的に行ってきたダシの引き方を変更したところ、従来よりもおいしいダシがとれたと語っています。いわば、分子調理とは「科学者」と「料理人」による“おいしい料理の研究開発”です。

 本書は、分子調理の歴史や最先端の技術だけでなく、ヒトの味覚や嗅覚などの専門的な内容も含まれており、少し難解に感じるかもしれません。しかし、とりあげられている料理の数々がなんともおいしそうで、不思議とスイスイ読めてしまいます。
 特に最終章で登場する“超料理”には食欲をそそられました。この章では、読者の皆様もお好きであろう「ステーキ」「おにぎり」「オムレツ」の三つを、最先端の研究や技術を駆使して“超おいしくする方法”を著者が考案しています。あまり詳しくは書けませんが、ステーキであれば、牛を育てるところから、肉の熟成、焼き方までこだわります。新しい技術の登場を待たねば実現できない部分はありますが、「一体どんな味がするのだろう?」「将来、口にする可能性があるかも!」と、かなりワクワクさせられました。

 「食」の見方が変わる一冊だと思います。食欲の秋、食べるだけでなく料理と科学のおいしい関係についても考えてみてはいかがでしょうか。


【今回ご紹介した書籍】 

料理と科学のおいしい出会い −分子調理が食の常識を変える− 
  石川伸一 著/B6判/224頁/定価(本体1700円+税)/2014年6月発行
  化学同人/ISBN978-4-7598-1359-3
  http://www.kagakudojin.co.jp/book/b177763.html


「裳華房 編集子の“私の本棚”」 Copyright(c) 裳華房,2014
Shokabo-News No. 304(2014-10)に掲載 



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