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【裳華房】 メールマガジン「Shokabo-News」連載コラム 
裳華房 編集子の“私の本棚”

禁無断転載 → 裳華房メールマガジン「Shokabo-News」

第24回 カフェの経営に学ぶ

『カフェを100年、続けるために』(カフェ・バッハ 田口 護 著,旭屋出版)

 編集者のAです。今年は、およそ300年前に裳華房が仙台の国分町にて創業し、その後、東京の日本橋にて開業してから120年という節目の年。現役の社員として、この記念すべき年を迎えることができたことはとても喜ばしいことですし、これまで支えてくださった読者の方々、先生方、そして、歴代の先輩諸氏に感謝しなくてはいけないと、改めて思いました。

 そんな思いの中、地元の書店で偶然にも嬉しい出会いがあって迷わず買ってしまったのが、コーヒー好き、カフェ好きの間ではあまりにも有名な「カフェ・バッハ」の田口氏が執筆した、『カフェを100年、続けるために』です。

 本メールマガジンの読者の中にも、コーヒー好きな人、カフェでのんびりとした時間を過ごしたり、仕事をしたりすることが好きな人がたくさんおられると思いますが、その熱烈なファンであれば、「カフェ・バッハ」の名前は、一度は耳にしたことがあるのではないかと思います(もちろん、実際に行かれたことがある方も大勢おられるかと思います)。

 さて、本書は、田口氏がご夫婦で始めた小さな喫茶店「カフェ・バッハ」40年のストーリーを通して、経営を長く続けていくために大切なことや、カフェの素晴らしさを綴ったものとなっています。私は時間が経つのも忘れて一気に読んでしまいましたが、特に、“経営を長く続けていくために大切なこと”について書かれた部分は、私にとって、とても得るものがありました。

「今のカフェ・バッハのコーヒーは、お客様によって味が磨かれ、お客様と共に成長し、お客様によって完成していったように思います。」

 本だけではありませんが、すべての商品の評価は相対的なものであり、絶対的なものではありません。同じ本でも、ある方は良いといい、またある方は良いと言わないこともあります。そのため、「こうすれば誰からも良いと言われる商品になる」というような公式や魔法のようなルールはありません。でも、その商品がターゲットとする方々にとって、少しでも良いと感じてもらえるものを目指したい。だからこそ、発売した商品に対していただく様々なご意見は、その商品を改善したり、次の商品を作る上でとても大切なものとなってきます。
 まさに、出版にも通じる言葉だと思いましたし、いまの裳華房も、そうして形づくられてきたのではないかと思っています。

「みなさんに目指して欲しいのは、一等立地に店を出すのではなく、店を開いた場所でがんばって、そこを一等立地にすることです。」

 まだ類書がほとんどない分野(未開の地)を開拓し、その分野の出版において一目置かれた存在になることはとてもハードルが高いことですが、編集者としては、それだけやりがいがあることだと思います。

「・・・失敗にも無駄なものと、そうでないものがあります。
無駄な失敗とは、思い込みでする失敗です。・・・
その反対に、論理的に取り組んでする失敗は、その人の経験になります。」

 この言葉には、自分自身、思い当たることもあったりします、この4月から新社会人になった方もおられると思いますが、ぜひ、田口氏の言葉を頭の片隅にでも入れておいていただければと思います。

 本書はカフェの経営という、出版とは畑違いの話ではありますが、分野を超えて参考となる、そして学ぶべきことが多い言葉がたくさん綴られた、素晴らしい一冊だと思います。


【今回ご紹介した書籍】
『カフェを100年、続けるために』
  カフェ・バッハ 田口 護 著/A5判/224頁/定価(本体1300円+税)
  2010年12月発行/旭屋出版/ISBN978-4-7511-0906-9
  http://asahiya-jp.com/scb/shop/shop.cgi?No=658


「裳華房 編集子の“私の本棚”」 Copyright(c) 裳華房,2015
Shokabo-News No. 310(2015-4)に掲載 



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