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【裳華房】 メールマガジン「Shokabo-News」連載コラム 
裳華房 編集子の“私の本棚”

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第25回 江戸時代の「数学女子」!?

『算法少女』(遠藤寛子著,ちくま学芸文庫)

 読者の皆様、こんにちは。編集子のHです。

 当たり前ですが、「理系」の多い我が会社。
 数少ない「文系」の私は彼等・彼女等に対し、尊敬とほんの少しの畏れを持ちつつ、日々を過ごしています。そんな私にとって「理系女子」、中でも「数学女子」は憧れです。

 憧れの「数学女子」が江戸時代にもいた!という驚きを与えてくれる書籍をご紹介いたします。遠藤寛子著『算法少女』です。

 この本は、安永4年(1775)に刊行された和算書『算法少女』に想を得て書かれた書籍です。著者の「あとがき」に拠りますと、和算書『算法少女』は、日本で明治維新前に女性の関わった唯一の書として、和算の研究者の間では知られていた書籍だそうです。
 ただ、この和算書の作者については、町医者とその娘であること以外の史実が分かっておらず、遠藤氏が「では、どういう娘が書いたのか?」を膨らませて描き出したのが、現在刊行されている『算法少女』です。

 町医者の父から算法の手ほどきを受けていた娘あきは、ある日、観音様に奉納されていた算額の誤りを指摘しました。その出来事を聞いた久留米藩主が、あきを姫君の算法指南役に抜擢しようとしますが、何とライバルが出現……。

 物語の中で主人公あきが算法と真摯に向き合い、算法で自身を前に進めていく様はまさに私の理想の「数学女子」です。
 少年少女向けとして書かれた書籍ですので読みやすく、意地悪な敵役、助けてくれる大人たち、同じ年頃のライバル(武家の娘)、といった人々が物語を彩ります。戦いの後の友情もあり──というと何だか「少年ジャ○プ」のようですが、やはりマンガ界はこのお話を見逃さず(←さすがです)、現在、秋月めぐる氏によってマンガにもなっています。
 マンガのほうは、物語に出てくる算法の図が大きく載っており、また解法の丁寧な解説もついていますので、実際問題を解いてみたい方は、こちらもお薦めです。


【今回ご紹介した書籍】
『算法少女』
  遠藤寛子 著/文庫判/272頁/定価(本体900円+税)/2006年8月発行
  筑摩書房 ちくま学芸文庫/ISBN 978-4-480-09013-3
  http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480090133/
マンガ『算法少女1』
  秋月めぐる 画,遠藤寛子 原作/A5判/180頁/定価(本体933円+税)
  2012年9月発行/リイド社/ISBN 978-4-8458-4210-0
  http://www.leed.co.jp/book/b1221.html

※いずれも電子書籍も発売されています。
※本文中で紹介されている和算書『算法少女』は,国立国会図書館のデジタルコレクションで閲覧することができます.
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3508165


「裳華房 編集子の“私の本棚”」 Copyright(c) 裳華房,2015
Shokabo-News No. 311(2015-5)に掲載 



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