雑誌『生物の科学 遺伝』 1997年4月号(51巻4月)
B5判 112頁 



【特集1 花の形のできかた/高辻博志 企画】
    植物の中で最も人の関心を集める部分“花”.その形態も実に多様で,絢爛豪華な花弁をつけるものもあれば,ひっそりと目立たぬ花もある.花の形はどのようにできるのか.花を咲かせる遺伝子,花の器官の数・並び方に関する遺伝子,さらに花弁表面の微細構造にかかわる遺伝子など,急速に集まりつつある「花の形のできかたを分子の言葉で語るための材料」とその働きを巡る研究を紹介する.

    花と花序の構造(西野栄正)
    花を咲かせる遺伝子(荒木 崇)
    花の器官の並ぶメカニズム―ABCモデル(工藤光子・後藤弘爾)
    花びらの数が決まるしくみ(高辻博志)
    細胞の形態によって変わる花色(野田健一)
【特集2 生物模倣工学の展望/松永 是 企画】
    生物のしなやかな動き,すぐれた感覚器の働きなど,生物の機能を工学的に“真似る”ことをわれわれ人類は夢見てきた.そしていま,生物の機能だけを真似るのではなく,その機能を実現するためのパーツそのものを分子レベルで真似ようとする研究が始まっている.ヒトは果たして“生物”そのものを作りだすことができるのだろうか.

    生物模倣工学の新たな流れ―機能の模倣から分子レベルの模倣へ(松永 是)
    天然酵素の人工的な模倣―分子設計から応用まで(浅沼浩之・小宮山 真)
    バイオミネラリゼーションによる人工骨の設計(小久保 正)
    人工筋肉とソフトマシーン(西野政彦・長田義仁)
    ロボット工学者から見た生物模倣工学(広瀬茂男)
【今月の解説】
    多種共存系としての植物群落の生産構造(広瀬忠樹)
    性差や人種からみた脳梁(俣野彰三)
    実験形態学から分子発生学への橋渡し―ニュークープ博士の業績(中辻憲夫)
【トピックス】
    幸福遺伝子??(中込弥男)
    第4回コスモス国際賞 ジョージ・B.シャラー博士に(日高敏隆)
    ローマ法王“進化論を認める”(青木 清)
【連 載】
    連載エッセイ・自然と私/美観が大切(酒井正樹)
    植物文化史/スイートピー−蝶の舞(臼井英治)
    江戸東京の自然誌/白鷺の舞と浅草寺(唐沢孝一)
    実験・観察のページ/ゴカイの飼育と実験・観察(苗川博史)
    ヒトの遺伝をめぐる12の疑問/遺伝で決まること,決まらぬこと(中込弥男)
    海の向うのワンダーランド−海外調査こぼれ話/コーヒーの国ブルー・マウンテンでの採集―ジャマイカ(山崎柄根)
    実験生物ものがたり/細胞性粘菌―Dictyosterium(前田みね子・竹内郁夫)
    私のメモ/ヒガンバナの繁殖―35年目の株を掘る(松江幸雄)
    生物ライブラリー/植物の名前のつけかた・続 大いなる仮説・ 脳・神経と行動 ・遺伝子をめぐる諸問題



         

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