雑誌『生物の科学 遺伝 2002年3月号(56巻2号)
B5判/112頁/

【特集 生物地理学,分子生物学と出会う −生物地理学の新展開/太田英利 企画】
     生物が示すさまざまな分布のパターンに関する研究は,分類学や地史学と結びついた歴史の古い学問である.この生物地理学のうち,とくに系統地理学分野では,近年,発展の著しい分子生物学的な手法が取り入れられ,生物種間の系統関係や地理的隔離の年代などの推定に威力を発揮している.この新しいツールの導入により,従来の仮説の検証や新しい仮説の提出が蓄積されつつある.新たな局面を迎えた生物地理学の現状を,日本にすむ動植物の研究例をあげて紹介する.
    生物地理学,分子生物学と出会う −特集にあたって(太田英利)
    爬虫類・両生類・陸水魚類が語る琉球の古地理(太田英利)
    ウグイスの種内系統と生物地理(梶田 学)
    ヒグマは三度,北海道に渡って来た(増田隆一
    じつは大陸で分かれた北と南のニホンジカ(玉手英利
    日本産野生ネズミ類の起源と地理的変異(鈴木 仁
    干潟の巻貝に記録された海洋環境変動(小島茂明東京大学海洋研究所)
    DNAが語る日本列島のオサムシの分化(曽田貞滋
    DNAが語るギフチョウの起源と個体群の分化(渡辺一雄)
    高山植物は北方由来?(藤井紀行)
    南西諸島を通って南から来た植物たち(瀬戸口浩彰)
【トピックス】
    ウィッティントン博士,第17回国際生物学賞を受賞(大路樹生)
    細菌ゲノムとヒトゲノムの間で遺伝子の水平伝達は起こったのか?(早川敏之
    体内時計の時刻を調節する遺伝子の発見(岡野俊行・深田吉孝)
    ニコライ二世の遺骨をめぐるDNA鑑定のゆくえ(赤根 敦)
    赤ワインは心臓発作を防ぐ(中込弥男)
【連 載】
    表紙によせて/衣替え(今泉真也)
    ウチの目玉収蔵品 紹介(5)/
      豊橋市自然史博物館
      東海大学海洋科学博物館
    生き物の不思議(2)/拡がる雑種タンポポ(芝池博幸・森田竜義)
    万里同符−トロイカエッセイ/教育と脳科学(澤口俊之)
    かたちと遺伝子(2)/
      ティラノザウルスの作り方 −ゲノムと発生と進化の悩ましい問題 その1倉谷 滋
    環境保全の現状(25)/
      ヤマネの保護の現場から −清里ヤマネブリッジの設置湊 秋作
    研究室・研究所めぐり(38)/
      早稲田大学・人間科学部・人間基礎科学科・遺伝学研究室(従二直人)
    実験・観察のページ(291)/メダカは磁気を感じるか?(大高 舞・小田切秀穂
    がんばれ 生物クラブ(5)/
      千葉県立小金高等学校 −学校ビオトープにおける活動(川北裕之
    生物ライブラリー/
      『ヒトゲノムの光と影
      『花と昆虫,不思議なだましあい発見記』
      『日本帰化植物写真図鑑』
      『図説 植物用語事典』
      『栽培植物の自然史』



         

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