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裳華房メールマガジン (Shokabo-News)
バックナンバー(No.297;2014年3月号)

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆   Shokabo-News No.297                2014/3/4   裳華房メールマガジン 2014年3月号   http://www.shokabo.co.jp/m_list/m_list.html ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今回のご案内 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ◇ 近刊    粟野一志・P川 透 共編『少しはやる気がある人のための             自学自修用 有機化学問題集』    武村政春 著『ベーシック生物学』  ◇ 松浦晋也の“読書ノート”(12)    レイモンド・スコットの赤ちゃん向け音楽  ◇ 裳華房 編集子の“私の本棚”(11)    畑村洋太郎 著『畑村式「わかる」技術』(講談社現代新書)  ◇ 最近の話題    「GPM主衛星」打ち上げ成功 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ Shokabo-News 会員の皆様  配信が1日遅れましたが,Shokabo-News 2014年3月号をお届けいたします.  ご存知の通り,4月1日より消費税率が5%から8%に変わります.  裳華房に直接ご注文いただく場合,3/31までのご注文に関しては本体価格+ 税率5%の価格, 4/1からのご注文に関しては本体価格+税率8%の価格にな りますので,ご留意ください.  また,裳華房ホームページ内の各書籍の価格表示について,ページによって は表記の切り替えに時間のかかる場合がありますので,悪しからずご了承くだ さい.  さて,今月のShokabo-Newsでは,4月の近刊2点のほか,連載12回目となる 「松浦晋也の読書ノート」では1月号の電子音楽の話から続く“特別編”とし てCDをご紹介します.また,「裳華房 編集子の“私の本棚”」では畑村洋 太郎著『畑村式「わかる」技術』(講談社現代新書)を,不定期連載「最近の 話題」では2/28に打ち上げが成功した「GPM主衛星」を取り上げました.  なお「裳華房の“古書”探訪」は今号も休載させていただきます.  ご意見・ご感想を m-list@shokabo.co.jp までお寄せいただければ幸いです. (Twitterをお使いの方はアカウント @shokabo まで)  ※書籍の価格は,定価(税込)ではなく本体価格表示にしています.  ★ お知らせ ★ 1.「大学・短大・高専用教科書のご案内」   http://www.shokabo.co.jp/text.html 2.【講義担当の先生方へ】講義用 教授資料のご案内   http://www.shokabo.co.jp/textbook/text-tm.html 3.訂正表・正誤表や新しい演習問題など「書籍のサポート情報」.   http://www.shokabo.co.jp/support/index.html ─────────────────────────────────── 【裳華房 新刊一覧】 http://www.shokabo.co.jp/book_news.html 【ご購入のご案内】  http://www.shokabo.co.jp/order.html ─────────────────────────────────── ★★★★★★★★★★ 近 刊 案 内 (4月刊行予定) ★★★★★★★★★★ ◆ 『少しはやる気がある人のための    自学自修用 有機化学問題集』 http://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-3501-4.htm 粟野一志・P川 透 共編/B5判/250頁/本体3000円+税/2014年4月/ 裳華房/ISBN978-4-7853-3501-4 (4月刊行予定) 全国の大学3年編入学試験問題を中心とした多数の問題を,一般的な有機化学 の教科書の章立てにあわせて編集した.ごく基本的なものから応用力を試され るものまで多彩な問題が集められ,また各問題にはヒントおよび丁寧な解説が ついている.大学1,2年生および高専生の自学自修用に最適な問題集である. 【主要目次】【問題・ヒント編】1.化学結合、構造、物理的性質、命名法など  2.アルカン 3.アルケン・アルキン 4.芳香族 5.ハロゲン化アルキル  6.アルコール・エーテル 7.カルボニル化合物 8.カルボン酸誘導体 9. アミン 10.糖類(炭水化物) 11.アミノ酸・タンパク質 12.生化学 13. 立体化学 14.高分子 15.工業化学 16.化学用語の説明 17.総合問題  【解答編】(「問題・ヒント編」に同じ) ◆ 『ベーシック生物学』 武村政春 著/B5判/2色刷/予220頁/裳華房/ ISBN978-4-7853-5228-8 (4月刊行予定) 大学の一般教養などで用いられる生物学の教科書・参考書.高等学校で学ぶ生 物(『生物基礎』『生物』)の内容を一通り網羅しながら,社会人として必要 と思われる(とりわけ人間自身に関する)内容をプラスして記述.また,生物 学の発展に寄与した研究者の業績,とりわけ日本人研究者の貢献も数多く紹介. 【主要目次】1.生物と生物学 2.細胞・生体構成物質とエネルギー 3.遺 伝子とそのはたらき 4.動物の生殖と発生 5.ヒト(動物)の器官とそのは たらき 6.植物のしくみ 7.老化・寿命とヒトの病気 8.進化の歴史とし くみ 9.生物の系統と分類 10.生物多様性と生態系 ─────────────────────────────────── 【裳華房 分野別書籍一覧】 http://www.shokabo.co.jp/mybooks/0000.html 【正誤表などサポート情報】 http://www.shokabo.co.jp/support/ ─────────────────────────────────── ★★★★★ 【連載コラム】松浦晋也の“読書ノート” (第12回) ★★★★★ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  ノンフィクション・ライター/サイエンスライターの松浦晋也さんと鹿野司 さんに,お薦め書籍や思い出の1冊,新刊レビュー等をご執筆いただきます. 今月号のご担当は松浦晋也さんです.  ・バックナンバーはこちら→ http://www.shokabo.co.jp/column/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ◇ レイモンド・スコットの赤ちゃん向け音楽 ◇  前回(Shokabo-News 2014年1月号)、「1960年代半ばあたりから、芸術音楽 で開発された様々な手法がポピュラー音楽に流入しはじめる(例えばビートル ズの「アイ・アム・ザ・ウォルラス」など)。」と書いた。自分で書きつつ、 「そんな簡単なことでいいのかな」と疑問を持っていたことを告白しよう。技 術というのは、それに触れる人すべてに等しく恩恵をもたらす。ならば、芸術 音楽と並行してポピュラー音楽でも、新技術の影響を受けて電子音楽を指向す る動きがあっておかしくはない。  調べてみたら果たして、そのような動きは存在した。実際問題として芸術音 楽とポピュラー音楽の境界は曖昧なものだから、どっちがどうだときっちりと 区分できるわけではないのだけれど(あなたはご存知だろうか。武満徹[1930 〜1996]亡き後、芸術音楽の最長老として尊敬を集めている湯浅譲二[1929〜] が、同時に童謡「はしれちょうとっきゅう」の作曲者であることを)、ポピュ ラー音楽では独自の展開があったことが分かったので、今回はそのポピュラー 音楽と技術の関係を書いていくことにしよう。  そこには、レイモンド・スコット(1908〜1994)という鬼才が存在した。  ポピュラー音楽における新技術は、まずマイクとアンプとスピーカーという 形をとって現れた。20世紀初頭まで、「歌う」とは自分の身体を楽器と化すこ とに他ならなかった。大きな劇場の隅々まで声を届かせたければ、自分の身体 を共鳴体として響かせるしか方法はない。そのための究極の技法というべき発 声法が、イタリア・オペラで完成したベル・カント唱法であり、これは今も芸 術音楽の世界では普遍的に使われている。  そこに20世紀に入ると、「電気的に声を増幅する技術」というものが入って くる。1904年、真空管が発明される。最初の真空管はオン・オフをするだけの 二極管だったが、翌年には電気信号の増幅が可能な三極管が開発された。もち ろん、最初の問題意識は無線通信などの微弱な電気信号を増幅できないかとい うことだったのだが、ここで「電気を使って音を増幅する」というアイデアを 持ち込む者が現れた。1911年には最初のスピーカーが発明され、その4年後の 1915年には早くも最初の拡声装置が試作された。  当初拡声装置は、政治家の演説や野球の解説を野球場全体に響かせるといっ た、話し声の拡大に使われた。現在、コンサートで使う拡声装置もひっくるめ てPAと呼ぶが、これはPublic Adress system(公衆伝達システム)の略である。 初期のPAは音質も悪かったので、音楽向きではなかったのだ。  しかし、ラジオでは盛んに音楽が放送されるようになり、演奏家はだんだん とマイクに向かって歌ったり演奏したりすることに慣れていった。やがて1920 年代、巨大な革命が起きた。「身体を共鳴器として使い、声を張り上げる歌唱 法」から「拡声装置の使用を前提に、マイクに向かって歌う歌唱法」への転換 だ。  最初にこの歌い方を始めたのは、アメリカのジャック・スミス(1898〜1950) という歌手だった。彼は、あまり声量がなかったので、拡声器を使うようにし たところ、耳元でささやくようなニュアンス豊かな歌い方が女性に受けて一気 に人気歌手となった。  が、マイクを使う歌唱法を完全に使いこなし、一般化したのは、名曲「ホワ イト・クリスマス」で知られるビング・クロスビー(1903〜1977)だ。彼の歌 い方はクルーナー・スタイルと呼ばれ、一世を風靡した。現在、「歌う」とい うと大抵の人はマイクを持つ真似をするが、その源流はビング・クロスビーに ある。  こうしてポピュラー音楽の世界では1930年代以降、生演奏のバンドに拡声装 置を使う歌手という編成が一般的になっていった。楽器への拡声装置の適用も 1930年代から実験的に始まる。1950年代になるとロックンロールと共にエレキ ギターが爆発的に普及し、やがてポピュラー音楽はPAなくしては考えられない ようになっていく。ゆっくりと、「音楽には電気を使うのが当たり前」になっ ていったのだ。  レイモンド・スコットは、1930年代初頭、つまりポピュラー音楽の世界に電 気がどんどん浸透してきた時期からジャズ・ミュージシャンとして音楽活動を 開始している。1936年には「レイモンド・スコット・クインテット」を結成。 当時はかなりの人気を誇ったようだ。  じつは彼の音楽は、非常に面白い形で我々の耳に届いている。1943年、彼は 自作を利用する権利を映画会社のワーナーブラザーズに売却した(どうも、時 期的に電子楽器の研究資金を調達するためではないかと思われる)。するとワ ーナーでアニメーションのための音楽を作曲していたカール・スターリング (1891〜1972)が、ことのほかスコットの曲を気に入り、ワーナーのアニメの ための音楽で盛んに使用したのである。結果、「バックスバニー」を初めとす るワーナーのアニメではスコットの作品が何度も使われるようになった。私も あなたも、意識することなく幼少時にレイモンド・スコットの音楽に触れてい たわけだ。  もともと電気工作が趣味だったスコットは、1940年頃から「電気回路を使っ た楽器や音楽」に興味を示し始める。最初は屋根裏部屋の趣味程度だったもの が、第二次世界大戦後の1946年には電子楽器開発のための会社、マンハッタン ・リサーチ社を設立し、音楽活動の傍ら、本格的に電子楽器開発にのめり込ん でいった。  1948年に最初の電子楽器「カーロフ」を製作、1952年には現在のシンセサイ ザーの直接の先祖と言える電子楽器「クラヴィボックス」を製作、翌1953年に はクラヴィボックスを自動演奏する装置「シーケンサー」を発明。1954年には、 後にモーグ・シンセサイザーを開発することになるロバート・モーグ(1934〜 2005)と出会い、共同研究をスタートさせている。1963年にはドラムセットを 模擬し、自動演奏するドラムマシンを発明した。つまり、シンセサイザー、シ ンセを自動演奏させるためのシーケンサー、リズムの基礎を作るドラムマシン という、現在のポピュラー音楽では必須の機器を、ひとりで開発してしまった のである。ただし、彼は商品開発者としてはあまりに気宇壮大で、しかも飽き っぽかったらしい。彼の発明品は商品にはならず、もっぱら自身の音楽活動の ための道具として使用された。  ここで重要なのは、彼は発明家ではなく、作曲し、演奏する音楽家が本業だ ったということだ。彼は自らが製作した電子楽器を使用し、コマーシャル音楽 を初めとした商業音楽を作り、さらには新しい楽器のための新しい音楽を作曲 し、録音した。  というわけで、今回は“読書ノート”というタイトルから離れて、本ではな くアルバムを紹介する。  1963年、レイモンド・スコットは3枚のアルバムを発表した。タイトルを “Soothing Sounds for Baby(赤ちゃんのための聴きやすい音)”といい、そ れぞれ“Vol.1 1ヶ月から6ヶ月向け”“Vol.2 6ヶ月から12ヶ月向け”“Vol. 3 12ヶ月から18ヶ月向け”と題されている。なんと彼は、自分が開発した新 しい楽器のための新しい音楽として、「赤ん坊が喜んで聴く」ことを目指した 実用音楽を書いたのだった。  さらに驚くべきことにこの3枚のアルバムで、彼はクインテットを組んで作 曲・演奏していたようなダイナミックで情動的な曲ではなく、シーケンサーを 利用した、繰り返しの多い静的な音楽を展開していく。響きは薄く、3つ以上 の音が同時に鳴ることはほとんどない。電気回路が作り出す新しい音色を、心 ゆくまで聴いてくれと言わんばかりだ。  おそらく発想として一番近いのは、フランスの作曲家エリック・サティ (1866〜1925)が提唱した「家具の音楽」だろう。なにを表現するということ もなく、家具のように傍らにある音楽だ。また響きとしては、後のクラフトワ ークやイエローマジックオーケストラが展開したテクノポップを15年以上先取 りしている。  ロバート・モーグが最初のモーグ・シンセサイザーを公開したのが1964年、 それを使ってワルター・カーロス(1939〜:後に性転換手術を受け、ウェンデ ィ・カーロスとなった)がアルバム「スイッチト・オン・バッハ」を制作し、 世にシンセサイザーという楽器を広く知らしめたのが1968年。つまり、レイモ ンド・スコットは、シンセサイザーがまだ未来の楽器であった時点で、自ら音 楽家であり同時に発明家でもあるという利点をフルに生かして、未踏の表現領 域に切り込んでいったのである。前回取り上げた芸術音楽における電子音楽が、 作曲家と技術者の共同作業という形で進展したのと対照的である。  どんどんと一人で先に進んでいたレイモンド・スコットだが、生前はその電 子音楽が高く評価されることもなく、1994年に85歳でこの世を去った。しかし、 今やその先進性が見直され、徐々にリバイバルしつつある。現在、“Soothing Sounds for Baby”はアマゾンなどでCDを入手することができるし、彼が1950 〜60年代にかけて行った様々な音楽的実験は“Manhattan Research Inc.” と いう2枚組CDにまとめられている。この小文で興味を持ったなら、是非とも 聴いてみてほしい。 【今回紹介したCD(輸入盤)】 ◆“Soothing Sounds for Baby: Electronic Music By Raymond Scott”    Vol. 1 (0-6 months) ,Vol. 2 (6-12 months) ,Vol. 3 (12-18 months)   レーベル:Basta/各8.95ユーロ   http://www.bastamusic.com/product/raymond-scott-soothing-sounds-for-baby-vol-1-0-6-months   http://www.bastamusic.com/product/raymond-scott-soothing-sounds-for-baby-vol-2-6-12-months   http://www.bastamusic.com/product/raymond-scott-soothing-sounds-for-baby-vol-3-12-18-months ◆“Raymond Scott - Manhattan Research Inc.”   レーベル:Basta/28.95ユーロ   http://www.bastamusic.com/product/raymond-scott-manhattan-research-inc 【松浦晋也さんのプロフィール】 ノンフィクション・ライター.1962年東京都出身.現在,PC Online で「人と 技術と情報の界面を探る」,日経トレンディネットで「“アレ”って何? 読 めばわかる研究所」を連載中.主著に『われらの有人宇宙船』『増補 スペー スシャトルの落日』『恐るべき旅路』『コダワリ人のおもちゃ箱』『のりもの 進化論』などがある. ブログ「松浦晋也のL/D」 http://smatsu.air-nifty.com/       「松浦晋也の“読書ノート”」 Copyright(C) 松浦晋也,2014  次号は鹿野 司さんにご執筆いただきます.どうぞお楽しみに! ※本コラムは本メール配信約1か月後を目安に裳華房Webサイトに掲載します. http://www.shokabo.co.jp/column/ ───【裳華房のお役立ちサイト】─────────────────── ◎ 研究所等の一般公開(3/4更新) http://www.shokabo.co.jp/keyword/openday.html ◎ 学会主催 一般講演会・公開シンポジウム(2/19更新) http://www.shokabo.co.jp/keyword/openlecture.html ◎ 若手 春・夏・秋・冬の学校(2/19更新) http://www.shokabo.co.jp/keyword/wakateschool.html ─────────────────────────────────── ★★★★【連載コラム】裳華房 編集子の“私の本棚”(第11回) ★★★★★ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  編集部の有志が月替わりで,思い出の一冊やお薦めの書籍などを語ります. 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ◇ 「『わかる』って何だろう?」 ◆『畑村式「わかる」技術』(畑村洋太郎 著,講談社現代新書)  編集者のEです.今回は『失敗学』(講談社から2005年に刊行)の著者とし て有名な畑村洋太郎先生の本を紹介したいと思います.  私は物理学の教科書の編集を主に担当しているのですが,著者の先生から頂 いた原稿を拝読する際には,「この説明で読者が『わかる』だろうか?」とい うことを念頭に置いて編集作業にあたるようにしています.  さて,この「わかる」という言葉,これは具体的にどういう状態を指す言葉 なのでしょうか? 普段良く使う言葉ではありますが,具体的に説明しようと するとなかなか難しいのではないでしょうか.本書は,この「わかるとは何か」 という問いを考える上で,たくさんのヒントを与えてくれます.  畑村先生によれば,人は,見たり聞いたりした物事と,自分の知識や過去の 経験に基づいて自らの頭の中に構築した「テンプレート」を無意識のうちに比 較しているそうです.  たとえば,りんごを見たときを考えてみましょう.大雑把に言うと,りんご は「赤い」,「丸い」という特徴を持っています.そして私たちは,そのよう なものを「りんご」として認識しており,「赤い」,「丸い」といったような 特徴を,りんごの要素のテンプレートとして頭の中に持っています.細かく分 けると他にも要素はありますが,その二つの要素を持っている物体を見ると, 「頭の中のりんごの要素のテンプレート」とかなりの確率で一致し,私たちは 「りんごである」と認識する,ということになります.  本書では,上記のりんごの例を「要素の一致」といい,他にも「構造の一致」, 「頭の中で新たにテンプレートを作る」ことが,物事を「わかる」状態の例と して挙げられています.  さらに,上述のようなことを踏まえ,学習者の頭の中に新たにテンプレート を作ることができない既存の教科書の限界や,ある一定の枠組みでしか成り立 たない「形式論理」へと話が発展します.  形式論理の具体例として,物理学の熱力学,統計力学が挙げられており,粒 子の集団を巨視的に捉え,一つ一つの粒子の動きは無視する熱力学の限界に触 れています.熱力学など,ある一定の範囲で成り立つ理論体系のテンプレート を頭の中に入れても,どの範囲で成り立つのかを把握していないと「わかって いるつもり」になってしまう危険があるそうです.  メルマガ購読者の皆様であれば,自然科学などを「わかる」ことに関心が高 い方が多いかと思います.ぜひこの機会に,本書を読んで「わかる」とは何な のか考えてみませんか? ◆『畑村式「わかる」技術』   畑村洋太郎 著/新書判/190頁/本体700円+税/2005年10月発行/   講談社(講談社現代新書)/ISBN 978-4-06-149809-9   http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=1498096 ───【裳華房のお役立ちサイト】─────────────────── ◎ 自然科学系の雑誌一覧 −最新号の特集等タイトルとリンク−(2/27更新) http://www.shokabo.co.jp/magazine/  ◎ 大学・研究所・学協会の住所録とリンク http://www.shokabo.co.jp/address.html ─────────────────────────────────── ★★★★★★★★★★★★★★ 最近の話題 ★★★★★★★★★★★★★★★ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  折々の科学的なトピックスや記念日,季節的なテーマなどについて,簡単な 解説と関連書籍,Webサイトなどを紹介します(不定期掲載). 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ◆ 「GPM主衛星」打ち上げ成功  三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月28日,H2Aロケット23号機 による全球降水観測計画主衛星(GPM主衛星)の打ち上げに成功しました.  GPM計画は,中心となるGPM主衛星と複数の副衛星群によって地球全体 をくまなく観測し,地球全体の降水(雨や雪)を1日に複数回(約3時間ごと) に観測する計画で,NASAやJAXA,その他国際機関による共同ミッションです.  主衛星には,日本が開発した雨雲スキャンレーダ(二周波降水レーダ;DRP) が搭載されています.DPRは,従来の気象衛星では観測できなかった弱い雨か ら豪雨までを観測するとともに,雨滴や雪,氷粒子の大きさやそれらが雲の中 でどのように分布しているのか等,降水の詳細な情報を得ることができます.  日本では,台風や豪雨などにより大きな被害がもたらされていますが,本格 的な運用が始まると,天気予報の精度が今までよりも向上し,より正確な降水 量が把握できることから洪水などの気象被害を最小限に抑えることができます. また,水資源の管理や異常気象の解明なども大きく進むものと思われます.  3月2日にはDRPに電源が投入されて起動, このまま順調にいけば5月ころか ら,GPM主衛星による定常的な降水観測が開始される予定です.  今後の“活躍”に期待したいと思います. 【参考Webサイト】 ◇GPM-DRPスペシャルサイト(JAXA) http://www.satnavi.jaxa.jp/gpmdpr_special/index.html ◇GPM/DPR(第一衛星利用ミッション本部) http://www.satnavi.jaxa.jp/project/gpm/index.html ◇今回の打ち上げに関する記者会見など(宇宙作家クラブ) http://www.sacj.org/openbbs/ ─────────────────────────────────── 次号は2014年4月1日の配信予定です.どうぞお楽しみに! \\(^o^)// ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ★ Shokabo-Newsの配信停止・アドレス変更は下記URLよりお願いします ★ http://www.shokabo.co.jp/m_list/m_list.html メールマガジンのご意見・ご感想は m-list@shokabo.co.jp まで. ─────────────────────────────────── 自然科学書出版 (株)裳華房 〒102-0081 東京都千代田区四番町8-1 Tel:03-3262-9166 Fax:03-3262-9130 電子メール:info@shokabo.co.jp URL:http://www.shokabo.co.jp/  Twitterアカウント:@shokabo 【個人情報の取り扱い】 http://www.shokabo.co.jp/policy.html ─────────────────────────────────── Copyright(c) 裳華房,2014      無断転載を禁じます.



         

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