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裳華房メールマガジン (Shokabo-News)
バックナンバー(No.306;2014年12月号)

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆   Shokabo-News No.306                2014/12/4   裳華房メールマガジン 2014年12月号   http://www.shokabo.co.jp/m_list/m_list.html ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今回のご案内 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆  ◇ 新刊案内    八杉貞雄 著『ワークブック ヒトの生物学』  ◇ 鹿野 司の“読書ノート”(15)    新井紀子 著『ロボットは東大に入れるか』(イースト・プレス)  ◇ 最近の話題    小惑星探査機「はやぶさ2」打ち上げ成功!  ◇ 裳華房 編集子の“私の本棚”(20)    ディクソン 著『アフターマン』(ダイヤモンド社)  ◇ 裳華房の“古書”探訪 (24)    梶山英二 著『日本海洋學』[初版 大正9年] ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ Shokabo-News 会員の皆様  早くも師走となりました.年末を控え慌ただしい日々をお過ごしのことか と思います.本年最後の,Shokabo-News 2014年12月号をお届けいたします.  今号では,12月の新刊1点(生物学分野)の紹介のほか,好評連載「鹿野 司の読書ノート」では新井紀子著『ロボットは東大に入れるか』(イースト ・プレス)を,「裳華房編集子の“私の本棚”」ではディクソン著『アフタ ーマン』(ダイヤモンド社)を,「裳華房の“古書”探訪」では梶山英二著 『日本海洋學』[初版大正9年]をご紹介します.  また昨日、無事に打ち上げが成功した「はやぶさ2」に関連して,本メー ルマガジンのコラム執筆者のお一人,松浦晋也さんの新刊・近刊を「最近の 話題」で取り上げました.  ご意見・ご感想を m-list@shokabo.co.jp までお寄せいただければ幸いで す.(Twitterをお使いの方はアカウント @shokabo まで)  今年1年間,ご購読いただき誠にありがとうございました.明年もどうぞ 宜しくお願いいたします.  ※書籍の価格は,定価(税込)ではなく本体価格表示にしています.  ★ お知らせ ★ 1.「大学・短大・高専用教科書のご案内」   http://www.shokabo.co.jp/text.html 2.【講義担当の先生方へ】講義用 教授資料のご案内   http://www.shokabo.co.jp/textbook/text-tm.html 3.下記の大学生協にて裳華房フェアを開催! ・東北大学 生協 理薬店(11/4 〜 12/31) ・千葉大学 生協 ブックセンター(11/12 〜 12/19) ・東京大学 生協 駒場書籍部(11/17 〜 2015/1/7) ・早稲田大学 生協 理工店(11/10 〜 12/19) ・新潟大学 生協 書籍部(11/10 〜 12/19) ・京都大学 生協 ショップルネ・宇治店・桂ショップ(11/4 〜 12/5) 4.出版社共同企画「期間限定 謝恩価格本フェア」が開催中です.弊社も  ポピュラー・サイエンスシリーズを出品しています.お得なこの機会を  是非ご利用ください(〜12/16).  http://www.bargainbook.jp/mlsbin/wb_sha?shac=3067 5.訂正表・正誤表や新しい演習問題など「書籍のサポート情報」.   http://www.shokabo.co.jp/support/index.html ─────────────────────────────────── 【裳華房 新刊一覧】 http://www.shokabo.co.jp/book_news.html 【ご購入のご案内】  http://www.shokabo.co.jp/order.html ─────────────────────────────────── ★★★★★★★★★★★ 新 刊 案 内 (12月刊行)★★★★★★★★★★★ ◆ 『ワークブック ヒトの生物学』 http://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-5861-7.htm 八杉貞雄 著/B5判/178頁/定価(本体1800円+税)/2014年12月中旬刊 裳華房/ISBN978-4-7853-5861-7  大学,専門学校などで生物学の基礎を学ぶ方々が,生物学をよりよく理解で きるように,問題を中心に編集した自習書.2013年に刊行した『ヒトを理解す るための 生物学』をテキストとしているが,本書だけでも利用できるように, 各章に「主な内容と重点項目」を記載.問題には解答,あるいは筆記問題につ いては解答例をつけ,さらに参考として解説を付した. 【主要目次】1.生物学とはどのような学問か 2.生命とはなにか,生物とは どのようなものか 3.細胞とはどのようなものか 4.体をつくる分子にはど のようなものがあるか 5.体の中で物質はどのように変化するか 6.遺伝子 と遺伝はどのように関係しているか 7.ヒトの体はどのようにできているか  8.エネルギーはどのように獲得されるか 9.ヒトはどのように運動するか  10.体の恒常性はどのように維持されるか 11.ヒトは病原体とどのようにた たかうか 12.ヒトはどのように次の世代を残すか 13.ヒトはどのように進 化してきたか 14.ヒトをとりまく環境はどのようになっているか 15.ヒト はどのような生き物か ─────────────────────────────────── 【裳華房 分野別書籍一覧】 http://www.shokabo.co.jp/mybooks/0000.html 【正誤表などサポート情報】 http://www.shokabo.co.jp/support/ ─────────────────────────────────── ★★★★★ 【連載コラム】鹿野司の“読書ノート” (第15回) ★★★★★ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  ノンフィクション・ライター/サイエンスライターの松浦晋也さんと鹿野司 さんに,お薦め書籍や思い出の1冊,新刊レビュー等をご執筆いただきます. 今月号のご担当は鹿野司さんです.  ・バックナンバーはこちら→ http://www.shokabo.co.jp/column/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ◇ 細分化された人工知能分野を再統合する試み ◇ ◆ 新井紀子 著『ロボットは東大に入れるか』(イースト・プレス)  2011年より、国立情報学研究所の新井紀子さんを中心に、「ロボットは東大 に入れるか」(東ロボ)というプロジェクトが行われている。このテーマ設定 は、一見、誰でも解りやすく、ニュースなどでも広く取り上げられてきたので、 耳にしたことのある方も多いだろう。  しかし、僕はこの話について、今ひとつ興味を持てなかった。  人工知能というテーマは、科学ライターという肩書きで、限りなくフィクシ ョン部分を減らしたSFをやっているつもりの僕にとって、もっとも興味をひ かれる分野の一つだ。  しかし、「東大に入る」という言葉のダサい感じとか、同じようなことはす でにIBMのワトソンがやってるんじゃないのかという誤解があった上に、あ ちこちで見かける報道内容も、センター試験でどの程度の成績だったかという ものがほとんどで、このプロジェクトの真の面白さに気づけていなかった。  ところがある講演会で、新井さんの話を直に聞いて、それは偏見にすぎず、 東ロボプロジェクトの狙いが極めて意欲的かつ独創的なものだということを知 らされた。それで改めて読んでみたのが、この『ロボットは東大に入れるか』 (新井紀子著、イースト・プレス)だ。  世間は今、第三次AIブームに沸いていて、そう遠くない将来、人工知能は 人間の知性を越えるとか、非常に多くの職業が人工知能で置き換えられる、な んて話をあちこちで耳にするようになった。しかし、これはブームにありがち な、少し見当違いの空騒ぎに過ぎない。  人工知能はこれからの社会に大きな影響を及ぼすテクノロジーではあるけれ ど、それは多くの人が漠然と思い描く、人間のような知能が実現することとは かなり違っている。でも、何がどう違っているかは、人工知能という分野がど んな研究なのかを、ある程度整理して理解しなければ考えようがない。  東ロボプロジェクトの真の狙いは、東大入試を突破することではなくて、こ れまで細分化されながら発展してきた人工知能という分野を、ある程度統合す ることにある。これは実は可能かどうかさえ不明なテーマで、AIブームとい われている今でも、これに取り組んでいるのは世界でも数か所しかない。  新井さんにいわせると『いま自分たちが研究していることが、「人工知能」 という大きなパズルの中でどのピースになるのか、はっきりとわかっている人 は、じつはいないのです。……本当を言うと、それが大きな一つのパズルなの かさえ、よくわからない。』とのことだ。実に面白い。  ワトソンのような、素人目にはどんな質問でも答えられそうなAIも、問題 がある特定のものに限定されているからできているに過ぎない。そういうAI のしかけを読み解いて教えてくれるのも、この本の面白さだ。  ブームの今、AIをブラックボックス的な神託マシンとして崇めてしまわな いためにも、この本は一読の価値があると思う。 【今回紹介した書籍】 ◆ 新井紀子 著『ロボットは東大に入れるか』(イースト・プレス)   四六判/264頁/定価(本体1400円+税)/2014年8月発行/   ISBN 978-4-7816-9064-3   http://eastpress.co.jp/shosai.php?serial=2125 【鹿野 司さんのプロフィール】 サイエンスライター.1959年愛知県出身.「SFマガジン」等でコラムを連載中. 主著に『サはサイエンスのサ』(早川書房),『巨大ロボット誕生』(秀和シ ステム),『教養』(小松左京・高千穂遙と共著,徳間書店)などがある. ブログ「くねくね科学探検日記」 http://blog.blwisdom.com/shikano/       「鹿野 司の“読書ノート”」 Copyright(c) 鹿野 司,2014  次号は松浦晋也さんにご執筆いただきます.どうぞお楽しみに! ※本コラムは本メール配信約1か月後を目安に裳華房Webサイトに掲載します. http://www.shokabo.co.jp/column/ ───【裳華房のお役立ちサイト】─────────────────── ◎ 研究所等の一般公開(12/4更新) http://www.shokabo.co.jp/keyword/openday.html ◎ 学会主催 一般講演会・公開シンポジウム(12/4更新) http://www.shokabo.co.jp/keyword/openlecture.html ◎ 若手 春・夏・秋・冬の学校(12/4更新) http://www.shokabo.co.jp/keyword/wakateschool.html ─────────────────────────────────── ★★★★★★★★★★★★★★ 最近の話題 ★★★★★★★★★★★★★★★ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  折々の科学的なトピックスや記念日,季節的なテーマなどについて,簡単な 解説と関連書籍,Webサイトなどを紹介します(不定期掲載). 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ◆ 小惑星探査機「はやぶさ2」打ち上げ成功!  三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月3日,H2Aロケット26号機 の打ち上げに成功,小惑星探査機「はやぶさ2」の正常な分離成功しました.  初代の「はやぶさ」は数々の困難・トラブルを乗り越えて地球に帰還し,多 くの感動を呼び起こしたことは記憶に新しいですが,その経験を活かし,さま ざまな改良を加えて打ち上げられたのが「はやぶさ2」です.  2018年6月頃に炭素質の小惑星“1999 JU3”に到着し,約1年半の間に,着陸 してサンプル採取や,インパクタ(衝突装置)による人工クレーターの作成と 内部物質の採取,また小型ロボットによる観測等を行います.2019年11月頃に 小惑星を出発し,2020年11月頃に地球に帰還予定です.  「はやぶさ2」については, JAXAのWebサイトなどインターネットで様々な 情報が公開されていますが,本メールマガジンで「読書ノート」をご執筆いた だいている松浦晋也さんによる「はやぶさ2」関連書籍が2点,先月と今月に 刊行ですので,簡単にご紹介させていただきます. 【「はやぶさ2」関連図書】 ◇『はやぶさ2の真実 −どうなる日本の宇宙探査−』  松浦晋也 著/定価(本体860円+税)/講談社(講談社現代新書)  http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062882910  「はやぶさ2」の技術的な側面だけでなく,宇宙探査の系譜をたどりながら, プロジェクトの全体像と日本の宇宙開発をとりまく環境を解説します. ◇『小惑星探査機『はやぶさ2』の挑戦      −生みの苦しみ乗り越え、ついに旅立つ−』  松浦晋也 著/定価(本体1800円+税)/日経BP社  http://bpstore.nikkeibp.co.jp/item/books/235030.html  「はやぶさ2」関係者へのインタビューを中心にまとめた,技術者や,将来 技術者を目指す高校生・大学生向けの入門書. 【「はやぶさ2」参考Webサイト】 ◇小惑星探査機「はやぶさ2」特設サイト(JAXA) http://fanfun.jaxa.jp/countdown/hayabusa2/ ◇プレスリリース http://www.jaxa.jp/press/2014/12/20141203_h2af26_j.html ◇今回の打ち上げに関する記者会見など(宇宙作家クラブ) http://www.sacj.org/openbbs/ ★★★★【連載コラム】裳華房 編集子の“私の本棚”(第20回) ★★★★★ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  編集部の有志が月替わりで,思い出の一冊やお薦めの書籍などを語ります. 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ◇ 著者の空想世界で闊歩する,5000万年後の異形の動物たち ◆『アフターマン −人類滅亡後の地球を支配する動物世界−』     (ドゥーガル・ディクソン 著,ダイヤモンド社)  編集者のCです.  突然ですが,皆さんは「人類が絶滅した後にどういった生物が地球を支配す るのか」とお考えになったことはございませんか? 「いやいや,そんなこと 分かるわけがない!」とおっしゃる方が大半ではないでしょうか.今回は,そ んな空想科学にチャレンジした『アフターマン−人類滅亡後の地球を支配する 動物世界−』という書籍をご紹介します.  まず目を引くのは,表紙カバーの奇抜な(!)動物です.ネズミなのか何な のか,絵からは耳が三つあるようにも見えますが,これは,本書によると“ナ イトストーカー”といってコウモリの子孫とのことらしいです.目は既に退化 し,超音波を受ける耳と鼻葉(耳ではなかったんですね)が異様に発達してい ます.夜になると甲高い金切り声を上げて森の中を歩き回り,動物を見境なく 歯と鉤爪で襲い捕食するそうです.  この他にも,草食動物をハサミのような臼歯で襲うイヌによく似たネズミの 子孫や,獲物を鎌のような鉤爪で一撃する捕食動物と化したヒヒの子孫,顔面 を色鮮やかな花に擬態して昆虫を捕食する渡りの習性をなくしたコウモリの子 孫など,奇抜なデザインの動物たちがフルカラーの精緻な図で描かれています.  これらの動物たちは,人類すべてが死に絶えた今から5000万年後の地球に生 息しているであろうという設定でして,祖先にあたる種と比べると似ても似つ かぬ異形の怪物のようにも見えてきます.しかし,当てずっぽうの妄想ではあ りません.生物学の基本原理である,適応,特殊化,収斂,放散をもとに再現 されています.  凄いと思うのは,よくもまあ何種類もの“未来の”動物たちを創造すること ができるものだなぁ,ということです.これらの動物を創造するためには,生 物学の知識だけでは足りません.地質学やプレートテクトニクス理論なども援 用しないといけません.膨大な時間と手間がかかったと思われます.だからこ そ,読む者にとって説得力のある魅力的な書籍が出来上がったのではないでし ょうか.著者ひとりの空想だけでここまで構築してしまった能力には,ただた だ感嘆せざるを得ません.  生物学に詳しくない方でも,著者の空想世界が創り上げた異形の動物たちを 眺めているだけでも楽しむことができます.そんな空想に浸りたい方に是非お 勧めの一冊ですが,残念ながら1982年(旺文社)と1990年(太田出版)に刊行 された大型本も2004年に出版された単行本(ダイヤモンド社)も,いずれも在 庫切れとなっています(下記の書誌データはダイヤモンド社版).中古本が売 られているネット書店などがあるようですので,ご興味を持たれた方はそちら でご購入いただくか,または図書館等でお探しいただければ幸いです. ◆『アフターマン −人類滅亡後の地球を支配する動物世界−』   ドゥーガル・ディクソン 著/今泉吉典 監訳/264頁/   定価(本体2400円+税)/2004年7月発行/ダイヤモンド社/   ISBN978-4-478-86046-5(品切れ中)   http://www.diamond.co.jp/book/9784478860465.html ───【裳華房のお役立ちサイト】─────────────────── ◎ 自然科学系の雑誌一覧 −最新号の特集等タイトルとリンク−(11/28更新) http://www.shokabo.co.jp/magazine/ ◎ 大学・研究所・学協会の住所録とリンク http://www.shokabo.co.jp/address.html ─────────────────────────────────── ★★★★★★ 【連載コラム】裳華房の“古書”探訪(第24回)★★★★★★★ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  弊社の起源は,江戸時代,伊達藩の御用板所であった「仙台書林 裳華房」 に遡ります.ここでは,科学書の出版に力を入れ始めた明治時代後期代から昭 和時代に刊行された書籍の中から毎回1冊ずつ取り上げて紹介いたします. 【バックナンバー】 http://www.shokabo.co.jp/oldbooks/index.html 【裳華房の歴史】  http://www.shokabo.co.jp/history.html 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ◆ 梶山英二 著『日本海洋學』[初版 大正9年]  本コラムの第21回で「弊社では、伝統的に地学分野は“層”が薄く」と書き ましたが[*1]、今回ご紹介するのは、その地学分野の1冊、梶山英二著『日 本海洋學』(初版 大正9年;1920年)です[*2]。  国立国会図書館のデータベースによれば、本書以前に「海洋学」の書名をも つものは、明治44年に早稲田大学出版部より発刊された『海洋学講話』(横山 又次郎著)しか見当たりませんので、(確認できた範囲で)日本で最初に刊行 された“海洋学の教科書”といってもよいかと思います[*3]。  著者・梶山英二の経歴など詳しいことは分かりませんが、刊行当時は農商務 省水産講習所の技師で、1910年から開始された農商務省による漁業基本調査な どを(中心的に)担われていたのではないかと思われます。  本書の「自序」によれば、執筆に際して、「本邦に於ける海洋竝に水産生物 に關する調査研究を各方面より蒐集し、之れに吾人が數年來親しく實地調査し た研究事項を加えて編述したもの」とあります。  本書の目次を下記に挙げておきます。  (旧字体は新字体またはカタカナに修正してあります) 第一編 海洋学  1.海洋の成立と塩分 2.生物の起源と分布 3.地球の形態 4.底質 5.  水準面 6.水温 7.比重 8.光線の屈折および反射 9.水色と透明度  10.ガス 11.流氷 12.海水の圧力 13.波浪 14.風浪 15.潮浪(潮  汐) 16.潮浪の進行と潮流 17.暖流と寒流(海流) 18.プランクトン  19.発光 20.塩分の比重以外の現象 21.海霧 22.気候 第二編 海洋と水産  23.水産觀 24.漁場 25.漁場としての外的条件 26.漁場としての内的  条件  現在市販されている海洋学の教科書の多くは、物理学、化学、生物学に分け て編集しているものが多いようですが(例えば東海大学海洋学部のもの等)、 本来、海洋学はそれらがバラバラでない、シームレスなものだと思います。本 書が、物理学から生物学までを一貫して収めていたことは、日本の海洋学にと って大きな意味があったのではないかと思います。  また「自序」に、本書が水産の従事者や海洋の研究者の参考としてのみなら ず、四方を海に囲まれた日本に住む一般国民の海洋と魚類に関する知識の向上 に寄与したい旨述べられていて、本文の記述は(拝読した範囲では)できるだ け平易に執筆されているようです。  とはいえ、いわゆる普及書の類としてはやはり専門的に過ぎたようで、梶山 は本書刊行の6年後(大正15年12月)に、厚生閣書店(現在の恒星社厚生閣) より『海洋学通論』を出版しています 。こちらは本文約120頁と手ごろな読み 物になっています[*4]。  なお、『日本海洋學』は全文が国立国会図書館のデジタルコレクションにて 一般公開されています。 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/960401 [注釈] *1 裳華房の“古書”探訪(21)  中川源三郎 著 『農業氣象學』 [初版 明治32年]  http://www.shokabo.co.jp/oldbooks/1899agrometeorology.htm *2 海洋学の進歩・普及を図る目的で日本海洋学会が設立されたのが昭和16年  (1941年)なので、その20年以上前の出版になります。 *3 海洋の“物理”に関しては、大正5年に寺田寅彦著『海の物理学』(日本  のローマ字社)が出版されています(全編ローマ字表記です)。 *4 『海洋学通論』も国立国会図書館のデジタルアーカイブにて全文が一般公  開されています。  http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1016740 ◆梶山英二著『日本海洋學』   菊判/304頁/初版 大正9年(1920年)11月/裳華房 ※記述の誤りなど、お気づきの点がありましたら m-list@shokabo.co.jp まで  御連絡ください。 ─────────────────────────────────── 次号は2015年1月9日の配信予定です.どうぞお楽しみに! \\(^o^)// ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ★ Shokabo-Newsの配信停止・アドレス変更は下記URLよりお願いします ★ http://www.shokabo.co.jp/m_list/m_list.html メールマガジンのご意見・ご感想は m-list@shokabo.co.jp まで. ─────────────────────────────────── 自然科学書出版 (株)裳華房 〒102-0081 東京都千代田区四番町8-1 Tel:03-3262-9166 Fax:03-3262-9130 電子メール:info@shokabo.co.jp URL:http://www.shokabo.co.jp/  Twitterアカウント:@shokabo 【個人情報の取り扱い】 http://www.shokabo.co.jp/policy.html ─────────────────────────────────── Copyright(c) 裳華房,2014      無断転載を禁じます.



         

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