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裳華房メールマガジン (Shokabo-News)
バックナンバー(No.339;2017年11月号-1 松浦晋也の“読書ノート”ほか)

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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆   Shokabo-News No.339                2017/11/22   裳華房メールマガジン 2017年11月号-1   https://www.shokabo.co.jp/m_list/m_list.html ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 新刊点数が多いこと等のため2通に分けて配信いたします. 2通目は11/28に配信予定です.悪しからずご了承ください. ★目次★ ─────────────────────────────────── 【1】新刊案内(10月刊行)    『有機化学スタンダード 基礎有機化学』『ゲノム創薬科学』    『医学系のための 生化学』 【2】連載コラム 松浦晋也の“読書ノート”(32):    『母親に、死んで欲しい』(NHKスペシャル取材班 著,新潮社) ─────────────────────────────────── ※配信が遅れましたことをお詫び申し上げます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】新刊案内(2017年10月刊行) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●『有機化学スタンダード 基礎有機化学』 https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-3422-2.htm 小林啓二 著/B5判/184頁/2色刷/定価(本体2600円+税8%)/ 2017年10月発行/裳華房/ISBN978-4-7853-3422-2 C3043 ★新シリーズ 刊行開始!★  多くの基礎有機化学教科書のような「官能基別」の章立てをとらず,有機化 学本来の基礎(語学における文法に当たるもの)とは何か,を提言する新しい タイプの教科書.各論的な説明ではなく,有機化学の体系の全体を見通した解 説に努めた.  本書を通して読者は,有機化学の面白さが分子の立体構造や結合の組換えに あることを理解し,有機化学の基本を確実に身につけることができるだろう. 【主要目次】 1.共有結合の成り立ち 2.共有結合の方向 3.有機化合物の体系 4.σ結 合と立体配座 5.σ結合と立体配置 6.π結合と共役 7.結合の極性と開 裂 8.酸と塩基 9.有機反応の体系 10.求核反応:求電子的な炭素への反 応 11.求電子反応:求核的な炭素への反応 12.ベンゼン環への反応 13. 求核的炭素と求電子的炭素との反応 14.酸化・還元と脱水縮合 15.有機化 合物の命名法録 ●『ゲノム創薬科学』 https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-5236-3.htm 田沼靖一 編/A5判/322頁/2色刷/定価(本体4400円+税8%)/ 2017年10月発行/裳華房/ISBN978-4-7853-5236-3 C3047  ヒトゲノム情報を基にした理論的創薬である「ゲノム創薬」が,さまざまな 分野と連携しながら急速に進展している.  本書は,「個別化医療」から,さらには「精密医療」を見すえた「ゲノム創 薬科学」の現状と展望を,各分野の専門家が分かりやすく解説した,これまで にない実践的教科書・参考書である. 【主要目次】 1.創薬科学の新潮流 2.創薬標的分子の探索 3.薬物−標的分子の相互作 用 4.理論的ゲノム創薬手法 5.低分子医薬品の創製 6.バイオ医薬品の 創製 7.ファーマコインフォマティクス 8.創薬とシステム生物学 9.薬 物の体内動態 10.薬物の送達システム 11.遺伝子診断と個別化医療 ●『医学系のための 生化学』 https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-5235-6.htm 石崎泰樹 編著/B5判/338頁/2色刷/定価(本体4300円+税8%)/ 2017年10月発行/裳華房/ISBN978-4-7853-5235-6 C3045  医師,看護師,薬剤師等を目指す学生にとって,生化学は人体の正常な機能 を理解する上で,解剖学や生理学と並んで必須の学問であり,疾患,とくに代 謝疾患,内分泌疾患,遺伝性疾患などを理解するために生化学的知識は欠かせ ないものである.  本書は,医療の分野に進む学生に対して,できるだけ利用しやすい生化学の 教科書を目指して執筆したものである.そのため図を多用し,細かな化学反応 機構についての記載は省略した.また各章末には,理解度を確かめられる確認 問題または応用的知識の自主的な獲得を促す応用問題を配置した.これらの問 題は可能な限り症例を用い,bench-to-bedside 的な視点を読者に提供できる ように心掛けた. 【主要目次】 第I部 序論/第II部 生体高分子/第III部 代謝/第IV部 遺伝子の複製と発現 /第V部 情報伝達系 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【裳華房 新刊一覧】 https://www.shokabo.co.jp/book_news.html 【ご購入のご案内】  https://www.shokabo.co.jp/order.html 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】[連載コラム]松浦晋也の“読書ノート” (第32回) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ノンフィクション・ライター/サイエンスライターの松浦晋也さんと鹿野司 さんに,お薦め書籍や思い出の1冊,新刊レビュー等をご執筆いただきます. 今月号のご担当は松浦晋也さんです.  ・バックナンバーはこちら→ https://www.shokabo.co.jp/column/ ─────────────────────────────────── ◆ 誰にでも親殺しになる可能性がある ◆ ● NHKスペシャル取材班 著『母親に、死んで欲しい』(新潮社)  私はこの8月、『母さん、ごめん。』(日経BP社)[*1]という著書を上 梓した。およそ松浦の著書らしくないウェットな題名だが、副題は「50代独身 男の介護奮闘記」。2014年7月から2017年1月までの2年半、認知症を発症し た母を自宅で介護した記録である。これまで取材をして記事を書くことで生計 を立ててきたが、自分の経験を書くことは初めて。大変ありがたいことに好評 を得て、私の本としては過去にないほど売れております。 *1 http://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/17/263280/  母を介護する中で、私が何を考えてどのように行動したかは、実際に本を読 んでもらうとして(はい、宣伝ですね)、介護経験の中から私は「認知症患者 を含む老人の介護は、家庭のみに押しつけることができる仕事ではなく、社会 的な事業として社会全体の問題として解決の枠組みを作っていかなくてはなら ない」という認識に到達した。  「子供が年老いた親の面倒を見るのは当たり前」とか「家族の絆こそが問題 解決の鍵」とか主張する人は、おそらく自分で直接介護をした経験がないのだ ろうと思う。やってみて分かったが、介護は、とてもではないが家庭のみで完 遂できる仕事ではない。私は独身者だが、単に「独身だから介護できないのだ。 結婚しないのが悪い」という問題でもない。たとえ子供の居る夫婦の家庭であ っても老親介護の負担が加わると、家庭はきしみ、崩壊の危機に瀕することに もなりうる。介護の負荷により家庭が崩壊してしまえば、育児や教育、生計に 至るまでの家庭が担ってきた社会的機能も崩壊する。つまり社会機能の少なか らぬ部分が崩壊する。  介護の問題を社会全体で、「介護する社会システムを構築する」という形で 解決しないと、社会が崩壊するのである。  それだけではない。無批判に「昔は家庭で老親を介護するのが当たり前だっ た」と、介護を家庭や個人に押しつけると何が起きるか――殺人が起きる。負 担に耐えかねて、介護する者が介護される者を殺すのだ。それほどまでに介護 によって心身両面にかかるストレスは大きい。「私は絶対にそんなことをしな い」と断言できる人は、これまた実際の介護経験がない人であろう。  もちろん、すべての子供が親を殺すわけではない。しかし、介護を家庭に押 しつけることで、介護問題を抱える家庭を増やせば、母数が増えるので親殺し は増える。そして、すべての介護の責任を家庭に押し込むことで家庭内のスト レスが増加すれば、それだけ耐えられない人も増えるので親殺しは増える。き びしいことを書くならば「子供が親の面倒をみるのは当たり前」「家族間の助 け合いという美風で介護問題の解決を」と主張する人は、親殺しを教唆してい るのにも等しいのである。  「でも、そんなに簡単に介護のストレスで親を殺すなんてことがありうるの か」と思う方は、是非ともこの『母親に、死んで欲しい』を読んでもらいたい。 2016年7月16日に放送された「NHKスペシャル 私は家族を殺した〜“介護殺人” 当事者たちの告白〜」を基本に、取材意図や経緯などを加えた書き下ろしノン フィクションである。  その内容は衝撃的だ。介護殺人をしてしまった当事者が、そのとき自分が何 を考えて何をしたかを語っているのである。彼らはもともと異常な性格をして いるわけではない。ごく普通の良識も愛情も備えた人たちだ。それがひとたび 全面的な肉親の介護に巻き込まれると、精神的にも肉体的も余裕を失い、追い 詰められ、ついには肉親を手にかけ、殺害してしまうのである。介護の関係も 親と子だけではない、夫が妻を、妻が夫をという老老介護での殺人も紹介され ている。  本書冒頭のケースを紹介するなら――80歳過ぎの母親が転倒して骨折、入院 中に認知症の症状が一気に進行してしまう。頻尿となり夜中に起きてはふすま を叩いて騒ぐ母。公的介護制度を利用するも追いつかず、同居の息子は倒れて 救急搬送されるまで疲弊してしまう。そこで、成人以後は家を離れていた弟も 家に戻り、息子2人で母の介護を行うことになる。が、弟が戻ってきて2か月 後、その弟が母を殺害した。  刑務所で服役中の弟もインタビューに応じた。久しぶりに家に戻り、変わり 果てた母の姿にショックを受けたと語る。「私は母のことを、母の皮を被った 化け物だと思っていました」(本書p.30)と。トイレで排泄に失敗し、大便ま みれになった母を見た時、弟は殺害を決意したという。  だが、弟は家を出て久しかった。それほどショックを受けたならば、殺すの ではなく介護から逃げることもできたのではないか。なぜ逃げなかったのか。 この疑問に対して弟は、絞り出すようにして答える。「家族…だから…です」  このようなケースが、全部で11も掲載されている。読者は、感情をわしづか みにされてぐいぐいと揺さぶられるだろう。が、感情に流されるままに読んで しまっては、本書の真価を読み過ごすことになる。数多くのケースを精査する ことで、介護殺人に内在する傾向も見えてくるからだ。たとえば、介護の開始 から数か月というような比較的短期間で殺害に至るケースが多い。長期にわた ってじわじわと認知症の症状が進行するよりも、一気に悪化するほうが介護す る者は強いストレスを感じるのだろう。また、認知症の症状の中でも性格の変 化から、介護する者が受けるストレスが大きい、などなど。本書の価値は、シ ョッキングな内容にあるのではない。多数のケースを扱うことで、「介護殺人 とはこういうものだ」という――言葉は悪いかもしれないが――相場観が見え てくるところにある。  NHKは多くの取材記者と多額の取材コストを投入した物量戦的な取材を展 開することが可能な巨大組織だ。その取材の方法論には問題もあるが、この 「介護に起因する殺人」というテーマに対しては、NHKのやりかたが見事に 功を奏している。過去の報道の中から、全国各地に散らばる介護が原因と思わ れる殺人を探し、裁判所や弁護士などを当たって実際の事件内容を確認、さら に罪を犯した当人にアクセスして、「その時の状況や心境を語ってくれる人」 を探していく。「自分の犯してしまった罪を語る」――これはもっともつらく、 追い詰められていた時期の自分を思い出すことだ。しかもNHKのカメラの前 で語るということは、自分の罪を全国ネットで吐露するということである。当 然、そこまでの決断ができる人は少ない。NHKは、取材の物量作戦で数多く の事例にあたり、「介護の実際を分かってもらえるなら」「誰にでも起こりう ることと分かってほしい」と、カメラの前で語ることを決断できる人を見つけ 出す。刑務所で服役中の人もいるし、執行猶予判決がでて、自宅で暮らす人も いる。「話せる人」を探すことで、取材班は「肉親を殺す」という行為の実際 に迫っていく。  本書を読めば「自分はそんなことをしないだろう」という自信には根拠がな いことがはっきり分かるだろう。条件がそろえば、誰でも肉親を殺すかもしれ ないのだ。そして同時に、我々は「自分が殺される」ということも意識しなけ ればいけないことに気がつく。誰でも老いて死ぬのだから、介護殺人は、殺す 側と殺される側の両方から、いずれは自分にも起きうる「自分の問題」として 考えねばならない。私たちは「自分が親を、配偶者を、殺してしまうかも知れ ない」と「自分が配偶者に、子供に殺されるかも知れない」という2つの想像 力を持たねばならない。つらいことであるが、想像力を持つことで初めて、介 護という巨大な社会問題に向き合うことができるのだから。 【今回紹介した書籍】 ● 『母親に、死んで欲しい −介護殺人・当事者たちの告白−』 NHKスペシャル取材班 著/四六判/236頁/定価(本体1300円+税)/ 2017年10月刊行/新潮社/ISBN 978-4-10-405608-8 http://www.shinchosha.co.jp/book/405608/ ※電子書籍版もあります。 【松浦晋也さんのプロフィール】 ノンフィクション・ライター.1962年東京都出身.現在、日経ビジネスオンラ インで「宇宙開発の新潮流(*1)」を、「自動運転の論点」で「モビリティで 変わる社会(*2)」を連載中。近著に『母さん、ごめん。−50代独身男の介護 奮闘記−』(日経BP社)がある.その他、『小惑星探査機「はやぶさ2」の挑 戦』『はやぶさ2の真実』『飛べ!「はやぶさ」』『われらの有人宇宙船』 『増補 スペースシャトルの落日』『恐るべき旅路』『のりもの進化論』など 著書多数. Twitterアカウント https://twitter.com/ShinyaMatsuura *1 http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20101208/217467/ *2 http://jidounten.jp/archives/author/shinya-matsuura       「松浦晋也の“読書ノート”」 Copyright(C) 松浦晋也,2017 ※本コラムは本メール配信約1か月後を目安に裳華房Webサイトに掲載します. https://www.shokabo.co.jp/column/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【裳華房 分野別書籍一覧】https://www.shokabo.co.jp/mybooks/0000.html 【正誤表などサポート情報】https://www.shokabo.co.jp/support/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ─────────────────────────────────── 引き続き,Shokabo-News 2017年11月号-2 も是非ご覧ください. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ Shokabo-Newsの配信停止・アドレス変更は下記URLよりお願いします ★ https://www.shokabo.co.jp/m_list/m_list.html メールマガジンのご意見・ご感想は m-list@shokabo.co.jp まで. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 自然科学書出版 (株)裳華房 〒102-0081 東京都千代田区四番町8-1 Tel:03-3262-9166 Fax:03-3262-9130 電子メール:info@shokabo.co.jp URL:https://www.shokabo.co.jp/  Twitterアカウント:@shokabo 【個人情報の取り扱い】 https://www.shokabo.co.jp/policy.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright(c) 裳華房,2017      無断転載を禁じます.



         

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