ドイツの物理学者S.W. レントゲン(Roentgen)が,
1985年に発見したX線(X-Rays)は,
エネルギーが高く透過力の強い電磁波の一種です.
最初の発見者にちなみ,日本では,
医療用のX線撮影のことをレントゲンと呼んでいるのは,
衆知のとおりです.
X線は強い透過力があるので,
体組織の撮影などの医療や,金属疲労などの非破壊検査,
税関での手荷物チェックなど,さまざまな分野で利用されています.
医療用のレントゲン撮影で用いられるX線は,
加速した電子をタングステンなどの金属に当てることによって発生しているので,
機械を作動させない限りX線が発生することはありません.
体のレントゲン写真を撮ったとき,
骨はX線を吸収しやすく他の組織は透過しやすいため,
X線フィルム上では骨は白く他の部分は黒く写ります.
また胃のレントゲン撮影のときは,
(X線を吸収しやすい)バリウムという白い液体を飲んで,
胃壁の形がわかるようにします.
バリウムのようなX線吸収物質を造影剤と呼びます.
バリウムは美味しくありません.
おまけに,飲んだ後が大変だったりします.
胃のレントゲン撮影で受ける放射線量は,
1回につき約4ミリシーベルトです.
ちなみに,日常生活において,
自然界や食物などから1年当たりに受ける放射線量は,
全部で約1ミリシーベルトぐらいです.
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