メシエ82(M82/NGC3034)

M82は,おおぐま座にある銀河で,見かけの形状が変わっていたことから, かつては“爆発している銀河”だと考えられていました. スペクトル観測が行われるようになり,さらに電波観測が行われて, 現在では, 爆発的星形成が進行している特異銀河だということがわかりました.

資料提供:国立天文台 ハワイ観測所

銀河名 M82/NGC3034
赤道座標(2000年分点)
赤経:09h55.8m 赤緯:+69 °41′
銀河の型I0
B等級9.3等
視直径11′× 5′
距離1200万光年

Hα輝線で見たM82

すばる望遠鏡のFOCAS(微光天体分光撮像装置)を用いて撮像された画像です.

青と緑は,対応する可視光で観測した画像を, 赤は電離水素ガスが放つHα輝線の画像を用いて, 3色のカラー画像として合成したものです.

資料提供:国立天文台 ハワイ観測所

M82をHαの単色光で撮った写真をみると, 銀河面の上下方向に大きく拡がったフィラメント構造があり, 銀河としてはみるからに異様な姿をしています. かつては,中心核で大爆発があったために, このような特異な形状になったのだ,という説がありました.
しかし現在では, この銀河でつい最近(といっても,数千万年から1億年前), 爆発的な星形成活動(スターバースト現象)が起きたために, このような構造が生じたのだと思われています. 爆発的星形成が起こった理由は, M81やM82が構成するM81銀河群の中で, M82が近くのM81銀河のそばを通り過ぎたときに受けた, 力学的な影響が引き金になったのではないかと考えられています.

M82の可視光スペクトル

M82の可視光スペクトルには, Hαの輝線のほかに[NII]や[SII]の輝線が出ています. Hαが[NII]より強く見えており, これは爆発的星形成銀河(スターバースト銀河)のスペクトルの特徴です. M51銀河などと同様に,M82銀河では, 現在でも活発に星が形成されていることを意味しています. M51との違いは,M82では,爆発的星形成(スターバースト)の規模が, 桁違いに大きいことです.

資料提供:竹内努,石井貴子(京都大学)


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