星と星の間の空間−星間空間(interstellar space)−には,
一見何もないかのように思えます.
たしかに,星や地球大気に比べると,
星間空間ははるかに希薄で真空に近いですが,
それでもわずかながら物質が存在しています.
しかもとてつもなく広大であるために,全体としては,
想像以上に多量の物質が含まれています.
それらの星間物質(interstellar matter)の存在によって,
星間空間はダイナミックな変化の場となっているのです.
星間物質の種類としては,主に, 星間ガス,星間塵,宇宙線,そして星間の磁場があります. また,目に見えないダークマター(暗黒物質)も推測されています. 星間物質の多くは,ガスの形で存在しており, それらは星間ガス(interstellar gas)と呼ばれます. 星間ガスの個数密度は,平均的には,1cm3 当り水素原子1個ぐらいです. 大ざっぱには,質量比率で,水素が70%,ヘリウムが30%ぐらいです. 星間塵(interstellar dust)は, ケイ素化合物(シリケイト)や石墨(グラファイト)などからなる, 非常に低温(10〜20K)でまた微小(0.1μm程度)な固体微粒子です. 星間吸収の主な原因でもあります. 星間空間には,宇宙線(cosmic ray)と呼ばれる, 非常に高エネルギー(10億eV程度)の粒子も飛び回っています. 主成分は,電子,陽子,α粒子(ヘリウムの原子核)などです. また星間空間には,10-6ガウス程度の強さの磁場も存在しており, 星間磁場(interstellar magnetic field)と呼ばれています. 星間磁場は,星の誕生時などで,活動的な現象を引き起こすと思われています. 以上の星間物質の総量は,銀河系の星の総質量の10%にもおよぶと推定されています. 星間ガスと一口に言っても, 温度や密度などが異なるいろいろな状態のガスがあります.
|
自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.