第29回 軽い語り口で、生命の形の神秘に迫る
近藤 滋 著『波紋と螺旋とフィボナッチ』(学研メディカル秀潤社)
編集者のFです。
今回は、生き物の“形と模様”にまつわる書籍をご紹介します。
「シマウマはなぜあんなに目立つシマシマ模様を持つの?」という問いは動物園を訪れた小学生の質問で一番多いそうです。いくつかの仮説がありそうですが、読者の皆様はどのように答えますか?なぜシマウマは縞模様を持つに至ったのでしょうか…。
本書はこのシマウマ問題も含め、「生物の模様や形はどのようにしてつくられるのか?」ということについて解説しています。読み進めていくと、実は驚くほど単純な法則で生き物たちの多彩な模様や形がつくれてしまうことが分かってきます。
内容そのものは生物と数理が関係する高度なものですが、オールカラーの綺麗な写真と著者独特のユーモアに助けられ、理工系読み物としては珍しいほど軽く読めてしまうのが本作の大きな特徴です。答えにたどり着いたとき、なるほど!という新鮮な驚きとともに、至極 腑(ふ)に落ちる感覚を多くの方が味わえるのではないでしょうか。
また、著者は「自宅アパートである魚を飼育し観察する」という一見誰にでもできそう(?)な方法で大発見をした科学者です。最終章ではその発見にいたる経緯も語られており、ここだけでも一読の価値があります。
サイエンスの面白さを実感できる一冊。数学もしくは生物がニガテという方もぜひお手にとってみてはいかがでしょうか。
【今回ご紹介した書籍】
『波紋と螺旋とフィボナッチ −数理の眼鏡でみえてくる生命の形の神秘−』
近藤 滋 著/四六判/354頁/定価1980円(本体1800円+税10%)/2013年9月刊行
学研メディカル秀潤社/ISBN 978-4-7809-0869-5
https://gakken-mesh.jp/book/detail/9784780908695.html
「裳華房 編集子の“私の本棚”」 Copyright(c) 裳華房,2015
Shokabo-News No. 315(2015-9)に掲載
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