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【裳華房】 メールマガジン「Shokabo-News」連載コラム 
裳華房 編集子の“私の本棚”

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第32回 江沢先生流“相対論講義”

江沢 洋著『基礎物理学選書 相対性理論』(裳華房)

『基礎物理学選書 相対性理論』書影  編集者のCです.
 本年が一般相対性理論誕生100年であることを記念しての,このコラム.私は,手前味噌ですが,小社で2008年に刊行した江沢洋著『相対性理論』を紹介させていただきます.
 江沢先生は,この本のほかにも『量子力学(I)(II)』(裳華房),『力学』(日本評論社),『現代物理学』(朝倉書店),『だれが原子をみたか』(岩波書店)など多くの教科書・参考書をご執筆されていて,どの本も味わい深く,読者からも執筆者として高い評価を得ている方のお一人ではないでしょうか.

 本書には,編集者として駆け出しの頃に(書籍の編集という形で)出会いました.先生からいただいた原稿,特に図の原稿は手描きのもので,方眼紙いっぱいに描かれていました.まだ駆け出しでしたので,どの程度まで図を小さくすれば良いのか,その感覚が皆目わからず,四苦八苦した覚えがあります.

 また本書は「基礎物理学選書」の最終巻となっています.脈々と続いてきた小社の看板シリーズの締めとして,はてさて,江沢先生は相対性理論をどう料理されるのだろう,という思いで校正刷を読んでいった記憶があります.

 実際読んでみますと唸ったのがその構成で,先生曰く“最初は簡単に,2回目は深く!”,すなわち,本書は相対性理論を2回くり返して学ぶ構成となっているのです.特に2回目の解説では“テンソル”を用いて再構成されています.多分,学習効果を狙っての江沢先生流の解説なのでしょう.
 もう一つの特徴として,先生ご自身“愚直な計算方法とした”と書かれていらっしゃるように,丁寧な式展開が試みられています.成分ごとに丁寧に導出されています.
 骨は折れるかもしれません.しかし,全てをやりきった後には,確かな力がついているのではないでしょうか.

 本書は特殊相対性理論までしか解説されていませんが,さすが江沢先生流の相対論の講義だなと頷かれる方も多いのではないかと思います.(最終章に,一般相対性理論の触りが載っていますが,全体としてみたら,特殊相対性理論の入門書と見たほうが良いでしょう.)
 (特殊)相対性理論の入門書をお探しの方は,手に取っていただければ幸いです.


【今回ご紹介した書籍】
基礎物理学選書27 相対性理論』
  江沢 洋著/A5判/332頁/定価3960円(本体3600円+税10%)/2008年9月刊行
  裳華房/ISBN 978-4-7853-2139-0
  https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-2139-0.htm


「裳華房 編集子の“私の本棚”」 Copyright(c) 裳華房,2015
Shokabo-News No. 319(2015-12)に掲載 



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