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第35回 小学生がみせる本格的な研究とは……森見登美彦 著『ペンギン・ハイウェイ』(角川文庫)
編集者のFです.
主人公のアオヤマ君は小学校の四年生.
ここからアオヤマ君の「ペンギン・ハイウェイ研究」は始まり,クラスの友人も仲間に加わって物語は展開していきます.
研究対象こそ「ペンギン出現の謎」というフィクションなのですが,彼らの研究手法はとても科学的です.ペンギンたちの様子を観察してノートに記録する.いろいろな実験を試し,その結果から考察する.仲間と議論しながら仮説を立てていく…….これぞまさに研究のお手本!といった感じで,読了当時,大学院生だった私は彼らに脱帽しました.
また,冒頭で紹介したような子どもならではの行動や視点が随所にちりばめられているのも本書の魅力の一つ.共感できるものが多々あり,じんわりと懐かしさを感じました.作者自身,「自分が幼かった頃に考えていた根源的な疑問や、欲望や夢を一つ残らず詰め込みました。」[*1]と語っており,きっと読者のみなさまの琴線に触れるものもたくさんあると思います.
さらに,アオヤマ君を「ナマイキ」とからかいながらも可愛がってくれる“お姉さん”をはじめ,彼らの成長を見守る大人たちの温かさもステキです.アオヤマ君とお姉さんの会話にクスクス笑いつつ,『ペンギン・ハイウェイ』の不思議な世界を堪能していただきたく思います.
【今回ご紹介した書籍】 「裳華房 編集子の“私の本棚”」 Copyright(c) 裳華房,2016 ※「裳華房 編集子の“私の本棚”」は,裳華房のメールマガジン「Shokabo-News」にて連載しています.Webサイトにはメールマガジン配信の約1か月後に掲載します.是非メールマガジンにご登録ください. |
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