雑誌『生物の科学 遺伝』 1997年1月号(51巻1号)
B5判 112頁 



【特集 認知科学/佐藤隆夫 企画】
    われわれは,外界にあるさまざまなものを見たり,聞いたりし,認識し,その結果を記憶し,また行動 に反映させて行く.認知科学とは,こうしたプロセス全体を対象とする学問である.人間の広い意味 での認知的な機能を学際的に解明していく学問であり,生理学・医学・工学等の分野の技術の進展 に伴い,飛躍的な進歩をみせている.本特集では,認知科学と心理学(心理学の本当の姿が一般に正 しく理解されているとは言い難い)の重なり合う部分の,興味深い話題を紹介する.

    特集にあたって―認知科学と心理学 (佐藤隆夫)
    視覚―目の錯覚を通じて脳のしくみをさぐる(竹内龍人)
    言語音知覚―なぜわからない,RとL(山田玲子)
    記憶の方法―書くとよく覚えられるか?(仲 真紀子)
    ハトの「認知」テスト(坂上貴之)
    言語獲得―ことばはどこから来るか?(今泉 敏)
    注意―視覚的探索を中心に(熊田孝恒)
    脳損傷による認知障害「失語」と「失認」(利島 保)
    眼球運動と認知機能―技能としての注視(三浦利章)
    教育と認知科学(三宅なほみ)
【今月の解説】
    諸外国と日本における最近の近親婚率(今泉洋子)
    トランスジェニック植物―食糧生産から医薬品製造へ(山口彦之)
【今月の解説】
    真珠の分子生物学(松代愛三)
    虫を食べる風習―タイにおける食虫習俗の現状(桑原雅彦)
    サプレッサーか優性罹病性遺伝子か―優性罹病性遺伝子の進化的意義(清沢茂久・野村和成)
【トピックス】
    火星からの隕石に生物の痕跡?(小林憲正)
    根ではなく,茎に付着する“根粒菌"(湯川英明)
【連 載】
    随想/停年をたのしむ(茅野 博)
    連載エッセイ・自然と私/ダーウィンの六つの季節(上田恵介)
    江戸東京の自然誌/中里貝塚と縄文へのロマン(唐沢孝一)
    植物文化史/ノリ−海苔養殖(臼井英治)
    実験・観察のページ/生き物を見つめる実験と観察:島の生物を見つめる臨界学習(石黒政敏)
    ヒトの遺伝をめぐる12の疑問/双生児を生みやすい体質?(中込弥男)
    沖縄の生き物の不思議な生活/カンシャワタアブラムシ―天敵から仲間を守るアブラムシ(新垣則雄)
    実験生物ものがたり/マウス(米川博通)
    生物ライブラリー/新しい健康読本―食事と健康のハーモニー・DNAが語る稲作文明―起源と展開・眼が語る進化・シダ植物の自然史・分子系統学



         

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