雑誌『生物の科学 遺伝』 1997年10月号(51巻10号)
B5判 112頁 


【特集1 顕微操作の分子生物学/黒岩常祥 企画】
     “顕微操作の分子生物学"とは,従来生物や細胞を集団として扱うことによって発展してきた分子生物学からさらに一歩踏み込み,細胞や細胞小器官の個性・多様性に着目・解析しようとする学問分野である.
     現在未熟な段階ではあるが,その技術・方法・思考は,近い将来生物学のあらゆる分野に大きな影響を与えると思われる.
     この新しい分子生物学の現状と,将来何が可能になるかを紹介する.

    特集にあたって(黒岩常祥)
    レーザー光解剖とレーザー光ピンセットの原理(佐甲靖志)
    細胞膜タンパク質分子を操る(佐甲靖志)
    ミトコンドリアと色素体の顕微操作による分子生物学的解析(西村芳樹・黒岩常祥) 植物細胞・染色体のレーザー光学を用いた顕微操作(福井希一・光永伸一郎) 細胞から特定の染色体を取り出す―染色体マイクロダイセクション法(松永幸大) 組織の中の狙った1個の細胞から未知の遺伝子を探索する(東山哲也)
【特集2 樹木の遺伝・育種/諸星紀幸 企画】
     身の回りの街路樹や森・林,あるいは建築材や製紙原料としてなど,樹木は われわれに身近な存在であり,生活に憩いと潤いを与えてくれる.
    育成期間 の長さなど遺伝・育種研究には不向きな面もあるが,環境問題をはじめとす るきわめて重要な課題の克服のためにこの分野は決して欠くことのできない ものであり,最近の技術の進展もあって,さまざまな興味深い成果が得られ つつある.
    花粉の少ないスギをつくる(近藤禎二)
    樹木への有用形質遺伝子の導入(山田恵子・海老沼宏安)
    熱帯林の再生(浅川澄彦)
    遺伝マーカーで探るブナ林の遺伝構造(高橋 誠)
【今月の解説】
    ヤドカリの家探し(今福道夫)
    電磁波の生体への影響(佐藤利三郎)
    日本各地のシソとエゴマ―利用・維持の方法と種子の形質の関係(新田みゆき)
【トピックス】
    テロメレースと細胞の老化,癌化(石川冬木)
    分裂病患者の前頭葉でドーパミンD1受容体が低下(融 道男)
【連 載】
    随想/楽しい微生物学(桐谷和文)
    連載エッセイ・自然と私/マラリアのある島で(川端眞人)
    植物文化史/チョウセンニンジン−不老長寿(臼井英治)
    江戸東京の自然誌/製塩技術の変遷(唐沢孝一)
    実験・観察のページ/ニワトリ胚心臓の組織片培養(小田勝士)
    ヒトの遺伝をめぐる12の疑問/優性遺伝と劣性遺伝(中込弥男)
    海の向うのワンダーランド−海外調査こぼれ話/ロシア・モンゴル犬紀行(田名部雄一)
    実験生物ものがたり/ムラサキツユクサ(市川定夫)
    生物ライブラリー/ダーウィンの花園・ニホンミツバチ誌・世界を制覇した植物たち・日本のルイセンコ論争




         

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