雑誌『生物の科学 遺伝』 1999年1月号(53巻1号)
B5判 112頁 (特大号)


【特集1 類人猿の行動と文化の多様性−ヒト化への手がかりを探る/山極寿一 企画】
     ヒトはその歴史の中できわめて多様な文化を創造してきたが,その由来を解明することは容易ではない.ヒトと近縁な類人猿の行動を観察することで,わわわれヒトの祖先がどのようにしてヒトへの道を歩み始めたのかを明らかにすることができるのではないだろうか.チンパンジー,ゴリラ,ボノボなどアフリカにすむ大型類人猿の行動に,ヒトの文化の源を探った.
【特集2 植物の耐塩性/村田紀夫 企画】
     塩環境に耐性をもつ植物がいる.これらの植物たちは,どのように塩環境に適応しているのか.その機構がわかれば,関連遺伝子を導入することにより,人工的に“耐塩性”植物を作りだすことができる.塩害に悩む地域の作物生産を可能にするだけでなく,砂漠緑化にも大きく貢献できるであろう.耐塩性機構の解明と,遺伝子のクローン化および他植物への導入,今後の展望を紹介しよう.
【トピックス】
    生命の起源 RNAから?(渡辺公綱)
    福山型筋ジストロフィー原因遺伝子を発見−起源は縄文・弥生時代(戸田達史)
    記憶の貯蔵と検索(大林真知子・宮下保司)
【連 載】
    連載エッセイ・自然と私/日本列島にはアザミの新種がごろごろ!?(門田裕一) 人類遺伝学の発展−草創期から黎明期まで(柳瀬敏幸)
    植物文化史(臼井英治)/ウラジロ−正月のお飾り
    江戸東京の自然誌(唐沢孝一)寅さんと東京低地帯
    実験・観察のページ/動物園・野猿公苑でのサルの群れの観察(浜井美弥)
    諫早湾の生物−有明海特産種の宝庫/有明海の干潟のカニ(小菅丈治)
    進化の支流と本流(石川 統)/真社会性動物の新顔たち
    動物たちの気になる行動/鳥のナワバリを描く(上田恵介)
    国際学会見聞録/第18回国際遺伝学会議(高野博嘉)
    私のメモ/乳酸菌の観察とヨーグルトづくり(田中俊雄)
    生物ライブラリー/『ツバメの街』『磯焼けを海中林へ』『ノーベル賞からみた遺伝子の分子生物学入門』



         

自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.