雑誌『生物の科学 遺伝』 1999年10月号(53巻10号)
B5判 112頁 (特大号)


【特集1 日本の草地が危ない/中越信和 企画】
    日本の草地の多くは,人とのかかわりによって形作られてきた二次的自然である.しかし,草地には豊かな生物相が成立し,希少な生物たちが暮らしている.ところが最近,農畜産業の衰退・構造の変化等に伴い,日本の草地は急速に失われつつある.この草地を守るためには,どのような考え方・手だてが必要なのか.日本の草地は,いま存亡の危機に立たされているのである.
【特集2 飲酒と遺伝/原田勝二 企画】
    適度なアルコール飲料の摂取は健康にも良く,人と人とのコミュニケーションをスムーズにするが,過度な飲酒はさまざまな病気の原因となり,アルコール依存症にもつながる.近年,アルコールの代謝に関する遺伝子が解明され,その個人差,民族による差異などがわかってきた.いわゆる酒に強い・弱いにはどんな遺伝子が関係するのか等,人と飲酒の関係の遺伝的側面を紹介する.
    特集にあたって(原田勝二)
    飲酒に影響を与える遺伝子(上野易弘)
    飲酒の遺伝生態学(原田勝二)
    アルコール依存症と遺伝子(村松太郎)
【トピックス】 【今月の解説】
    アゲハがお尻“見”ているもの−尾端光受容器の構造と機能(蟻川謙太郎)
    ブナ林域におけるスギ人工林の植物種多様性−人工林にはどのような種が出現するのか?(長池卓男)
【連 載】
    エッセイ・自然と私/ないものを見る(森島啓子)
    万里同符−トロイカエッセイ/漱石,メキシコ,ふたつの自分(佐倉 統)
    植物文化史(臼井英治)/ショウガ−百邪を防ぐ
    実験・観察のページ/インターネットの特性を活かした樹木観察と環境教育   −サイバー図鑑とテレビ会議システムの活用(堀内順治)
    環境保全の現状/三番瀬の鳥類−春の鳥類相   (桑原和之・箕輪義隆・石毛久美子)
    諫早湾の生物−有明海特産種の宝庫/有明海の生物多様性保全の意義(菊池泰二)
    進化の支流と本流(石川 統)/渦鞭毛藻の不思議な葉緑体
    動物たちの気になる行動/網を張るクモの捕食行動(吉田 真)
    海の向うのワンダーランド−海外調査こぼれ話/タバコ属野生種を探して(川床邦夫)
    生物ライブラリー/『現代によみがえるダーウィン』『クローンの世界』
    『ネズミに学んだ遺伝学』『学習する脳・記憶する脳』『熱帯昆虫学』



         

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