雑誌『生物の科学 遺伝』 2000年1月号(54巻1号)
B5判 112頁 (特大号)


【特集1 21世紀の老化研究−分子から細胞,そして個体へ/石井直明 企画】
    健康で長生きしたい−かつて経験したことのない高齢化社会を迎えるわれわれにとって,その願いはいっそう切実さを増していると言えるだろう.この願いに,科学はどこまで応えることができるのか.老化にかかわる遺伝子,老化機構の分子メカニズムが明らかになりつつあり,分子から細胞,そして個体レベルでの老化制御の可能性がみえてきた.新世紀に向かう老化研究の現状をお伝えする.
【特集2 インフルエンザとその背景のウイルスたち/根路銘国昭 企画】
    インフルエンザは一般に「風邪」としてとらえられることが多いが,高齢者や 体の弱っている人を中心に毎年大量の死者を出している危険な病気であり,最 近は若年層に脳炎をも引き起こすようになっている.インフルエンザウイルス の進化速度はきわめて速く,そのことがワクチンによる予防を困難にしている. したたかなインフルエンザウイルスの生きざまと,予防・治療の現状を紹介.

    変わりゆくインフルエンザウイルス,それでも太古の時代の面影を残す(根路銘国昭)
    インフルエンザ−疾患とその変貌(富樫武弘)
    インフルエンザウイルスのゲノム(杉田繁夫)
    インフルエンザウイルスの進化(鈴木善幸・五條堀 孝)
    インフルエンザワクチンと抗ウイルス剤(菅谷憲夫)
【トピックス】
    国際生物学賞 江橋節郎博士に(丸山工作)
    27億年前の光合成生物と真核生物(大路樹生)
    頭の良くなる薬(八木 健)
【今月の解説】
    「裏切り者」を監視する社会の免疫機構−アリにおける階層性とポリシング(辻 和希)
    哺乳類のゲノムインプリンティング(石野史敏・金児-石野知子)
【連 載】
    エッセイ・自然と私/科学の時代にこそ自然を(谷田貝光克)
    万里同符−トロイカエッセイ/アナロジーの復権(佐倉 統)
    植物文化史(臼井英治)/ナギ−熊野信仰の象徴
    実験・観察のページ/野生酵母をつかまえる(東山佳史・森本弘一)
    環境保全の現状/愛知万博と海上の森(波田善夫)
    動物たちの気になる行動/アリの喧嘩の謎に迫る−巣仲間の認識(秋野順治)
    海の向うのワンダーランド−海外調査こぼれ話/
      カムチャツカ半島−氷河と火山と植物と(原 登志彦)
    研究室・研究所めぐり/志津川町自然環境活用センター(横浜康継)
    私のメモ/ツメガエル幼生の成長と広さと温度(小田切秀穂)
    生物ライブラリー/『消えゆくものたち−超稀少動物の生』
     『ミツバチと暮らす四季』『実験室の小さな生きものたち』
     『江戸時代の自然』『不老と不死』



         

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