脊椎動物のなかで原始的なグループに属する魚類の仲間には，その性と繁殖行動においてきわめてユニークな戦略を採用しているものが多い．ここでは，受精行動，子育て，配偶子，性淘汰，そして脊椎動物では唯一魚類にだけみられる性転換という話題を取りあげ，魚類の繁殖戦略とその進化にまつわる不思議を考察する．

特集にあたって（桑村哲生）
雄が小さいコリドラスとその奇妙な受精様式（幸田正典）
せめぎあう雄と雌−水面下のかけひき（奥田　昇）
精子の多型現象と兵隊精子説（早川洋一・中嶋康裕）
配偶者選択と性差の進化（狩野賢司）
環境で性が決まる魚（大西信弘・坂井陽一・関さと子）

遺伝子操作による高温耐性植物の開発（射場　厚）
アオガラのメスは夫の紫外色によって子の性比を変える（濱尾章二）

新しい小型実験魚としてのハゼ科シロウオ（中辻孝子・斉藤大樹）
大野　乾 先生を悼む（尾本恵市）

エッセイ・自然と私／ミュージアムの躍動とサイエンスライティング
　　−「いかに語られているか」を見せる（瀬名秀明）
万里同符−トロイカエッセイ／往還としての死（田沼靖一）
実験・観察のページ／体細胞分裂の観察を確実に行う簡易染色法と材料の条件（半本秀博）
環境保全の現状／野生動物の保全を考える−肝臓の酵素は訴える（藤田正一）
動物たちの気になる行動／観察巣箱からひろがるミツバチの宇宙（中村　純）
進化研究のコンセプトを語る／集団遺伝学の立場から（太田朋子）
研究室・研究所めぐり／滋賀県立琵琶湖博物館（中島経夫）
生物ライブラリー／『擬態−だましあいの進化論＜１，２＞』
　『牧野植物図鑑の謎』『生物学の歴史』

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