雑誌『生物の科学 遺伝

2004年5月号(58巻3号)
B5判/112頁/

【特集 学習・教育と脳科学/小泉英明 企画】

 近年,脳科学の進歩がめざましいことは,テレビ番組などで取りあげられることも多いので,皆さんもご承知のことと思います.
 人間の脳の働き(高次脳機能)を安全に画像化できるようになり,基礎研究だけではなく,現実の人間社会への応用研究も可能となってきています.生物学的見地からみると,「学習」は環境からの入力によって脳の神経回路網を構築する過程であり,「教育」はこの入力を制御・補完する過程と捉えられます.
 本特集では,この新しい分野の概要を,文部科学省の研究プログラム『脳科学と教育』の成果を中心にご紹介します.

    特集にあたって(小泉英明)
    「脳科学と教育」の現状と展望(小泉英明)
    分子機構面からみた学習とは? −シナプス可塑性の誘導メカニズム真鍋俊也
    知的発達を規定するもの:遺伝子か環境か(桃井真里子)
    人間らしさをどう育むか? −前頭連合野の知能(PQ)とその教育の重要性(澤口俊之)
    ことばの習得と脳機能,そして学習障害(正高信男)
    子どもの脳はいかにして人間の脳となるか −神経回路の発達からみた臨界齢(瀬川昌也)
    コミュニケーション能力の源流 −人間の感覚統合発達過程の画像化(定藤規弘)
    記憶の累積と一瞬の閃き −大脳辺縁系と新皮質の連携仁木和久
    不登校はなぜ起こるか? −その神経科学的解明と治療・予防法の開発(三池輝久)
    痴呆からの脱出 −学習療法の新展開川島隆太
    付録:人間の高次脳機能の画像化(定藤規弘)
【トピックス】
    両性具有の芳醇 −パパイヤの性染色体(杉山立志・河野重行)
    気候変化と生物多様性の消滅(大場秀章)
    Lawton教授に日本国際賞(岩槻邦男)
【連 載】



         

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