ヘルマン・ワイルの誕生日
(2001年11月1日)
11月9日はヘルマン・ワイル(Hermann Klaus Hugo Weyl,1885〜1955) の誕生日です.
数学や物理学を勉強すれば,いたるところで彼の名を見つけることができます.1885年,プロシア(現ドイツ)のエルムスホルンに生まれました.
1908年,ゲッティンゲン大学において,積分方程式論の研究で学位を取り,1913年までここで仕事をします.かのヒルベルト(D. Hilbert)が先生だったそうです.
1913年から1930年まで,チューリッヒ連邦工科大学の教授を勤め,1930年,ヒルベルトの後任としてゲッティンゲン大学に戻りました.しかし,ナチスの勢力が大きくなったため1933年アメリカに亡命し,プリンストン高級研究所(Institute for Advanced Study)の教授になりました.
1951年退職して以降は同研究所の名誉教授となり,1955年12月8日,チューリッヒで亡くなっています.業績は多岐にわたり,作用素のスペクトル理論,群の表現論,Riemann面の理論,アファイン接続の概念の導入,などをはじめとする数学上の仕事に加え,“Gruppentheorie und Quantenmechanik”(群論と量子力学)や“Raum, Zait, Materie”(空間・時間・物質)などの著書でもわかるように,量子力学や相対性理論などの物理学の分野でも,表現論や微分幾何学を応用した仕事をしています.
なお,月の裏側に“Weyl”の名前が付けられたクレーター(17.5N,120.2W,108km)があります.
とくに重力場と電磁場を幾何学的に統一しようとした試みは,物理理論としてはうまくいきませんでしたが,現在の統一理論の先駆けといえる仕事です.
ちなみに,現在のゲージ理論の“Gauge”という言葉は,この時のワイルの試みの中で彼が初めて使ったもので,計量テンソルにスケールファクターを加えたような形をしており,「ゲージ変換」がまさに「ものさし変換」になっているような理論でした.
ワイルに関連する研究機関 ●ゲッティンゲン大学
●チューリッヒ連邦工科大学
●プリンストン高級研究所
おもな著書 ●“Algebraic Theory of Numbers”,Princeton University Press,1940
●“Classical Groups,Their Invariants and Representations”(2nd ed.),Princeton University Press,1946
(翻訳書) ●『リーマン面』
田村二郎 訳/定価3520円(本体3200円+税10%)/岩波書店●『数学と自然科学の哲学』
菅原正夫ほか 訳/定価4180円(本体3800円+税10%)/岩波書店●『空間・時間・物質』
内山龍雄 訳/定価3740円(本体3400円+税10%)/講談社(品切れ中)●『空間・時間・物質』(物理科学の古典10)
菅原正夫 訳/定価3850円(本体3500円+税10%)/東海大学出版会(品切れ中)●『シンメトリー』
遠山 啓 訳/定価2349円(本体2136円+税10%)/紀伊國屋書店●『群論と量子力學(復刻版)』
山内恭彦 訳/現代工学社(品切れ中)
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