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裳華房 今月の話題

ニュートリノの質量検証


★ 太陽ニュートリノ観測にも質量ありの結果!

 1998年に,東京大学宇宙線研究所のスーパーカミオカンデの実験グループが,スーパーカミオカンデによる大気ニュートリノの観測によって,ニュートリノ振動の強い証拠を見つけることに成功しました.このニュートリノ振動が見つかるということは,ニュートリノが質量をもっていることを意味します.

 そして,今年の7月18日,カナダ・アメリカ・イギリスの共同実験グループが,太陽内部でできる太陽ニュートリノに質量があることを示す実験結果を得たと発表しました.今回の実験は,カナダにあるサドベリーニュートリノ天文台によって行われ,これまでのスーパーカミオカンデでの観測結果と照らして分析を進めた結果,太陽ニュートリノが地球に到達する間に別のニュートリノに変わっていることを確かめたものです.

 カミオカンデグループによる「大気ニュートリノに質量あり」の発表と,今回の「太陽ニュートリノに質量あり」の発表によって,ニュートリノに質量が存在することは確実となりました.20世紀の素粒子物理学は,ニュートリノの質量はゼロとして組み立てられてきました.しかし,ニュートリノに質量が存在することが確実となったことを受け,20世紀初頭にニュートン力学がアインシュタインの相対性理論に包含されたように,現在の素粒子の標準理論を含んだ形での新たな理論の誕生が期待されます.
 21世紀の素粒子物理学は,いま新たなスタートを切ったと言えるのではないでしょうか.

◎ 最新情報はこちらから

高エネルギー加速器研究機構 (KEK)

K2K つくば-神岡間 長基線ニュートリノ振動実験 公式ページ

東京大学宇宙線研究所(ICRR)

宇宙ニュートリノ観測情報融合センター


◎ 関連書籍

ニュートリノと重力波 日本物理学会 編,裳華房

謎の粒子 ― ニュートリノ (川崎雅裕 著,丸善

ニュートリノの謎 (長島順清 著,サイエンス社

※注 ここに取り上げたものは関連書籍のごく一部です.



         

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