肥満と糖尿病 (2002年7月1日)
30代も後半になると,お腹が出てきたり,健康診断で「太りすぎ」のレッテルを貼られた方も多いと思います.
肥満は体の中の脂肪細胞に余分な脂肪がため込まれて起こるそうですが,最近,この脂肪細胞をめぐっての研究が注目されています.京都大学医学部の清野 裕教授と山田祐一郎助教授らによると,十二指腸や小腸の入り口近くで分泌されるGIPというホルモンに着目し,脂肪細胞の表面にこのGIPの受容体がないマウスは高脂肪食を食べても「太らない」ということがわかりました.
また,GIP受容体がないマウスは,高脂肪食を与えられた直後から普通のマウスより脂肪を多く消費する傾向がありました.また大阪大学医学部の松沢佑次教授や,東京大学大学院医学系研究科の門脇孝助教授,山内敏政医師らによると,悪者扱いされがちなこの脂肪細胞で作られるアディポネクチンというホルモンには血糖値を下げる働きがあることがわかり,糖尿病を改善する新薬の開発につながる成果といわれています.
いつの日か肥満や糖尿病で悩まなくてもすむ時代がひょっとすると来るのかも知れませんが,それまではやはりバランスのとれた食生活や適度な運動が一番大切なことは言うまでもありません.
ここでは肥満と糖尿病に関係するサイトのいくつかを紹介します.
※上記二つのサイトは小社の『ポピュラー・サイエンス 糖尿病の本当のはなし』(清野 裕・鍵本伸二 共著)の著者によって製作・管理されています.
○厚生労働省の糖尿病ホームページ(監修 日本糖尿病協会)
自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.