牧野富太郎と植物学
(2001.4.1,2002.4.25一部更新)
「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎は,文久2年(1862)4月24日,高知県高岡郡佐川町に生まれました.この日は「植物学の日」とされています.
牧野は独学で植物の研究を始め,22歳で上京,東京大学理学部植物学教室にも講師として籍を置いていた時期もありました.
日本中を踏査し数多くの新種を発見し,27歳のとき日本で初めて新種ヤマトグサに学名をつけたのを始めに,昭和32年(1957)に亡くなるまでの95年の生涯で,2500種以上の植物を命名しました.また,植物画の名手としても有名で,その植物知識の集大成である『牧野日本植物図鑑』(昭和15年;1940)は時代を超えて読みつがれています.
ここでは,牧野富太郎に縁の施設,書籍などを紹介します.
●牧野富太郎に縁の施設など
昭和33年(1958),牧野を生んだ高知県に設立された植物園(高知市五台山)で,県内の植物を中心に,その業績を表すよう野外の植栽を行っています.
平成11年(1999)11月には,研究室,実験室,ハーバリウム,図書室(牧野文庫収蔵)を含む研究館と,植物画ギャラリーや映像ホール,企画展示を行う展示館などを新設し,研究型総合植物園としてリニューアルオープンしています.東京都立大学の牧野標本館には,牧野の没後寄贈された植物標本約40万点が収蔵されており,中には新種記載の基準標本(タイプ標本)も含まれています.
専門の研究者により整理されてきた標本は,現在,一般に向けて約700点がディジタル画像データを含むデータベースとして公開されています.「我が植物園」として,牧野がこよなく愛した旧牧野邸を,昭和33年より一般公開しています.園内には,牧野の収集した340余種の草木類が植栽されています.
なかでも,関東では珍しいといわれるシロバナマンジュシャゲが有名です.●牧野富太郎についての書籍
・『改訂増補 牧野新日本植物図鑑』 (北隆館 発行,定価22000円(本体20000円+税10%))
1940年に牧野が出版した『牧野日本植物図鑑』は,その晩年から大増補が施され,没後もリニューアルされて現在に至っています.植物図鑑の基本となる1冊です.(復刻版はこちら)
・『牧野植物図鑑の謎』 (俵 浩三 著,平凡社新書17,定価726円(本体660円+税10%))
あまり知られていない,牧野と競って植物図鑑を出版していた村越三千男にもスポットを当て,その葛藤を描き,牧野の個性を浮き立たせています.
・牧野富太郎の著作リスト (牧野富太郎記念館による)
●牧野博士生誕140周年記念特別展 書籍の博覧を要す 〜牧野富太郎蔵書の世界〜
2002年4月19日から7月21日まで,高知県立牧野植物園の牧野富太郎記念館 企画展示室にて開催.植物園入園料大人500円(高校生以下は無料).
2001年3月14日から4月8日まで,東京・新宿の小田急美術館(小田急百貨店11階)にて開催.入場料:一般800円,大・高・中生600円.(終了しました)
2001年6月9日から7月22日まで,大阪市立自然史博物館にて開催.高知県立牧野植物園が所蔵する植物学者・牧野富太郎博士の植物画をはじめ,博士の植物画コレクションの他,博士の遺品やエピソードを通じて,牧野富太郎の人間的魅力を紹介します.(終了しました)
●おまけ
・全国の植物園の情報を入手するには (World Nature Network)
・書籍 『植物の多様性と系統』 (バイオディバーシティ・シリーズ2)
加藤雅啓 編,定価4730円(本体4300円+税10%),裳華房
自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.