今月の話題
ヒトゲノム解析プロジェクト完了 (2000.8.1)1990年,米国で公式にスタートしたヒトゲノム解析計画は,当初の予定(2005年終了)より大幅に早く,今年6月26日には日米欧の幹部が記者会見を開き,大まかな解析を終えたと発表しました.
この会見には,国の設備を上回るような高性能のコンピュータを何台も揃えて解析を推し進め,今年4月には「ヒトゲノム全塩基配列解析を終了した」と発表していたセレーラ・ジェノミクス社のクレイグ・ベンター社長が同席し,各国の研究機関に歩み寄りの姿勢を見せているようです.
これまで「国の研究機関がすでに公表しているデータベースなども利用したうえで,一企業で遺伝子特許を独占しようとしている」等と批判の対象となっていたセレーラが姿勢を変更するとしたら,今後の進展に大きな意味をもちますが,どうなるでしょう.なりゆきが注目されます.
遺伝子情報に基づく「個性の生物学」「個性にあわせた(オーダーメイドの)医療」などが,新しいゲノム時代のキーワードとなります.次なるステージを迎える「(ポスト)ヒトゲノム計画」からは,当分目が離せそうにありません.<ヒトゲノム計画関連ホームページ>
理化学研究所ヒトゲノム解析研究センター
国際ヒトゲノムプロジェクトのもと,ゲノム地図の作成(ヒト第21番染色体など),
ゲノム塩基配列の決定・解析を行なっている.東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センタ−
京都大学化学研究所と共にコンピュータネットワーク「ゲノムネット (GenomeNet) 」
を構築.データベース統合検索システム DBGET/LinkDB などを提供している.科学技術振興事業団の高機能基盤生体データベース
財団法人癌研究会,慶応大学,北里大学,東海大学とともに,ヒトの第3,6,8,
9,21,22番染色体を対象として配列決定,公開を行なっている.かずさDNA研究所
ヒトの全長 cDNAについてのデータベースを提供している.大塚GEN研究所
東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターと共同で,ヒトcDNAデータベース
GENOTK を提供している.大阪大学・東京大学ボディ・マップ
ヒト・マウスのcDNA発現パターンデータベース「ボディマップ」を提供している.日本DNAデータバンク
あらゆる生物のゲノム情報を集めた,世界三大遺伝子情報データバンクの一つ.
<小社から刊行されているヒトの遺伝子関する本・雑誌の特集>
ポピュラー・サイエンス
「遺伝子できまること、きまらぬこと」
中込弥男著/定価1650円(本体1500円+税10%)
「動きだした遺伝子医療−差し迫った倫理的問題」
松田一郎 著 /定価1650円(本体1500円+税10%)
「遺伝Q&A」 9月上旬刊行予定
中込弥男 著/定価1760円(本体1600円+税10%)21世紀への遺伝学 5
「人類遺伝学」
今村 孝 編/定価3740円(本体3400円+税10%)
雑誌『生物の科学 遺伝』2000年4月号(特大号)
「特集・ヒトの遺伝子」(榊 佳之 企画)/定価1540円(本体1400円+税10%)
自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.