今月の話題
若田さん再び宇宙へ
(ver.3.0 2000.10.16修正)
若田光一宇宙飛行士を乗せたスペースシャトル・ディスカバリー号(STS-92)が,日本時間10月12日午前8時17分)にケネディ宇宙センターから打ち上げられました.スペースシャトル計画としては記念すべき100回目のフライトとなりました.
今回のスペースシャトルのミッションは,国際宇宙ステーション(ISS)の建設を目的としています.
ISSは,地上から約400kmの上空に建設される巨大な有人施設で,アメリカ・ロシア・日本・ヨーロッパ諸国・カナダ・ブラジルなどの国際協力によって,2006年の完成を目指して建設が進められています.
完成後は,1周約90分というスピードで地球のまわりを回りながら,地球や天体の観測をはじめ,微小重力や宇宙放射線など,地上とは大きく異なる特殊な宇宙環境を利用した,さまざまな新しい科学研究や技術開発が行われる予定です.
若田さんは,1996年1月のスペースシャトル・エンデバー号(STS-72)による初飛行の際に,スペースシャトルに搭載されたロボットアームを使用して,日本の人工衛星「宇宙実験・観測フリーフライヤー(SFU)」の捕捉や船外活動の支援,NASAの人工衛星(OAST
FLYER)の放出などを行いました.
今回のミッションでも,ロボットアームの操作を担当し,建設中のISSの本体と今回の主ペイロードであるZ1トラス(通信システムや姿勢制御システムを搭載した構造体)とPMA-3(ISSとスペースシャトルとのドッキングポート)を結合するという非常に重要な作業を行います.
また,前回と同様に,船外活動クルーが作業を行う際に,シャトルのロボットアームの先端にクルーを乗せて足場とし,作業場所へ移動させたりして船外活動を支援したり,シャトルのロボットアームに取り付けられたビデオカメラを利用して,カーゴベイ(貨物室)内の点検や組立後のISSの状況などの撮影を行います.
そのほかにも,さまざまな任務が予定されています.
今回のミッションが終了すれば,国際宇宙ステーションはいよいよ定住が可能となり,11月の末には3人の滞在クルーが送り込まれる予定です.その意味からも,今回のミッションは大変に重要です.
ミッションの進行状況について,宇宙開発事業団(NASDA)のホームページをご覧ください.またNASDAでは,ミッション期間中,常時ライブ中継を行っています.
また,宇宙作家クラブでは,現地で取材していた作家の笹本祐一さんとマンガ家のあさりよしとおさんをはじめ,メンバーが,逐次,ニュース掲示板で進行状況をわかりやすく解説しています.
● 宇宙開発事業団(NASDA)
スペースシャトルSTS-92
STS-92プレスキット
ビデオライブラリ
ミッションライブ中継
国際宇宙ステーション
日本の開発する実験モジュール「きぼう」
宇宙環境利用研究システム
● NASA(アメリカ航空宇宙局)
International Space Station
Space Shuttle STS-92
● ESA(欧州宇宙機構)
● CSA(カナダ宇宙庁)
● INPE(ブラジル国立宇宙研究所)
● RSA(ロシア宇宙庁)
● 宇宙作家クラブ
● 宇宙環境利用シンポジウム
「文化としての宇宙」(IN SPACE 2000)
宇宙にかかわる研究者や技術者のみではなく,さまざまな視点から宇宙ステーションを考えていくシンポジウム.今回は,劇作家の如月小春さんや通訳者・エッセイストの米原万里さん,早稲田大学の長谷川眞理子さん等が講演されます.
日 時:2000年10月26日(木)10:00〜17:30
場 所:経団連会館11階 国際会議場
参加費:1000円(講演会のみ),3000円(講演会&交流会)
申し込み締め切り:10月17日(必着)
問合せ先:(財)宇宙環境利用推進センター 調査研究部 IN SPACE2000事務局
〒169-8624 東京都新宿区西早稲田3-30-16
TEL:03-5273-2441, FAX:03-5273-9847
E-mail:rsd@jsup.or.jp
● 書籍 『宇宙環境利用のサイエンス』
宇宙開発事業団宇宙環境利用研究システム長 井口洋夫 監修
A5判/328頁/定価2200円(本体2000円+税10%)/裳華房
建設が進む国際宇宙ステーション.微小重力,真空,宇宙放射線など,地上とは大きく異なる特徴をもったその環境で,どのような新しい科学的発見や技術開発が可能なのか.
宇宙環境を利用したサイエンスのビジョンと必要な基礎的な知識を紹介します.
◆裳華房の「宇宙」「天文」関係の書籍については,こちらをご覧ください.
自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.