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Shokabo-News No.310 2015/4/8
裳華房メールマガジン 2015年4月号
https://www.shokabo.co.jp/m_list/m_list.html
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★目次★
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【1】新刊案内 『線虫の研究とノーベル賞への道』
【2】電子書籍のご案内
【3】オンデマンド出版のご案内
【4】[連載コラム]鹿野司の“読書ノート”
【5】[連載コラム]裳華房 編集子の“私の本棚”
【6】[連載コラム]裳華房の“古書”探訪
【7】お知らせ&編集後記
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【裳華房 東京開業120周年】
https://www.shokabo.co.jp/120th_anniversary.html
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【1】新刊案内(4月刊行)
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●『線虫の研究とノーベル賞への道
−1ミリの虫の研究がなぜ3度ノーベル賞を受賞したか−』
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-5863-1.htm
大島靖美 著/A5判/142頁/定価(本体2000円+税)/2015年4月中旬刊
裳華房/ISBN978-4-7853-5863-1
線虫は現在,ショウジョウバエと並んで遺伝学が駆使できる優れたモデル動
物として,世界中の研究室で使用されている.本書は,長年線虫の研究を行っ
てきた筆者が,ノーベル賞受賞者──ブレナー,サルストン,ホービッツ,フ
ァイア,メロ,下村 脩,チャルフィー,チェン等──の研究の内容,彼らの
実像や成功の秘密,ノーベル賞受賞の鍵,さらには生物学の将来への展望など
をやさしく解説した.また,分子生物学がどのように作られたのか,重要な発
見がいかにしてなされたのか,研究とはどのようにするものなのか等とともに,
幸運がしばしば決定的な役割を果たしたことなどについても語る.
【主要目次】1.虫:エレガンス線虫とは? 2.分子生物学の始まりと線虫の登
場 3.細胞や器官はどのようにしてできるか? 4.遺伝子の働きを抑える新し
い方法(RNA干渉)の発見 5.生きたまま特定のタンパク質や細胞を見る方法
とは? 6.まとめと展望
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【裳華房 新刊一覧】 https://www.shokabo.co.jp/book_news.html
【ご購入のご案内】 https://www.shokabo.co.jp/order.html
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【2】電子書籍のご案内
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3月下旬より,Amazon Kindle,楽天koboなどの電子書籍販売ストアにて,
下記生物系書籍4点の配信が始まりました(いずれも固定式レイアウトです).
●『医薬系のための 生物学』 丸山 敬・松岡耕二 共著
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-5224-0.htm
●『図解 分子細胞生物学』 浅島 誠・駒崎伸二 共著
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-5841-9.htm
●『イラスト 基礎からわかる 生化学 −構造・酵素・代謝−』 坂本順司 著
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-5854-9.htm
●『ワークブックで学ぶ ヒトの生化学 −構造・酵素・代謝−』 坂本順司 著
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-5859-4.htm
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【電子書籍のご案内】 https://www.shokabo.co.jp/ebooks/index.html
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【3】オンデマンド出版のご案内
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オンデマンド出版書籍[OD版]とは,出版物をデジタルデータ化することで,
1冊からの印刷・製本・販売を行う書籍のことです.裳華房では「万能書店」
に委託して販売しております.万能書店 → https://www.d-pub.co.jp/shop/
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裳華房の東京開業120周年記念事業の一つとして,長らく品切れになってお
りました下記の数学系書籍をオンデマンド出版書籍として復刊いたします.
今のところ6月頃の刊行を予定していますが,詳細が決まりましたら改めて
ご案内いたします.
●竹内端三 著『函数論 上巻(新版)』(本体3600円+税)
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-1022-6.htm
●竹内端三 著『函数論 下巻(新版)』(本体3400円+税)
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-1023-3.htm
日本における函数論の先駆的な名著として長年定評を得ており,理論の厳正
さ,着想の独自性,表現の正確さをもって知られているものです.
(今号の「裳華房の“古書”探訪」でも取り上げます)
●島倉紀夫 著『数学シリーズ 常微分方程式』(本体3300円+税)
https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-1403-3.htm
解法だけでなく,理論的側面に焦点を当てた,数少ない入門的和書です.
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【オンデマンド出版書籍】 https://www.shokabo.co.jp/mybooks/d-pub.html
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【4】[連載コラム]鹿野 司の“読書ノート” (第17回)
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ノンフィクション・ライター/サイエンスライターの松浦晋也さんと鹿野司
さんに,お薦め書籍や思い出の1冊,新刊レビュー等をご執筆いただきます.
今月号のご担当は鹿野司さんです.
・バックナンバーはこちら→ https://www.shokabo.co.jp/column/
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● ワグナー 著『進化の謎を数学で解く』(文藝春秋)
進化は、科学好きにとって人気のテーマの一つで、この問題に関する書籍は、
それこそ数え切れないほどたくさんある。けれど、この本はそのどれとも違っ
ている。
進化という概念は、現代の生物学の基礎中の基礎で、生き物の分類、行動、
生態から分子生物学まで、生命現象のありとあらゆる側面がこの理解なしには
はじまらない。
進化論は仮説だ、などということを今でも言う人がいるけれど、それは完全
に間違いで、様々なレベルで証拠も示せるし、実験的な証明も行われている。
進化というアイデアは至ってシンプルで、生命は放っておくと、子孫を増や
すうちにコピーのエラーが起き、変化せずにはいられないということと、その
変化の有り様は、取り巻く環境条件にあわせて、それにだいたいふさわしいも
のが偶然残されていく(適応)という組み合わせに過ぎない。
これほど単純な原理に、今さら謎などあるのかとすら思える。しかし、それ
にもかかわらず、進化には、これだけで理解できたとは言い難い、本質的な謎
がまだ残されている。
たとえば、生命の重大な構成要素であるタンパク質は、20種類のアミノ酸
が繋がってできている。そこで、100個のアミノ酸からなる、比較的小さな
酵素を考えてみると、そのつながりかたの可能性は20の100乗、つまり
10の130乗通りもあることになる。
10の130乗通りというのは、尋常な数ではない。これに比べれば、アボ
ガドロ数なんてチリみたいなものだし、地球に存在する水分子の総量でも10
の45乗個には届かない。それどころか宇宙にある全物質量ですら、水素原子
に換算して10の80乗個しかないわけだ。
一方、一般に酵素活性は、ほんの少しアミノ酸配列が変わっただけでも失わ
れてしまう。
そうだとすると、こんな超天文学的な膨大な可能性の中から、意味のある活
性を持つ配列が偶然に出来ることなど、宇宙開闢以来の全時間を費やして試行
を行ったとしても到底足りなくて、事実上不可能としか思えない。
つまり『自然淘汰は最適者の生存を説明できるかもしれないが、最適者の到
来を説明することはできない』。意味のある表現型の創出は、可能性が莫大す
ぎて探索しきれないはずなのだ。
そうだとすると、生命は一体どうやってその配列にたどり着いたのだろうか。
この『進化の謎を数学で解く』では、その進化と生命の謎に、ホルヘ・ルイ
ス・ボルヘスの『バベルの図書館』、すなわち存在する可能性がある全ての書
物が揃った図書館と同じような、すべての代謝反応が揃った図書館を想定して、
少しずつ解き明かしていく。
超天文学的な莫大な可能性の中から、意味のあるものを探索するという問題
は、たとえばコンピュータ将棋と、人間の将棋の指しかたの違いなどにも存在
するものだ。
将棋の指し手のうち、ルール上打てる可能性の数は10の220乗ほどもあ
るのに、その中からどうやって勝つ手筋を創りだしていくかという問題と、
この進化の謎とは、本質的なところで繋がっているように思える。
この本を読みながら、進化の秘密と知性の秘密には、どこか深い?がりがあ
るのだろうかと思いを馳せた。
【今回紹介した書籍】
● 『進化の謎を数学で解く』
アンドレアス・ワグナー 著,垂水雄二 訳/四六判/368頁/2015年3月発行
価格(本体2000円+税)/文藝春秋/ISBN 978-4-16-390237-1
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163902371
【鹿野 司さんのプロフィール】
サイエンスライター.1959年愛知県出身.「SFマガジン」等でコラムを連載中.
主著に『サはサイエンスのサ』(早川書房),『巨大ロボット誕生』(秀和シ
ステム),『教養』(小松左京・高千穂遙と共著,徳間書店)などがある.
ブログ「くねくね科学探検日記」 http://blog.blwisdom.com/shikano/
「鹿野 司の“読書ノート”」 Copyright(C) 鹿野 司,2015
次号は松浦晋也さんにご執筆いただきます.どうぞお楽しみに!
※本コラムは本メール配信約1か月後を目安に裳華房Webサイトに掲載します.
https://www.shokabo.co.jp/column/
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【裳華房 分野別書籍一覧】 https://www.shokabo.co.jp/mybooks/0000.html
【正誤表などサポート情報】 https://www.shokabo.co.jp/support/
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【5】[連載コラム]裳華房 編集子の“私の本棚”(第24回)
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編集部の有志が月替わりで,思い出の一冊やお薦めの書籍などを語ります.
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◆ カフェの経営に学ぶ ◆
●『カフェを100年、続けるために』
(カフェ・バッハ 田口 護 著,旭屋出版)
編集者のAです。今年は、およそ300年前に裳華房が仙台の国分町にて創業
し、その後、東京の日本橋にて開業してから120年という節目の年。現役の社
員として、この記念すべき年を迎えることができたことはとても喜ばしいこと
ですし、これまで支えてくださった読者の方々、先生方、そして、歴代の先輩
諸氏に感謝しなくてはいけないと、改めて思いました。
そんな思いの中、地元の書店で偶然にも嬉しい出会いがあって迷わず買って
しまったのが、コーヒー好き、カフェ好きの間ではあまりにも有名な「カフェ
・バッハ」の田口氏が執筆した、『カフェを100年、続けるために』です。
本メールマガジンの読者の中にも、コーヒー好きな人、カフェでのんびりと
した時間を過ごしたり、仕事をしたりすることが好きな人がたくさんおられる
と思いますが、その熱烈なファンであれば、「カフェ・バッハ」の名前は、一
度は耳にしたことがあるのではないかと思います(もちろん、実際に行かれた
ことがある方も大勢おられるかと思います)。
さて、本書は、田口氏がご夫婦で始めた小さな喫茶店「カフェ・バッハ」40
年のストーリーを通して、経営を長く続けていくために大切なことや、カフェ
の素晴らしさを綴ったものとなっています。私は時間が経つのも忘れて一気に
読んでしまいましたが、特に、“経営を長く続けていくために大切なこと”に
ついて書かれた部分は、私にとって、とても得るものがありました。
「今のカフェ・バッハのコーヒーは、お客様によって味が磨かれ、お客
様と共に成長し、お客様によって完成していったように思います。」
本だけではありませんが、すべての商品の評価は相対的なものであり、絶対
的なものではありません。同じ本でも、ある方は良いといい、またある方は良
いと言わないこともあります。そのため、「こうすれば誰からも良いと言われ
る商品になる」というような公式や魔法のようなルールはありません。でも、
その商品がターゲットとする方々にとって、少しでも良いと感じてもらえるも
のを目指したい。だからこそ、発売した商品に対していただく様々なご意見は、
その商品を改善したり、次の商品を作る上でとても大切なものとなってきます。
まさに、出版にも通じる言葉だと思いましたし、いまの裳華房も、そうして
形づくられてきたのではないかと思っています。
「みなさんに目指して欲しいのは、一等立地に店を出すのではなく、
店を開いた場所でがんばって、そこを一等立地にすることです。」
まだ類書がほとんどない分野(未開の地)を開拓し、その分野の出版におい
て一目置かれた存在になることはとてもハードルが高いことですが、編集者と
しては、それだけやりがいがあることだと思います。
「・・・失敗にも無駄なものと、そうでないものがあります。
無駄な失敗とは、思い込みでする失敗です。・・・
その反対に、論理的に取り組んでする失敗は、その人の経験に
なります。」
この言葉には、自分自身、思い当たることもあったりします、この4月から
新社会人になった方もおられると思いますが、ぜひ、田口氏の言葉を頭の片隅
にでも入れておいていただければと思います。
本書はカフェの経営という、出版とは畑違いの話ではありますが、分野を超
えて参考となる、そして学ぶべきことが多い言葉がたくさん綴られた、素晴ら
しい一冊だと思います。
【今回紹介した書籍】
●『カフェを100年、続けるために』
カフェ・バッハ 田口 護 著/A5判/224頁/定価(本体1300円+税)
2010年12月発行/旭屋出版/ISBN978-4-7511-0906-9
http://asahiya-jp.com/scb/shop/shop.cgi?No=658
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【裳華房のお役立ちサイト】
◎ 自然科学系の雑誌一覧 −最新号の特集等タイトルとリンク−(3/24更新)
https://www.shokabo.co.jp/magazine/
◎ 大学・研究所・学協会の住所録とリンク
https://www.shokabo.co.jp/address.html
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【6】[連載コラム]裳華房の“古書”探訪(第27回)
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弊社の起源は,江戸時代,伊達藩の御用板所であった「仙台書林 裳華房」
に遡ります.ここでは,科学書の出版に力を入れ始めた明治時代後期代から昭
和時代に刊行された書籍の中から毎回1冊ずつ取り上げて紹介いたします.
【バックナンバー】 https://www.shokabo.co.jp/oldbooks/index.html
【裳華房の歴史】 https://www.shokabo.co.jp/history.html
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◆ 竹内端三 著『函数論 上巻』『函数論 下巻』[初版:大正15年]
先月に引き続き、今号でも裳華房の東京開業120周年記念事業の一つとして
オンデマンド出版書籍として刊行予定のものをご紹介します。竹内端三著『函
数論』です。
【上巻】https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-0625-0.htm
【下巻】https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-0626-7.htm
著者の竹内先生については、すでに本コラムの16回(Shokabo-News No.291;
2013年6月号)で『高等微分學』(初版 大正11年)を取り上げた際にご略歴な
どをご紹介しましたので、ご参照ください。
「裳華房の“古書”探訪(16)」竹内端三著『高等微分學』
https://www.shokabo.co.jp/oldbooks/1922Takenouchi-calculus.htm
複素関数論は現代数学の基礎分野の一つであり、物理学や工学にも大変に重
要なため、多数の書籍が刊行されていますが、大正11年に刊行された本書『函
数論 上巻』『函数論 下巻』は、この分野の先駆的な名著として評価されてい
るものです。裳華房としてのみならず、日本におけるこの分野の最初の成書だ
と思われます。
長野工業高等専門学校の教授(当時)であった藤原重幸氏は「今日の関数論
教育のスタイルを決定した役割は大きい」と述べています[*1].
上巻は一価関数に関する性質を平易に解説し、下巻では多価関数、楕円函数、
等角写像を扱います。初版の目次を下記に記します(漢字は新字に修正)。
【上巻】緒論/複素数/初等函数/微分法/積分法/べき級数/特異点
【下巻】多価函数/周期函数/楕円函数/続楕円函数/等角写像
初版刊行から6年経った昭和7年に増訂版を刊行。いわゆる微分積分学の学
習からの繋がりを良くするための増補や、「解析関数」の章を独立させるなど
の訂正が行われています。
各章末には、学習者の便宜を図るように豊富な演習問題を収めているのも本
書の大きな特徴で、40題近く掲載している章もあります。ページ数の関係から
か解答は一部のみしか掲載されていませんが、読者の要望に応えるべく、本書
に収めた問題の詳解と例題を収めた『函数論 問題解説 上巻』『〃 下巻』が、
昭和11年と12年に佐藤正孝氏との共著で刊行されています。
本書は、戦前・戦後を通して関数論の入門書として、(資料が残っていない
ため部数は分かりませんが)多数の読者に支持されてきましたが、文語体・片
仮名書き・旧字での表記であったため、(内容を理解する以上に)通読するこ
と自体が難しい状況になりました。
そこで、竹内端三先生のご子息である竹内端夫博士(当時東京大学助教授)
が、増訂版の内容はそのままに、全文を現代表記に改めた新版を書き起こし、
昭和41年に発刊しました。今回、オンデマンド出版書籍として復刊するのは、
この新版です。
下巻は約40年近く品切れ状態であったこともあり、また類書の少ない楕円関
数等の入門書としてご一読いただければ幸いです。
なお本書の初版は,国立国会図書館のデジタルアーカイブで一般に公開され
ており、『問題解説』も国立国会図書館の館内閲覧限定で公開されております。
上巻(初版)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1020018
下巻(初版)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1020023
問題解説 上巻[館内閲覧限定]
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1158112
問題解説 下巻[館内閲覧限定]
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1172543
【注】
*1 前後を藤原重幸「複素関数論教育上の問題点」(長野工業高等専門学校紀
要・第10号)より抜粋すると下記の通りです。
緒論にて実数論(デデキント流),点集合論から入る輓近的なかき方である.
複素数,複素関数から写像を扱い1次関数を重視する.複素微積分法のタッチ
は実変数からの自然の延長である.微分法では等角性に,積分法では留数・実
積分計算へと続ける筆致は目的意識をねらう.級数展開と解析関数の諸考察は
後へまわす.演習書によって学習者に便宜を与え,今日の関数論教育のスタイ
ルを決定した役割は大きい.
【今回紹介した書籍】
◆ 『函数論 上巻』『函数論 下巻』[初版 大正15年]
竹内端三著/菊判/上巻362頁、下巻340頁/裳華房
※記述の誤りなど、お気づきの点がありましたら m-list@shokabo.co.jp まで
御連絡ください。
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【7】お知らせ&編集後記
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◇お知らせ
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1.「大学・短大・高専用教科書のご案内」
https://www.shokabo.co.jp/text.html
2.【講義担当の先生方へ】講義用 教授資料のご案内
https://www.shokabo.co.jp/textbook/text-tm.html
3.訂正表・正誤表や新しい演習問題など「書籍のサポート情報」.
https://www.shokabo.co.jp/support/index.html
4.裳華房フェアのお知らせ
https://www.shokabo.co.jp/fair/index.html
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◇編集後記
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今号も発行が遅れて申し訳ございませんでした.
先日,弊社の社員が裳華房の創業の地である仙台を訪れ,創業当時の出版物
を探るべく宮城県図書館と仙台市図書館で文献調査を行ってきました.司書・
学芸員の方に多大なご協力をいただきながら調べた結果,確認できた範囲で,
裳華房の出版物を正徳元年(1711)に刊行された『萬日記盡』まで辿ることが
できました.これまで「享保年間に出版活動をしていた」としてきた弊社の歴
史が少し遡ったことになります.裳華房の江戸時代の刊行物についても,機会
があれば本メルマガでご紹介したいと思います.
「裳華房の歴史」 https://www.shokabo.co.jp/history.html
(TK)
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次号は2015年5月7日の配信予定です.どうぞお楽しみに! \\(^o^)//
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〒102-0081 東京都千代田区四番町8-1
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