月面基地を本格的に勉強しはじめて、かれこれ20年近くがたっている。はじめは、ある区が主催した宇宙開発に関するセミナーで、NASDAの研究者の講義を聞いたのが始まりだったように思う。
その後、政府機関の主催による月面基地研究会に参加した。当時は、大手ゼネコンによるいろいろな月面基地案が華々しく発表されていた頃である。ここの討議をとおして、月面での土木技術はあまりにも未知のものが多い、ということを知ることになる。この会には、今回の『宇宙で暮らす』を執筆された清水建設のグループの方も出席されていたと記憶する。
近年、NASDAの研究グループと話し合いながら月面基地を描いているが、これがなかなか難しい。特に初期段階の月面基地は、話し合いのたびにころころ変わっているのが現状である。なかでも居住ユニットにかぶせる月の砂のかぶせ方と補強するレゴリスパックの配置がなかなか決まらない。
そんなわけで、今回描いた初期段階の月面基地(5章扉)には砂をかぶせていない。 |