- ポピュラー・サイエンス 284
- 細胞膜のしくみ
- −構造と機能−
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- 川崎医科大学名誉教授 医博 八幡義人 著
- 四六判/216頁/定価1760円(本体1600円+税10%)/2008年2月
- ISBN978-4-7853-8784-6
- ヒトゲノム計画が終わりポストゲノムの時代に入ると,生体膜に関する研究は,再び膜生化学,膜物性学,膜生物学などへ戻ってきた.本書はこうした背景を顧みて,赤血球膜を中心にして生体膜の全体像について概観したものである.本書を読むことによって生体膜の広範な役割についての理解を深めることができるだろう.
- 【目 次】
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- 1章 細胞や核は膜に包まれている
- 1 細胞の生い立ち
- 2 細胞を包む膜
- 3 細胞の中にはいろいろな器官が詰まっている
- 4 植物細胞と動物細胞で違うところ
- 5 膜モデルの変遷
- 6 下等生物の膜と高等生物の膜
- 7 細胞内小器官と膜の特徴
- 2章 細胞は「水」と「油」とをどうやって両立させているのか?
- 1 細胞の内部環境と外の世界
- 2 膜には表と裏がある
- 3 メキシカンハットと膜脂質交換
- 4 リスが越冬できるのは膜脂質が変化するおかげ
- 5 膜には筏が浮いている
- 3章 細胞の機能に大切な膜タンパク質たち
- 1 膜にはいろいろなタンパク質が結合している
- 2 細胞膜には伸び縮みする膜タンパク質がある
- 3 膜タンパク質は膜構造の中で活発に動いている
- 4 細胞のかたちは膜タンパク質のほか、膜脂質によっても維持されている
- 4章 膜には決められたものを運ぶ通路がある
- 1 輸送には三つの方法がある
- 2 常にナトリウムをくみ出しているポンプ
- 3 カエルの卵とノーベル賞
- 4 細胞の生死に関わるカルシウム
- 5 酸素・炭酸ガス交換は陰イオン輸送に依存している
- 5章 細胞のさまざまな機能は、実は膜が決めている
- 1 ばい菌を殺す好中球
- 2 止血の初期消火に身をもって挺する血小板
- 3 栄養を吸収する消化管の刷子縁
- 4 細胞から細胞へ情報を伝える神経系
- 5 視覚を決めているロドプシン
- 6 ホルモンを介する情報伝達
- 7 植物の気孔の開閉とK+・Cl-チャネル
- 6章 細胞の膜は敏感なセンサー
- 1 自己と他者との識別マーカー
- 2 免疫応答の仕組みと細胞膜
- 3 細胞膜から見た血液型のいろいろ
- 4 赤血球の寿命は脾臓で決まる
- 7章 膜の病気いろいろ
- 1 膜には固有の病気がある
- 2 ゴルフボールのような球状赤血球症
- 3 レセプター病としての血小板無力症
- 4 イオンチャネル病の代表は嚢胞性線維症
- 5 ペルオキシソーム病は細胞内輸送に問題がある
- 6 ばい菌に攻め込まれる白血球
- 7 貪食で満腹になったマクロファージ:リソソーム病
- おわりに
- 読書案内と参考書
- 索引
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