- ポピュラー・サイエンス 286
- 宇宙環境と生命
- −宇宙生物学への招待−
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- 東京医科歯科大学名誉教授 医博 佐藤温重 著
- 四六判/220頁/定価1760円(本体1600円+税10%)/2009年1月
- ISBN978-4-7853-8786-0
- 宇宙飛行技術の進歩は人類の宇宙への進出を可能とし,宇宙環境を利用した有人の科学研究を実現しました.生命科学の分野で生物における重力の役割を明らかにしつつあります.一方,無人の宇宙観測・探査技術の進歩は,惑星や星間に生命を構成する物質の前駆体が存在することを明らかにしました.
- こうした知識の蓄積から,宇宙的視野に立った普遍性のある宇宙生物学が誕生しました.発展著しい宇宙生物学はどこまでわかったのか,これから何を目指しているのかを紹介します.
- 【目 次】
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- 1章 宇宙生物学と宇宙実験
- 1 宇宙生物学とは
- 2 なぜ宇宙実験をするのか
- 3 宇宙実験の歩み
- 4 宇宙実験の手段
- コラム オリオン宇宙船
- 2章 宇宙環境と人体への影響
- 1 宇宙環境はどのような環境か
- 2 無重力の人体への影響
- 3 宇宙放射線の人体への影響
- コラム 進化の駆動力としての宇宙放射線
- 3章 細胞は重力を感じるか
- 1 細胞の特性と重力
- 2 無重力の分子標的は何か
- 3 細胞の重力感受のしくみ
- 4 無重力の遺伝子発現への影響
- コラム 動物の行動
- 4章 植物は無重力環境で生育できるか
- 1 無重力環境における植物の生活環
- 2 発芽への影響
- 3 器官分化への影響
- 4 細胞壁への影響
- 5 重力屈性のメカニズム
- 6 重力屈性以外の反応−キュウリの発芽におけるペグ形成
- 5章 動物は無重力環境で発生できるか
- 1 受精への影響
- 2 初期発生への影響
- 3 器官の分化と成熟への影響
- 4 加齢への影響
- 6章 無重力を利用したバイオテクノロジー
- 1 バイオリアクター
- 2 生体高分子の良質な結晶を作る
- 3 タンパク質結晶生成の宇宙実験
- 7章 日本の宇宙実験
- 1 日本の宇宙実験の考え方
- 2 どのような宇宙実験を行ったか
- 3 各分野の成果
- 4 宇宙実験の実際
- 5 宇宙実験の制約
- 8章 地上でできる宇宙模擬実験
- 1 重力生物学分野の模擬実験
- 2 宇宙放射線生物学分野の地上模擬実験
- 3 圏外生物学分野の地上実験
- 4 閉鎖生態系生命維持システムと宇宙農業
- 9章 地球外生命体の可能性を探る
- 1 前生命物質を探す
- 2 有機物質の生成のメカニズム
- 3 パンスペルミア説
- 4 宇宙空間における微生物の生存能
- 5 他の天体における生命探査
- 10章 今後の展望
- 1 宇宙生物学教育を考える
- 2 「きぼう」日本実験棟の利用
- 3 宇宙実験の発展のために
- あとがき 参考文献 索引(生物名) 索引(項目名)
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