X線とは?(X-ray)

X線は光の仲間ですが,波長が光(可視光線)の1000分の1ぐらいのため, 振動数が光の1000倍ぐらいになり,さらにエネルギーも光の1000倍ぐらいという, 非常にエネルギーの高い光(電磁波)なのです.


可視光(上)とX線(下)のイメージ
波の波長と振動数
電磁波と光子
単位と換算表
特徴
短波長:
X線は,1nm(10億分の1m)ぐらいから数百分の1nmぐらいにいたる, 可視光の1000分の1ぐらいからそれ以下の, 非常に短い波長の電磁波です.
高振動数:
X線は,可視光の1000倍ぐらいからそれ以上の高い振動数をもつ電磁波です.
高エネルギー:
X線は,可視光の1000倍ぐらいからそれ以上の高いエネルギーをもつ電磁波(光子)です. 可視光のエネルギーは典型的には数eV(電子ボルト)ぐらいですが, X線光子のエネルギーは典型的には数keV(キロ電子ボルト;ケヴ)になります.
よく知られているように,X線を多量に浴びると, 生体組織や遺伝子などが損傷されます.
粒子性:
X線は,エネルギーが非常に高いために, 波としての性質よりは粒子としての性質を強く示すようになります. X線の領域の光をX線光子と呼びます.
実際,放射線検出器でX線を受けると, 一つひとつのX線光子を捕まえることができます.
透過性:
X線は,高いエネルギーをもち粒子性が強くなった結果, 物質を貫通する力(透過性)も大きくなりました. X線光子の波長は原子の大きさぐらいしかないので, 軽い原子や分子などには吸収されにくいですが, 金属などの重い元素を含む物質には吸収されます.
たとえば,レントゲン撮影では,カルシウムを含む骨格には吸収されても, 水が大部分の内臓は透過します.
換算公式 キロ電子ボルト keV で測ったエネルギー E と ナノメータ nm で測った波長 λ の間には, 以下の関係が成り立ちます.
E [keV] ≒ 1.24/λ [nm]


この関係を使うと,波長からエネルギーへの換算が簡単にできます.

種類
超軟X線:
数10eVぐらいのエネルギーが非常に低く紫外線に近いX線
軟X線:
0.1〜2keVぐらいのエネルギーが低くて透過性の弱いX線
X線:
2〜20keVぐらいの典型的なX線 (一部を軟X線に入れたり硬X線に入れることもあります)
硬X線:
20〜100keVぐらいのエネルギーが高くて透過性の強いX線
発見 ドイツの物理学者W. レントゲン(Roentgen)は, 1985年,陰極管(真空管)の実験をしているときに, そばに置いてある蛍光紙(シアン化白金バリウムを塗った紙)が, 緑色に光っていることに気づきました (Roentgenのoeの部分は, 正しい綴りではドイツ語のoウムラウトという文字ですが, 適切なフォントがないので,慣用にしたがってoeで代用します).
陰極線(電子線)の当たる陽極から強い放射線が出ていることが, 原因だと突きとめ, レントゲンは,未知を表すXから, この不思議な光線をX線(X-rays)と名づけました. その後,X線は電磁波の一種であることがわかり, X(未知)ではなくなったのですが,相変わらず,X線と呼ばれています.
X線は,医療用その他,いろいろな利用がされています.

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