流星(Meteor) <体験版>

流星(meteor)は,彗星が軌道上に残した小さな塵などが, 地球と衝突して大気圏に突入し, 大気との摩擦熱によって,大気がプラズマ化して光って見える現象です. 流星の中で明るいものを火球, とくに明るいものを大火球と呼んでいます. 火球や大火球は,しばしば,痕(こん)を伴います. 多くの流星は,大気との摩擦によって蒸発してしまいますが, 蒸発せず地上にまで到達したものは,隕石や隕鉄となります.

しし座流星群

しし座流星群の可視光写真

テンペル・タットル彗星を母彗星とするしし座流星群は, 彗星の回帰に合わせて約33年ごとに大出現をくりかえしています. また,当たり年の特定の地域では, 1時間に数万個程度の流星が降るということも何度か報告されています. 1998年は回帰の直後の年にあたり,日本でも大変注目されました. 極大となる11月17日の夜には1時間に100個程度の流星しか見えなかったものの, しし座流星群らしい明るい流れ星が多く,人々を魅了しました. そして,翌年の1999年11月17日には, ヨーロッパ地方で流星雨が観測されました.

これは,1998年11月17日の夜に撮影された, しし座流星群の流れ星です. 地上に固定したカメラで時間をかけて撮影しているので,点状に見えるものでも, 動いているものは線状に写っています. 短く孤を描いているのは日周運動している恒星で, 長く直線状に写っているのが流星です. 流星は地球大気中にあるので,恒星や惑星や彗星に比べて,空の上を遙かに素速く動いていきます.

資料提供:兵庫県立西はりま天文台公園

流星の出現数

京都大学のMUレーダーから発射される46.5MHzの電波が, 流星の作り出すプラズマに反射され地上に届くことを利用し, 1998年11月のしし座流星群極大日の前後数日間,電波による流星観測を行いました. 電波による観測では,目で見ることのできる(光を放つ)流星よりも, 高い位置にできるプラズマによる電波反射を観測することになるので, 目で見ることのできる流星の数とは数が異なり, また,どこまで小さな流星まで数えるかによって,観測所による差が出ます. しかし,相対的にいつたくさん流れたのかを知ることができます. その結果,電波による観測では, 日本は17日の午前8時前後に最も多く現れていたことが分かりました.

資料提供:時政典孝(兵庫県立西はりま天文台公園)

流星の“音色”

流星が大気と摩擦してできるプラズマは, 人工の電波や自然発生した電波を反射するので, 反射された電波をラジオで聞くことができます. これはいわば,流星の奏でる宇宙の“音色”と呼べるでしょう.

下の3つは1999年11月18日のしし座流星群のときに観測した流星の“音色”です. コーン(ビーン)という音が流星の“音色”です. 3つはすべて同じ音色ですが,それぞれファイル形式が違います.
(Real Audio fileは専用再生ソフト:Real Audio Playerがないと再生できません)
ダイナミックスペクトルと他の時間の音色

● 11時14分から1分  (HROのみモノラル) 
     ※<体験版>では聴くことはできません.

 ・wav file (470KB)
 ・MP3 file (300KB)
 ・Real Audio file (160KB)

資料提供:豊増伸治(みさと天文台)


ペルセウス座流星群

ペルセウス座流星群の
可視光写真

左の写真は,1999年8月12日のペルセウス座流星群の流れ星です.

1年のうち,7月下旬から8月上旬にかけては,たくさんの流星群が出現します. その中でも特に有名なのが,ペルセウス座流星群です. 毎年8月初旬から20日頃まで出現し,12日から13日にかけて極大を迎えます. 極大時には,条件が良ければ,1時間に50個近い流星を見ることができます.

ペルセウス座流星群の母彗星は,スイフト・タットル彗星です. 毎年同じ時期に,地球がスイフト・タットル彗星の軌道を横切るため, ペルセウス座流星群が活発に活動する様子を見ることができます.

スイフト・タットル彗星の周期は135年で, 1992年の12月に近似点(彗星の軌道上で,太陽に最も近いところ)を通過しました.

資料提供:脇 義文

流星の出現数

流星群のピークなどを確定するためには, 高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transformation) した画像などから流星エコー数を読みとりグラフを作ります. このグラフは, 2000年8月7日正午から15日正午までの8日分の流星エコー数の変化を示しています. 折れ線グラフは,1時間当たりの流星エコー数(数えられる総数)を表しており, 棒グラフは,1時間当たり20秒以上継続時間を持つ流星エコーの数を表しています. 横軸は時間軸(日)です. 流星は流星群がないときでも存在し(散在流星), 地球の公転と自転の方向の関係により, 深夜から正午にかけて多く, 正午から深夜にかけて少なくなる日周変化をするので, このように1日ごとに山谷ができます. 流星群があると,通常の散在流星に重なるため, ピークができたり日周変化のパターンが乱れたりします.

資料提供:豊増伸治(みさと天文台),小川宏(筑波大学)


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