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 『シネマ天文楽入門』 
おわりに

→ 『シネマ天文入門』の紹介ページ


メイキング…

 ぼくは,SFアニメやSFマンガ,そしてSF小説が大好きな人で,それらを天文学や科学とミックスさせたような本をいままでにも何冊か書かせてもらった.SF映画ももちろん好きで,いつかSF映画を天文・科できたらなぁ,と思っていた.

 そんな矢先,2001年から2004年ぐらいにかけて,天文教育関係者の団体である天文教育普及研究会の会誌『天文教育』の編集委員をしていたのだが,掲載原稿も少なかったので,いい機会だと思い,その会誌に「シネマ天文楽」と題して,宇宙SF映画をネタにした連載を始めることにした.会誌が隔月刊でほどよい間隔があり,連載という形で原稿をためていったので,2002年11月号から2005年1月号まで12回連載し,足かけ4年ほどで素材が揃った.

 その後,紆余曲折もあったのだが(ここらはちょっとシクシクの話もある;笑),以前に『SF天文学入門(上)(下)』を出してくださった裳華房から,本書を刊行していただける運びになった.ありがたいことである(謝).

 今回,1冊にまとめるにあたっては,あちこち手直しをしたが,一番大きな修正は,数式に関係した部分を巻末にまとめたことである.最初は,数式に関わる部分は全部削除しようかとも思ったのだが,読者の中には計算結果に至る過程に関心がある方もおられるだろうから,補遺として残すことにした.

 さて,面白い宇宙SF映画からネタを取っているので,題材は,惑星や星の遭遇など天文学っぽいものから,ロケットなど宇宙開発的なもの,生命の形態や起源など天文学と生物学の境界領域の話,さらにタイムマシンなど,非常に多岐にわたっている.また,配列としても,おおざっぱには近場から遠い方面に並んではいるが,素材は系統的ではなく,とくに教育的な配慮もしていない.気の向くまま,天文楽の世界を楽しんでもらえれば幸いである.

スペシャル・サンクス…

 研究室のメンバーをはじめ,OB・OGやその他多くのみなさんには,ゼミをしたり,呑みにいったり,恋バナをしたり,たわいもない話をしたり,日々,楽しく過ごさせてもらっている.おかげでさまで,面倒な雑用などからリフレッシュできて,感慨深い年でもあった2005年の年末には本書の原稿をまとめあげることもできた.まずは,ぼくがいつも迷惑を掛けている周囲の人々に感謝したい.

 本書の成立に際しては,裳華房の國分利幸さんに,これまで同様,さまざまな面で大変お世話になった.この場を借りてお礼申し上げたい.また田巻久雄さんには,本文にピッタリのイラストを描いていただいた.ありがとうございました.

 本書を手に取られた読者のみなさんにはもちろん,最大級の感謝をしたい.読者のみなさんの知的好奇心をいくばくなりとも刺激できれば,本書の役割は十分に果たせると思っている.映画はエンターテイメントの極致だが,科学(天文学)も本来的にはエンターテイメントなはずなのだ.美味しい料理を気のおけない相手と一緒に食べることはもちろん,人生の大きな楽しみだが,知的食事もまた人生の大きな楽しみだろう.ものごとを識ることを,さらに美味しくしていきたいものである.

京都吉田山麓にて
福江 純


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