天体に望遠鏡を向けて, 天体からやってくる微弱な電磁波(可視光,X線,電波など)を, 観測装置で捉えることを,(信号の)検出(detection)といいます. 業界用語では,“(信号が)受かる”ともいいます. 狭い意味では,この段階だけを観測(observation)と呼ぶこともあります.
光学天文学では,反射望遠鏡(および屈折望遠鏡)で光を集め捉えます. 基本的なしくみは単純ですが,天体からの光はしばしば非常に微弱なので, 大型の反射望遠鏡にはさまざまな工夫や技術が投入されています.
大阪教育大学天王寺キャンパス望遠鏡: 2001年に設置された一応最新式 (2001/05/16 福江 純 撮影)
観測装置から直接得られるデータ(生データ)から, 観測装置や地球大気による影響を差し引いて, 天体からの信号だけに処理する過程を, データの整約(data reduction)と呼びます. 具体的には,観測装置による差異(器差と呼びます)を補正したり(較正), 地球大気などからくる観測視野の微弱な光(スカイ)を差し引いたり, その他の不要なノイズを除去したりします. 整約によって,生データは定量的で有効な情報になります.
今日では, 観測データもデジタル化してコンピュータで処理します. どんな波長の観測データでも, 基本的な整約処理はあまり違いません.
このような表現方法(presentation) は, かつてはあまり重要視されていませんでしたが, 最近では観測の一つの大事なステップだと考えられるようになってきました.
観測して得られたデータから, 天体のサイズや温度やガスの組成などを導くことができます. 得られるデータはしばしば不充分なので, 多くの場合はなんらかの仮定を立ててデータを解析(analysis)します. さらに画像や時間変化やスペクトルなどのデータを物理的に解釈(interpretation)して, 天体の構造や変化を推測したり,隠された法則性を調べたりします. またしばしば,枝葉末節を切り捨てて描像を単純化したモデル(model)を立て, そこで起こっている天体現象の本質を突き止めます. そのようなモデルが普遍性や予測性をもったときに, そのモデルは理論(theory)と呼ばれます.
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