天体の観測には大きくわけて, 1.天体の像を撮影する(撮像観測) 2.天体の明るさを測定する(測光観測) 3.天体のスペクトルを求める(分光観測) 4.天体の光の偏り方を調べる(偏光観測) の4つがあります. | |||
撮像 | 測光 | 分光 | 偏光 |
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点源にせよ広がった天体にせよ, 観測装置の焦点にできた天体の画像を得る観測が, 撮像(imaging)です. 撮像観測によって,天球面に投影した天体の構造などがわかります. 天体の光は微弱なので,データとして役に立つ画像を得るためには, しばしば, 何枚も同じ領域を撮像してデータを重ね合わせる必要があります. |
天体の明るさ(や色)を定量的に測定する観測が, 測光(photometry)あるいは測光観測です. 測光観測を時間的に継続すると天体の明るさの時間変化がわかります. また,いくつかの波長帯で測光すると(多色測光といいます), スペクトルの傾向がわかります. |
天体の光を波長別に分けてスペクトルを求める観測が, 分光(spectroscopy)あるいは分光観測です. 分光観測によって,天体の組成やガスの温度や運動状態など, 天体の詳細な物理状態がわかります. 分光観測では,天体の光を波長別に分けてしまうため, 測光観測よりも大量の光が必要になります. |
光の波としての性質,とくにその偏り具合を調べる観測が, 偏光(polarimetory)あるいは偏光観測です. 偏光観測によって, 天体周辺や光が伝わってくる途中の宙域における, 電場や磁場の様子がわかります. |
天体の微細な構造がどこまで細かく見えるのかを示す能力が空間分解能 (spatial resolution)です. 空間分解能は, 望遠鏡の口径と観測波長の比で決まります. |
時間的な変化を細かく知るためには, 高い時間分解能 (time resolution)が必要です. |
詳しいスペクトルを得るためには, 高い波長分解能 (あるいは振動数分解能, エネルギー分解能; energy resolution)が必要です. スペクトル分解能(spectral resolution)ということもあります. |
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