いろいろな惑星系
(Extrasolar Planetary Systems)


1980年代初頭に本格的かつ地道な観測が始まってから2000年までに, 50個以上の太陽系外惑星系が発見されています. それは実にさまざまなタイプがありました. ここでは,そのうちのいくつかをご紹介します.

下の図は,いろいろな惑星系の軌道を表しています. 親星を中心として(親星は描いてありません), 色の付いた軌道を回転している赤い丸が惑星です. 大きな丸は観測された質量が大きなことを表しています. また黒の破線で描いた円は,1天文単位ごとの円で, たとえば5本あれば,一番外側が5天文単位ということになります.


親星のすぐ近くに巨大惑星を持つ惑星系

ペガスス座51星 ペガスス座51星のまわりの惑星は, 太陽系の惑星と非常に異なっており, 多くの科学者を驚かせました. この惑星は質量が木星の0.47倍程度と巨大ですが, 親星のすぐ近く(0.05天文単位)を周期約4.2日で公転しているのです. これまで木星のような巨大惑星は水が氷の状態になることができるほど, 遠く離れたところでしか形成されないと考えられていたため, 親星のすぐ近くに巨大惑星があることは全く予想されていませんでした. 実際,惑星発見のために十余年の年月がかかったのも, このような短い公転周期を持つ惑星が探されていなかったからなのです.

最近では,親星のごく近くから数天文単位の距離のところまで, どこにでも巨大惑星が存在することが観測からわかってきました. しかし,なぜこのような巨大惑星が親星の近くで存在できるのか, まだほとんどわかっていません. 遠くで形成されてから親星の近くに移動してくる可能性がないかどうか, また惑星形成の材料となる原始惑星系円盤の質量などによって, 巨大惑星が近くにできる可能性がないかどうか, いくつかの可能性が検討されはじめています.

楕円軌道の惑星系

おとめ座70星 おとめ座70星やはくちょう座16B星のまわりの惑星の姿も, 多くの科学者を驚かせました. これらの系では親星と惑星の距離は我々の太陽系とよく似ていますが, その公転軌道が楕円だったのです.

軌道が円に近いペガスス座51星の視線速度の時間変化は, きれいな正弦波になるのに対して, 軌道が楕円の場合は歪んだ形になることから, 軌道の形がわかります.

その後観測が進むにつれ, 現在では,惑星の軌道は円に近い方がむしろ特殊で, 一般的には公転軌道がさまざまな楕円であることがわかってきています. 軌道が楕円になったのは, これらの系では巨大惑星の軌道の交差(衝突)が起って軌道が歪んだから, という説が有力です.

はくちょう座16星B

複数の惑星を持つ惑星系

アンドロメダ座υ星 アンドロメダ座υ星のまわりには, 少なくとも3つの惑星が存在することがわかっています.

観測が進めば, このような複数の惑星を持つ系もさらに見つかっていくと考えられます.

親星から離れたところに惑星を持つ惑星系

エリダヌス座ε星 エリダヌス座ε星は9番目に我々に近い恒星で, 太陽からわずか10.8光年の距離にある星です. この星のまわりにも惑星が見つかっています. またその惑星の公転軌道は木星に近いものです.

親星から惑星が遠いほど公転周期が長くなり, その検出には時間がかかります. また視線速度変化を測る方法では, 親星から惑星が離れるほどその視線速度変化の振幅が小さくなり, 惑星の検出が難しくなります. 現在はまだ木星程度の惑星の検出が限界ですが, 今後観測が進めばより軽くより遠い惑星が見つかってくることが期待されます.

資料提供:神戸栄治(防衛大学校),佐藤文衛,竹田洋一(東京大学)


惑星系を持つ星へ
Go to Submenu
Go to Menu



         

自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.