惑星系を持つ星 (Stars with Planetary Systems)

太陽系のように, 他の星のまわりにも惑星が存在するのではないかという疑問を, 昔から人類は抱いてきました. 20世紀になってからも,たとえばバーナード星のように, 木星規模の惑星を持っていると推測された星もあります (ファン・デ・キャンプ,1962年). そのような中で,観測技術の進展に伴い, 1980年代初頭から世界のいくつかの天文台で, 本格的かつ地道な観測が始まりました. そしてついに1995年, ジュネーブ天文台の研究者たちが, ペガスス座51番星のまわりを巨大惑星が公転していることを突き止めたのです. 惑星発見のニュースで当時のネットワークは騒然となったものです. その後このような惑星は次々と見つかり, 2000年までに50個以上の星のまわりに惑星が発見されています.

ペガスス座51番星のまわりを公転する惑星

ペガスス座51番星は,42光年の距離にあるG5型の主系列星です. 発見された惑星は,質量が木星の0.47倍程度の巨大惑星であるにもかかわらず, 親星のすぐ近くで,太陽−地球間の距離(1AU;図の破線)のわずか5%しかない軌道を, 周期約4.2日で公転しています.

親星のまわりを惑星が回っていると, 万有引力によって,惑星が公転するだけでなく, 惑星により親星もわずかながら周期的に揺らされます. 惑星を発見する方法としては,この親星のわずかな揺らぎを, 測光学的な方法あるいは分光学的な方法を駆使して精査するものです.

現在までに発見されているほとんどの惑星は, 親星のわずかな運動に伴うドップラー効果によって, 親星のスペクトル線が視線速度変化する様子 を測定することによって見つけられています. しかし,その変化量はとても小さいので, 観測にはヨードセルという特殊な装置が主に用いられてます. 現在,この装置を用いて, 国立天文台岡山天体物理観測所をはじめ, 世界中の多くの天文台で惑星系探しが行われています.

これまでに見つかっている惑星系は, 巨大惑星が親星のすぐ近くにあったり,公転軌道が円ではなかったりと, 太陽系とは随分異なっていることがわかってきています. また,親星自身も惑星の見つかっていない星より金属を多く含んでいるようです.

現在ではまだ, 木星程度の距離にある巨大惑星を検出するのが限界ですが, 今後観測が進めば, より親星から離れた位置にある惑星や, 質量の軽い地球型の惑星が見つかってくることでしょう. またこれまでは太陽に似た恒星のまわりを探していましたが, 岡山天体物理観測所では,他のタイプの恒星のまわりにある惑星探しを始めています. いろいろな惑星を持つ恒星を調べることによって, 我々の太陽系がどのように生まれたのかを知る手がかりが得られるものと期待されています.

巨大惑星と生命


いろいろな惑星系

星の視線速度の精密測定
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