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雑誌『生物の科学 遺伝』 別冊 No.17
(2003年11月)

地球温暖化

−世界の動向から対策技術まで−

大政謙次・原沢英夫/(財)遺伝学普及会 編
B5判/180頁/


 地球温暖化は,人間活動に伴う二酸化炭素など温室効果ガスの排出によって進んでおり,今世紀末には地球の平均気温が1.4〜5.8℃上昇すると予測されている.

 気候変動枠組条約の発効や京都議定書の採択など,国際的な協力体制が整っていく中で,2008年からの京都議定書の第一約束期間に向けて,温室効果ガスの削減や森林吸収源に関係した問題の解決,京都メカニズム(クリーン開発メカニズム,共同実施,排出権取引)への対応などが積極的に行われているが,ここにきてアメリカの京都議定書からの離脱や,開発途上国の削減協力拒否など,温暖化防止対策を具体化する段階で,各国の足並みが乱れてきている.

 本別冊では,地球温暖化に関係するさまざまな問題を1冊で理解できるよう,国際的な動向から温暖化対策の技術まで,幅広い分野について最先端の研究者に執筆していただき,その最新情報を提供する(全18章).

<主要目次>

・別冊『地球温暖化』刊行にあたって (大政謙次原沢英夫
 (→ こちらから読めます

 <第 I 編 国際的な動き>

・地球温暖化問題における国際的な動き (原沢英夫

はじめに/地球温暖化の科学的知見/京都議定書締結まで:進展期/温暖化防止京都会議以降,現在まで:停滞期/第一約束期間まで:深刻期/おわりに
・京都議定書と森林吸収源の問題 (山田和人・邉見達志
京都議定書とは/京都議定書における森林吸収源/日本における森林吸収源利用の今後の方向性

 <第 II 編 温暖化のメカニズムとモデル予測>

・地球温暖化のメカニズムと気候モデルによる予測 (野田 彰
はじめに/地球の気候システム/自然変動/気候モデルによる地球温暖化予測/おわりに
・地球温暖化に関わる気象・沿岸災害の予測 (松浦知徳・岩崎伸一
はじめに/気象災害/沿岸災害/おわりに

 <第 III 編 測定技術とモニタリング>

・温室効果ガスのモニタリングと森林フラックスの測定
    (藤沼康実三枝信子平野高司
はじめに/温室効果ガスのベースライン観測と炭素循環/炭素循環における森林の役割/森林のCO2収支を測る/フラックス観測の実際/フラックス観測からわかること
・極域におけるモニタリングと氷床変動
    (渡邉興亜本山秀明・牛尾収輝・森本真司
はじめに/温暖化と雪氷圏の変動/氷床縁辺監視:ラルセン棚氷の例/降水量変動の監視/海氷変動モニタリング/温室効果ガスモニタリング/今後の課題
・農耕地からの亜酸化窒素,メタン放出のモニタリング (波多野隆介
はじめに/N2Oの現状/CH4の現状/土壌におけるN2Oの生成/土壌におけるCH4の生成と分解/土壌ガスフラックスの測定法/土壌におけるN2Oの動態/土壌におけるCH4の動態/おわりに
・森林の構造とバイオマスの3次元リモートセンシング (大政謙次
はじめに/航空機SLによるリモートセンシング/可搬型SLによるリモートセンシング/おわりに

 <第 IV 編 温暖化の影響と対策>

・陸上生態系のモデリングと陸上生態系への影響 (清水 庸・大政謙次
はじめに/植生分布モデル/生物地球化学モデル/陸上生態系における温暖化影響の検出/おわりに
・生物多様性への影響 (大場秀章
はじめに/植生での影響研究の限界/遺伝子プールと繁殖システムの重要さ/温暖化の影響が及びやすい種/立地の側からみた植物多様性/おわりに
・生物季節への影響 (増田啓子
はじめに/温暖化による世界の生物季節の変化/環境(温暖化)指標としての生物季節/日本列島の生物季節の特徴/温暖化による我が国の生物季節の変化/近年増加した不時現象
・森林生態系への影響と森林管理
    (田中信行八木橋 勉杉田久志・藤田和幸林 哲・垰田 宏)
はじめに/過去の気候変動と森林/亜高山帯林への影響/冷温帯林への影響/人工林への影響/森林昆虫への影響/森林棲動物への影響/おわりに
・日本の水稲栽培への影響 (林 陽生
はじめに/温室効果ガス排出シナリオ/気候変化メッシュデータ/日本/暖候期の気候変化/気候登熟量示数(気候学的な潜在収量)/水稲の最適出穂日の分布/将来の水稲収量の変化/CO2濃度上昇の効果/水稲栽培の脆弱性評価に向けて
・海洋生態系への影響 ―サンゴ礁生態系を中心として― (中村 崇・神木隆行・山崎秀雄
はじめに/造礁サンゴと褐虫藻/サンゴの白化現象/海洋生物に与える温度上昇の間接的影響/陸と海の違い/植物プランクトンの制限要因/棲み込み連鎖と食物連鎖の変化/サンゴ礁生態系の重要性と今後の展望/おわりに
・健康への影響と対策 (兜 眞徳
はじめに/高齢者の死亡リスク/感染症へのリスク/熱中症のリスク/暑熱ストレス/マラリア,デング熱,西ナイルウイルスなど/最高気温と大気汚染によるリスク/温暖化による健康リスクの指標/おわりに

 <第 V 編 温暖化対策の技術>

・樹木苗の大量生産システムと植林・農業利用 (古在豊樹・石神靖弘・高垣美智子
はじめに/森林における年間のCO2収支/林用苗生産の最近の進歩/無糖培地培養苗生産から閉鎖型苗生産システムへ/おわりに
・CO2削減技術と持続可能型社会 (玉浦 裕
はじめに/CO2削減技術の分類/CO2削減目標と対応技術/省エネルギー技術と我が国のエネルギー対策/新エネルギー技術の開発・導入と課題/3E問題の解決に向けた地球温暖化対策技術/大量のCO2排出に対処する革新的技術/CO2削減技術と京都メカニズム
・炭素循環の見地からみたCO2隔離技術 (大隅多加志
はじめに/炭素循環/大気中の二酸化炭素濃度増大に対する海洋の応答/海洋大循環を表すボックスモデル/CO2海洋隔離の効果



         

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