雑誌『生物の科学 遺伝』B5判 116頁 /岡ノ谷一夫 企画】 近年,動物コミュニケーションの研究は2つの側面から進展している.いっぽうは,コミュニケーションの適応的意義と進化を考える方向(行動生態学),他方はコミュニケーションの神経機構を考える方向(神経行動学)である.この特集では,この2つの方向性を生産的に統合して成果をあげつつある分野についていくつか解説する.この特集は,至近要因または究極要因のどちらかのみに偏らず,包括的に行動を理解する視点を読者に与えるであろう.
第一部 鳥の歌 ・鳥の歌学習の起源 ─発達ストレス仮説(相馬雅代) ・鳥類の脳の解剖用語の改訂 ─鳥の脳を見なおす(奥村 哲) ・音声学習の生得性と学習可能性(高橋美樹・戸張靖子) ・鳥の歌学習と誤差修正機構(関 義正・西川 淳) 第二部 多様性と普遍性 ・ショウジョウバエの求愛歌と種分化,神経機構(都丸雅敏) ・コオロギの歌が担う役割(角〔本田〕恵理) ・ハクジラ亜目の発する音の進化(森阪匡通) ・コウモリの生物ソナー音声の可塑性(力丸 裕) ・知られざるゾウの世界 ─高度な社会構造と低周波音を用いたコミュニケーション (入江尚子・角〔本田〕恵理) 第三部 社会進化 ・社会行動の進化と扁桃核(池渕万季) ・心の理論とミラーニューロン(山崎由美子) ・言語の起源の生物学(岡ノ谷一夫)
・精子を卵子と結びつける遺伝子(中込弥男) ・ニシキヘビの心臓は食後に4割も重くなっている!(中込弥男)
・ユスリカの飼育方法(大西卓嗣) ・明るさとメダカの体色変化(小田切秀穂)
ウチの目玉収蔵品 紹介(26) /群馬県立ぐんま昆虫の森 《オオムラサキSasakia charondaの雌雄モザイク標本》/ 《世界のツノゼミコレクション−ヨンレンハチマガイツノゼミHeteronotus trinodosus;オオハタザオツノゼミGigantorhabdus enderleini》 /東京大学大学院理学系研究科附属植物園(小石川植物園) 《精子発見のイチョウGinkgo biloba》/ 《ショクダイオオコンニャクAmorphophallus titanum》 生き物の不思議(22)/ カラスの地域食文化(樋口広芳) 野生動物はいま −人との軋轢の中で(4)/ イノシシ ─誤解の多い動物(江口祐輔) 環境保全の現状(43)/ 「人と自然の共生」は達成されたか ─愛知万博顛末記(芹沢俊介) 研究室・研究所めぐり(59)/ 総合地球環境学研究所(日高敏隆) 実験・観察のページ(309)/ 色素増感太陽電池を作って発電実験をしてみよう ─SPPでの授業実践を通して(川村康文) 生物ライブラリー/ 『これからの両棲類学』 『進化(〈1冊でわかる〉シリーズ)』 『心を生みだす遺伝子』 |
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