(2001.12.28)
冬眠とは,動物が生活活動をほとんど停止した状態で冬を過ごすこと.北国の野山にしんしんと雪が降り積もるこの季節に,暗い土の中や木のうろに潜んでじっと春を待つ動物たち… というイメージにはある種のロマンが感じられるようで,童話や詩などでもよくとりあげられる題材です.
ところで,冬眠というとカエルやヘビの「冬眠」や昆虫たちの「休眠」を思い浮かべる方も多いでしょうが,厳密には恒温動物(リスとかヤマネなど小型の哺乳類)の季節的な非活動状態を指し,変温動物の「越冬」と恒温動物の「冬眠」は,そのメカニズムからして大きく異なります.なお,クマの「冬眠」も有名ですが,クマやスカンクの冬ごもりは真の冬眠状態ではなく睡眠状態に近いとされています (岩波書店『生物学辞典』を参照しました).
哺乳類の冬眠現象には,医学の方面で古くから関心がもたれ,とくに近年ではそのメカニズムや冬眠にかかわるタンパク質(冬眠物質)に関する知見が急速に増えると共に,医療への応用も進んできています.
ここでは,『生物の科学 遺伝』2002年1月号の特集「哺乳類の冬眠」を中心に,冬眠に関連する書籍等を紹介いたします.
<主要目次>
「特集にあたって」 近藤宣昭
「冬眠のしくみ」 近藤宣昭
「脳と冬眠」 田村 豊・塩見浩人
「冬眠できない動物の体温低下現象」 関島恒夫
「冬眠の応用(1):心臓手術と低体温療法」 大谷 肇
「冬眠の応用(2):脳低温療法」 林 成之(特集要約一覧はこちら)
◎ 「冬眠」 関連書籍(現在入手可能な主な書籍)
『冬眠する哺乳類』
(川道武男・近藤宣昭・森田哲夫編,東京大学出版会)
『昆虫の季節適応と休眠』
(竹田真木生・田中誠二編,文一総合出版)
『眠りのバイオロジー −われわれはなぜ眠るか』
(メディカル・サイエンス・インターナショナル)
『脳低温療法 −重症脳障害患者の新しい集中治療法』
(林 成之著,総合医学社)
『脳低温療法』 (岩波科学ライブラリー76)
(片岡喜由著,岩波書店)
『脳低温療法の基礎と臨床』
(片岡喜由・林 成之編,総合医学社)
『脳蘇生と低体温療法』
(新井達潤著,真興交易(株)医書出版部)
『低体温療法 −病態から患者管理まで』
(山本保博・寺本 明編,へるす出版)
自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.