「重力の伝達速度」の測定実験に成功!
(2003.2.3)
アメリカ国立電波天文台(NRAO)の研究者らが,地球からはるか遠くにあるクェーサーが発した電波が木星の重力の影響で曲がった後に地球に届く様子を観測し,重力の伝達速度が光の速度と同じであることを確かめることに成功しました.
クェーサーは準星とも呼ばれ,銀河の活動中心核と考えられている天体で,観測には,世界中にある10基の電波望遠鏡を使ったとのことです.
(NRAOによるPress Releaseはこちら)「重力が伝わる速度は光の速度と同じである」ということは,アインシュタインが相対性理論で予言していたことであり,今回の観測は,その予言の検証に成功したということになります.
物理学の世界では,精緻な観測に巨大な装置が求められることが多々あります.小柴昌俊先生のノーベル物理学賞受賞で一躍脚光を浴びたカミオカンデを始め,巨大な粒子加速器,世界中に点在する望遠鏡を協力して動かす等々,理論の正しさやその理論が予言することを検証するのに,巨大な装置と国際的な協力がますます必要となってきています.
こうした流れが悪いこととは思いませんが,観測装置の能力の限界が物理学の限界を決定づけてしまうのかな,と思ったりもします.
● 関連Webサイト
○National Radio Astronomy Observatory (NRAO)
・今回の発表に関するPress Release
● 小社の関連書籍
○『裳華房テキストシリーズ‐物理学 相対性理論』
窪田高弘・佐々木 隆 共著/198頁/定価2750円(本体2500円+税10%)○『アインシュタインとボーア』
日本物理学会 編/322頁/定価4950円(本体4500円+税10%)○『宇宙スペクトル博物館<電波編> 宇宙が奏でるハーモニー 』
粟野諭美・尾林彩乃・田島由起子・半田利弘・福江 純 共著
CD-ROM+B5判ガイドブック/定価4950円(本体4500円+税10%)※注 ここに取り上げたものは関連書籍のごく一部です.
自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.