クローン羊・ドリーの死 (2003.03.03)
英スコットランド・エディンバラのロスリン研究所は先月14日,世界初のクローン羊・ドリーを安楽死させたと発表しました.
1996年のドリー誕生が世界を驚かせたのは,受精卵割球分離によるクローンではなく,成獣の体細胞を使ったクローンだったからでした.
それによって,体細胞由来のクローン動物ができるのは両生類のカエルまでという生物学の常識を覆してしまいました.
ドリーを誕生させたクローン技術が,21世紀の生命科学の発展に正しい方向で利用されて欲しいことは言うまでもありません.
近畿大学 生物理工学部 入谷 明教授のコメント
「1996年世界で初めて体細胞核移植技術でクローン羊・ドリーが誕生し,子ヒツジ・ポリーも出産して、生理学的正常性も証明された.残念ながらウイルス性肺炎で6年7か月の生涯を閉じたが,7歳近くまで生存したわけで,クローンであるが故の短命ではなく,天寿を全うしたと考えるべきでしょう.」
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