赤方偏移の求め方(Determination of Redshift)

スペクトル線のずれを表す赤方偏移(redshift) z は, 観測されるスペクトル線の波長をλ, 実験室で測定される波長をλ0として,
のように定義されます (ここでΔλは,Δλ=λ−λ0です).
観測される波長がもとの波長より長くなっていれば, Δλは正になり,赤方偏移 z も正になります. 一方,観測される波長が短くなっていれば, Δλは負,すなわち z も負になります(青方偏移).

光の波長と振動数は反比例するので, 観測されるスペクトル線の振動数をν, 実験室で測定される振動数をν0とすると, 赤方偏移 z

のように表すこともできます.
観測される振動数がもとの振動数より低くなっていれば赤方偏移は正になり, 高くなっていれば負になります.

X線など高エネルギーの領域では,波長や振動数の代わりに, しばしば光子のエネルギーを使います. 光のエネルギーは振動数に比例します. そこで観測されるスペクトル線のエネルギーを E, 実験室で測定されるエネルギーを E0とすると, 赤方偏移 z

のように表せます.
観測されるエネルギーがもとのエネルギーより低くなっていれば赤方偏移は正になり, 高くなっていれば負になります.
赤方偏移すなわちスペクトル線の偏移が生じる原因には,
  • 光源と観測者の間の相対的な運動によるドップラー効果
  • 重力場のもとでの重力赤方偏移
  • 宇宙膨張にもとづく宇宙論的な赤方偏移
の3つがあります.
実際に観測されるスペクトル線の赤方偏移は, しばしばこれらの原因が複雑に重なったものです.


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