はくちょう座 網状星雲 (Cygnus Loop)

網状星雲のX線像
網状星雲の可視光像
超新星残骸
Cygnus Loop / NGC6992/95
赤経20h50.0m
赤緯+30°34′
視直径230′× 160′
距離3000光年

シグナスループは,可視光では網状星雲の名で親しまれています. その名の通り,美しいループ状の構造をもつ超新星残骸です. その大きさは直径で3°程度にまで広がっていて,電波から可視光, X線まで幅広い波長で観測されている, 最も良く研究されている超新星残骸の一つです.
エネルギーの比較的低い軟X線領域での観測では, 全体的にきれいなシェル構造をしているのがわかっていました. しかしながら, エネルギーの高い硬X線領域で撮像できる あすか で得られた画像(左上)を見ると, 周辺のシェル構造部分だけでなく, 中心部分もかなり明るくなっているのがわかります.

資料提供:宮田恵美,常深博(大阪大学)


網状星雲のX線スペクトル

中央部分のX線スペクトル
あすか のSIS検出器で得られたスペクトルです. 最もX線で明るい北東のシェル部分のスペクトル(下)を見ると, 0.5-0.7keV付近の酸素の輝線が目立つのに対して, 中心部分のスペクトル(上)では, 逆に,1.8keV 程度にあるケイ素の輝線などが目立ってきます. これらのことから, シェル部分と中心部分では, プラズマの温度や元素の組成が異なっていることがわかってきました.
網状星雲は, 超新星爆発から2万年程度経った比較的年老いた超新星残骸といわれていますが, このようにかなりの年月が経っていても, 超新星爆発の痕跡が中心部分に残っているのだと考えられています.
また,上のX線画像のなかで見られる点源は, この あすか の観測ではじめて見つかりました. この正体は何か,いまなお観測は続けられています.

資料提供:宮田恵美,常深博(大阪大学)

周縁部分のX線スペクトル

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