超新星 (Supernova)

比較的重い星が進化の最後の段階を迎え, 核反応が暴走的に起って星全体が大爆発したものが超新星(supernova) です. 明るさも,極大では銀河全体に匹敵するほどになり, 遠くの銀河の超新星でも観測することができます.

星の表面だけが吹き飛ぶ新星とは違って, 超新星は星全体が吹き飛んでしまう激しい現象で, 膨張速度は数1000km/sにも達します.

超新星は観測的には,分光学的な特性に基づいて分類されています. 水素のスペクトル線の見えないI型超新星(type I) と, 水素スペクトル線の見えるII型超新星(type II) に大きく分けられます. I型はどの銀河にも発生し, II型は渦状銀河の腕や不規則銀河によく見られます.

Ia型の爆発はよく似通っていて, 極大光度がどのIa型もほぼ同じだと考えられます. その結果,遠くのIa型超新星を観測することにより距離が求められ, 宇宙の大きさや進化についての大きな手がかりとなっています.

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した超新星1987Aのリング

1987年2月23日に大マゼラン雲に出現したII型の超新星. 交わっているように見える3つのリングはそれぞれ別の平面上にあります. 画像は1994年に撮影.

Copyright (NASA)

超新星爆発のメカニズムも2種類考えられています. 太陽の4〜8倍の質量の星の場合,炭素と酸素の中心核が収縮した後, 約8億度に達した段階で炭素に核融合の火がつき, どんどん重い元素ができていきます. この炭素の核融合はたった0.1秒程度で暴走的に起るため, 星はコナゴナに砕けてしまいます. これが炭素爆燃型超新星です.

太陽の約8倍より重い星の場合,核反応は一気に鉄まで進み, できた鉄の中心核はまわりからエネルギー(ガンマ線光子) を吸収してヘリウムと中性子に分解してしまいます. これを鉄の光分解と呼びますが,これは吸熱反応で, しかもほんの0.1秒くらいしかかからないので,その結果, 中心核の圧力が一挙に下がって中心核が潰れ,外層は反動で飛び散ります. これが鉄の光分解型超新星です.

基本的には炭素爆燃型超新星がI型に対応し, 鉄光分解型超新星がII型に相当すると考えられていますが, いろいろなバリエーションや違いがあり, 観測される現象とその本質との対応が完全に解明されているわけではありません.

超新星の種類

種類

細分類

スペクトル等の特徴

I型

Ia

水素のスペクトル線はほとんど見えません. ケイ素の強い線が出て,後で鉄の線が目立つようになります. あらゆる種類の銀河に出現します.

Ib

水素のスペクトル線はほとんど見えません. 極大近くでヘリウム線が出ます. ケイ素線は弱く,Ia型のような鉄の線は見えません.

Ic

水素のスペクトル線はほとんど見えません. Ib型のようなヘリウム線は見えず, ケイ素線は弱く,Ia型のような鉄の線はありません.

II型

II

水素のスペクトル線が卓越しています. 光度変化の様子などから, P型(plateau),L型(linear),n型(narrow), その他の種類に分けることがあります.


体験版では,「SN1995D」「SN1987Aのリング」がご覧になれます.

Ia型 (Type Ia)
SN1995D
SN1998es
SN1998aq
SN2001bg
Ib,Ic型 (Type Ib,Ic)
SN1994I
SN1999dn
II型 (Type II)
SN1993J
SN1999gq
SN1998S

 


SN1987Aのリング

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