雑誌『生物の科学 遺伝

2005年9月号(59巻5号)
B5判/112頁/

【特集 動物に由来する感染症 −ウイルス性疾患を中心に−
   
/倉田 毅 企画】

 この40年あまりの間に,ウイルス性疾患だけでも重要なものが30種以上出現しており,その70%以上が動物に由来する感染症である.その背景には,主に人間側の要因によってヒトと動物が接触する機会が増え,動物が所持していて,動物には危害とはならないがヒトには致命的となる病原体に,ヒトが曝露されるようになったことがあろう.
 本特集では,そのような動物由来感染症のうち,SARS(重症急性呼吸器症候群)や鳥インフルエンザなど新しく登場した感染症や,狂犬病などいまだ充分に注意が必要な古くからある疾患について,その問題点を中心に概説する.

    ・特集にあたって(倉田 毅)   →こちらから読めます
    ・動物由来感染症とは(中嶋建介) 
    ・高病原性鳥インフルエンザ─ウイルスとそのパンデミック対策(西藤岳彦) 
    ・ヒト新型インフルエンザ─高病原性鳥インフルエンザによる(長谷川秀樹・一戸猛志) 
    ・ウエストナイル熱/脳炎(林 昌宏・高崎智彦) 
    ・SARS(重症急性呼吸器症候群)(1)─肺病変と病態(中島典子・佐多徹太郎) 
    ・SARS(重症急性呼吸器症候群)(2)─SARSコロナウイルス(福士秀悦) 
    ・コラム:臨床疫学的なSARSの問題点(谷口清州) 
    ・狂犬病(井上 智) 
    ・E型肝炎(李 天成・武田直和) 
    ・BSE(牛海綿状脳症)とvCJD(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病) 
      (岩田奈織子・佐多徹太郎)
【トピックス】
    ・マダガスカルの冬眠するサル(中込弥男)
    ・高齢者の身体は若者の血で若返る(中込弥男) 
【今月の話題】
    ・モチアワの起源 −分子遺伝学と民族植物学(福永健二・河瀬真琴)
    ・メスの多様な適応戦略 −カドフシアリの柔軟な発生様式(村上貴弘) 
    ・無脊椎動物から脊椎動物への進化の境界にいる動物たち 
     −シンポジウム「境界動物の生物学」開催報告
      (森澤正昭・窪川かおる・森澤幸子)
【連 載】
    表紙によせて/「山の秋」(本橋英二)
    ウチの目玉収蔵品 紹介(25)/福井県立恐竜博物館 
      《世界最古の花:アルカエフルクトゥス Archaefructus の復元模型 》/
      《フクイラプトル Fukuiraptor kitadaniensis の骨格標本》
    生き物の不思議(21)/ 
      昆虫がつくる植物のかたち −エゴノネコアシアブラムシのゴ−ル形成の謎(深津武馬・徳田 誠)
    野生動物はいま −人との軋轢の中で(3)/ 
      ツキノワグマはいま(羽澄俊裕)
    環境保全の現状(42)/ 
      外来生物法とオオクチバス −特定外来生物指定をめぐる攻防(瀬能 宏)
    研究室・研究所めぐり(58)/ 
      独立行政法人 国立環境研究所 環境研究基盤技術ラボラトリー(渡邉 信)
    がんばれ生物クラブ(19)/ 
      函館白百合学園中学高等学校 −アサガオ類の研究(中村信雄)
    実験・観察のページ(308)/ 
      アメリカザリガニの解剖マニュアルと図譜の製作(渡辺採朗)
    生物ライブラリー/ 
      『生命科学者、現代を語る
      『パンダの死体はよみがえる』
      『〈新〉地球温暖化とその影響
      『DNAから見た日本人』
      『トンボと自然観』
      『カブトムシと進化論』
      『ナメクジウオ』
      『DDBJの利用法』



         

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