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物理学レクチャーコース
量子力学入門
Introduction to Quantum Mechanics
神戸大学教授 博士(理学) 伏屋雄紀 著
A5判/2色刷/256頁/定価2860円(本体2600円+税10%)/2024年10月1日発行
ISBN 978-4-7853-2414-8
C3042
物理学の教育・学びの双方に役立つ21世紀の新たなガイドとなることを目指し、多様化する“大学の講義と学生のニーズ”に応えるテキストとして刊行中の『物理学レクチャーコース』の一冊である。
本シリーズでは、講義する先生の目線で内容を吟味する編集委員に加え、国立科学博物館認定サイエンスコミュニケーターの須貝駿貴さんと予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」講師のヨビノリたくみさんに編集サポーターとして加わっていただき、学習する読者の目線で、テキストの内容がよりわかりやすく、より魅力的なものになるように内容を吟味していただいていることも、大きな特徴の一つとなっている。
本書では、量子力学の入門書として、その魅力や面白さを伝えることを第一に考えた。量子力学の面白さは何といっても、その謎解きの物語にあり、直感とは相容れない不思議な現象の数々を先人たちが一つずつ解き明かしていく様を見ることは、どんな推理小説にも負けない、最高の知的エンターテインメントといえよう。
さらに、その謎解きの物語を通して、先人たちの創意工夫を学ぶことにも注力した。標準的な量子力学のテキストは、量子力学に関する知識を速やかに吸収し、学んだことを様々な問題に応用できる人材を養成するには適しているかも知れない。しかし、既存の概念を覆し、新しい概念を生み出すような創造的な仕事を成し遂げるための訓練という観点からは、歴史的な経緯に沿って学ぶというアプローチも効果的と考えた。したがって本書は、量子力学の初学者はもとより、すでに一通り学んだことのある方々にとっても、きっと新たな視点を提供できるであろう。
本書の読者の中から、既存の概念を覆し、新しい概念を生み出す、真の開拓者が現れることを心より願っている。
サポート情報
◎ 教科書採用の先生方に講義用の図表ファイルをご用意しました。 ファイルのご利用は講義のみに限らせていただきます。
◎ 補足事項 (pdfファイル、2024/9/18掲載)
◎ TrainingとPracticeの詳細解答 (pdfファイル、2024/9/18掲載)
◎ はしがき
◎ 索引 (以上pdfファイル)
◎ 正誤表 (pdfファイル)
「物理学レクチャーコース」編集サポーターのお仕事紹介 Part.2
「物理学レクチャーコース」編集サポーターのお仕事紹介 Part.1
1.量子の誕生
2.前期量子論
3.量子力学の誕生 〜行列力学〜
4.量子力学の展開 〜波動力学〜
5.量子力学の深化 〜統計的解釈と不確定性原理〜
6.スピンと排他原理から原子の構造へ
7.相対論的量子力学
はしがき (pdfファイル)
1.量子の誕生
1.1 革命前夜
1.2 古典論では理解できない!
1.2.1 レイリーとジーンズの理論
1.2.2 ウィーンの理論
1.3 エネルギー量子
1.3.1 プランクの“発見”
1.3.2 プランク定数
1.3.3 プランクの公式の直観的理解
1.4 光は波か,それとも粒子か
1.4.1 光電効果
1.4.2 コンプトン散乱
本章のPoint
Practice
2.前期量子論
2.1 原子のスペクトル
2.2 原子の構造
2.2.1 初期の原子模型
2.2.2 ラザフォードのα線の散乱実験と原子模型
2.3 ボーアの量子論
2.3.1 離散的なエネルギーと定常状態
2.3.2 ボーアとリュードベリとの関係
2.3.3 古典物理学に基づく考察から原子の構造に迫る
2.3.4 量子化条件
2.4 ボーアの量子論から見た原子の姿
2.4.1 角運動量
2.4.2 磁気モーメント
2.5 ボーア‐ゾンマーフェルトの量子化条件
2.6 フランク‐ヘルツの実験
本章のPoint
Practice
3.量子力学の誕生 〜行列力学〜
3.1 ハイゼンベルクの突破口
3.1.1 観測可能な量だけで組み立てる
3.1.2 乗法の規則
3.2 行列力学の誕生
3.3 量子世界の暗号を解読する
3.3.1 離散量と連続量の関係
3.3.2 量子力学の根本原理 −正準交換関係−
3.4 運動方程式
3.5 行列力学における調和振動子
3.6 固有値問題としての行列力学
3.6.1 ユニタリ変換
3.6.2 ハミルトニアンの対角化
本章のPoint
Practice
4.量子力学の展開 〜波動力学〜
4.1 ド・ブロイの物質波
4.2 デヴィッソン‐ガーマーとトムソンの実験
4.2.1 物質波を検証するには
4.2.2 実際に捉えれた物質波
4.3 波動力学の誕生
4.3.1 古典力学における波動方程式
4.3.2 シュレーディンガーの波動方程式
4.4 波動力学における調和振動子
4.4.1 エルミート多項式
4.4.2 調和振動子の例からわかること
4.5 行列力学と波動力学の深いつながり
4.5.1 調和振動子から見たつながり
4.5.2 行列と演算子の対応
4.5.3 一般化されたシュレーディンガー方程式を行列力学から導く
4.6 時間に依存するシュレーディンガー方程式
本章のPoint
Practice
5.量子力学の深化 〜統計的解釈と不確定性原理〜
5.1 二重スリットの実験
5.2 残された問題
5.3 波動関数の正体は?
5.3.1 確率密度
5.3.2 波動関数の統計的解釈
5.3.3 波動関数の重ね合わせ
5.4 物理量の期待値とエーレンフェストの定理
5.5 不確定性原理
5.5.1 マクロな世界における運動の観測
5.5.2 ミクロな世界における運動の観測
5.5.3 不確定性原理の確立
5.6 二重スリットの実験,再び
5.6.1 どちらのスリットを通ったか?
5.6.2 なぜ干渉縞が現れるのか?
5.6.3 波動関数の収縮
本章のPoint
Practice
6.スピンと排他原理から原子の構造へ
6.1 メンデレーエフの周期律
6.2 水素原子
6.2.1 球面調和関数
6.2.2 3つの量子数と動径波動関数
6.3 軌道角運動量
6.4 磁場中の電子とゼーマン効果
6.4.1 磁場中のシュレーディンガー方程式
6.4.2 ゼーマン効果
6.5 新たな謎 −スピンの登場−
6.5.1 第4の量子数
6.5.2 シュテルン‐ゲルラッハの実験
6.5.3 スピン角運動量とスピン磁気モーメント
6.6 スピンの性質
6.6.1 交換関係とパウリ行列
6.6.2 スピンと固有関数
6.6.3 スピン軌道相互作用
6.7 周期表を量子力学で読み解く
6.7.1 パウリの排他原理と周期律
6.7.2 元素の周期表と量子力学
本章のPoint
Practice
7.相対論的量子力学
7.1 相対性理論と量子力学の融合を目指して
7.1.1 「相対論的」とはどういうことか?
7.1.2 クライン‐ゴルドン方程式
7.2 ディラック方程式
7.2.1 奇想天外な因数分解とディラック行列
7.2.2 ディラック方程式の誕生
7.3 電磁場中のディラック電子
7.3.1 ディラック方程式の非相対論展開
7.3.2 スピンの正体がついに!
7.3.3 スピン軌道相互作用まで!
7.4 ディラック方程式の成果
7.5 陽電子と反粒子
7.5.1 ディラック電子のエネルギー
7.5.2 ディラックの新たな仮説
7.5.3 陽電子の発見
本章のPoint
Practice
付録
TrainingとPracticeの略解
索引 (pdfファイル)
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伏屋 雄紀
ふせや ゆうき
大阪大学基礎工学部卒業、大阪大学大学院基礎工学研究科修了。大阪大学助教、電気通信大学准教授・教授などを経て現職。主な著書に『基礎物理学 電磁気学』(共著、培風館)などがある。
(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)
物理学講義 量子力学入門
量子論(新装版)
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