柏 太郎
かしわ たろう
1949年 東京都生まれ。名古屋大学大学院理学研究科修了。九州大学助手・助教授、愛媛大学大教授などを歴任。専攻は素粒子論、場の量子論。主な著書に『新版 演習 場の量子論』(サイエンス社)、『量子場を学ぶための場の解析力学入門』(共著、講談社サイエンティフィク、2004年)、『経路積分の方法』(共著、岩波書店)などがある。
(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)
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【電子書籍】
量子力学選書
経路積分 −例題と演習−
Path Integrals −Exercises and Practices−
愛媛大学名誉教授 理博 柏 太郎 著
標準価格5390円(本体4900円+税10%)/2020年8月電子版発行/
eISBN 978-4-7853-7341-2
かの天才物理学者ファインマンが産み出した理論的手法である“経路積分”。通常、場の量子論を記述する上で正統的・厳密的な方法は正準量子化であるが、これと基本的には対等である経路積分(による量子化)は、直観的見通しのしやすさと扱いのしやすさなどから、素粒子理論をはじめとして物性理論や化学の分野にまで広く浸透し使われるに至っている。この手法を用いることで、場の量子論において対称性を見通しやすくすることができたり、ゲージ場の量子化を行うときに正準量子化よりも容易にできるといった利点が挙げられる。
このように、広く現代物理学を扱う上で強力な道具となりうる経路積分について、長年場の量子論の研究をしてきた著者が、“扱いやすさ”を念頭におき、できうる限り丁寧に解説することを心がけて執筆した。
読者の実力養成のために、多くの例題と練習問題(節末問題)を配置することで便宜も図った。巻末の付録にはこれらの計算で用いる公式を(証明も含めて)挙げておいたので、折に触れ行きつ戻りつ、手を動かしながら読み進めていかれることを願っている。
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※この電子書籍は,2016年に刊行された『経路積分』(第1版2刷)を元に電子書籍化したものです.
サポート情報
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◎ はじめに
◎ 事項索引
◎ 欧文索引 (以上 pdfファイル)
◎ [“紙”の書籍]正誤表 (pdfファイル)
1.入り口
2.経路積分表示
3.統計力学と経路積分のユークリッド表示
4.経路積分計算の基礎
5.経路積分計算の方法
はじめに (pdfファイル)
1.入り口
1.1 電子の状態 −状態・ケット・ブラ・演算子−
1.1.1 電子線によるヤングの干渉実験
1.1.2 演算子・固有ケット
練習問題
1.2 位置完全性・位置演算子
1.2.1 位置の完全性と位置演算子
1.2.2 期待値・交換関係
練習問題
1.3 並進と運動量演算子
1.3.1 並進演算子と運動量演算子
1.3.2 位置・運動量演算子の交換関係
1.3.3 運動量の固有ケットと内積
練習問題
1.4 状態の時間変化
1.4.1 時間推進演算子
1.4.2 シュレディンガー方程式・ハイゼンベルグ表示
1.4.3 ファインマン核
練習問題
2.経路積分表示
2.1 ファインマン核の経路積分表示
2.1.1 経路積分表示
2.1.2 経路積分という意味
2.1.3 α-順序での経路積分表示
練習問題
2.2 もう1つの経路積分表示
2.2.1 生成・消滅演算子 −個数表示−
2.2.2 コヒーレント状態
2.2.3 経路積分表示
2.2.4 自由度f
練習問題
2.3 フェルミ粒子の経路積分表示
2.3.1 フェルミ系
2.3.2 フェルミ系のコヒーレント状態
2.3.3 グラスマン積分
2.3.4 自由度fのフェルミ系
2.3.5 経路積分表示
2.3.6 グラスマン数の変数変換・微分
練習問題
3.統計力学と経路積分のユークリッド表示
3.1 統計力学の復習
3.1.1 密度行列・密度演算子
3.1.2 分配関数
練習問題
3.2 統計力学と経路積分
3.2.1 分配関数の経路積分表示 −ユークリッド経路積分−
3.2.2 ユークリッド経路積分の有効性
3.2.3 ボース・フェルミ分配関数の経路積分表示
練習問題
4.経路積分計算の基礎
4.1 調和振動子の経路積分
4.1.1 ファインマン核の前因子・古典部分
4.1.2 古典解
4.1.3 古典作用
4.1.4 前因子 −行列式法−
4.1.5 ファインマン核
練習問題
4.2 調和振動子の分配関数
4.2.1 ユークリッド核の古典部分・前因子
4.2.2 古典解・古典作用
4.2.3 前因子 −固有関数法−
4.2.4 ユークリッド核
4.2.5 分配関数
4.2.6 基底状態の取り出し
4.2.7 トレース公式からの分配関数
4.3 ボース系の分配関数
4.3.1 ユークリッド核の経路積分表示
4.3.2 古典解・古典作用
4.3.3 前因子
4.3.4 分配関数
練習問題
4.4 フェルミ系の分配関数
4.4.1 トレース公式からの分配関数
4.4.2 前因子・プロパゲーター
4.4.3 分配関数
練習問題
4.5 連続表示での経路積分
4.5.1 調和振動子の分配関数 −ソース部分−
4.5.2 調和振動子の分布関数 −関数行列式−
4.5.3 調和振動子のファインマン核
4.5.4 ボース・フェルミ分配関数
4.5.5 結果の吟味
練習問題
5.経路積分計算の方法
5.1 摂動論
5.1.1 ソースの役割
5.1.2 摂動展開
5.1.3 ファインマングラフ
5.1.4 1次グラフ
5.1.5 2次グラフ
5.1.6 ユークリッド核・分配関数
5.1.7 ボース・フェルミ系ユークリッド核
5.1.8 ボース・フェルミ系ソースの役割
5.1.9 ユークリッド核のファインマングラフ
5.1.10 ボース・フェルミ分配関数
練習問題
5.2 WKB近似 −ループ展開−
5.2.1 積分とループ展開
5.2.2 分配関数に対するWKB近似
練習問題
5.3 補助場の方法
5.3.1 積分での補助場
5.3.2 4体フェルミ系での補助場
5.3.3 4体相互作用での補助場の役割
5.3.4 古典解・ギャップ方程式
5.3.5 安定条件
5.3.6 トゥリーと1ループ近似
5.3.7 2ループ近似のバーテックス
5.3.8 2ループグラフ(1)−4点バーテックス−
5.3.9 2ループグラフ(2)−3点バーテックス−
5.3.10 2ループグラフ(3)−3点バーテックス−
5.3.11 2ループグラフ(4)−3点バーテックス−
練習問題
付録
A.解析力学の復習
A.1 作用原理
A.2 正準形式
A.3 正準変換
A.4 ポアッソン括弧式
B.グリーン関数と演算子のT(時間)積
B.1 ファインマン核
B.2 ユークリッド核
B.3 分配関数
B.4 ボースユークリッド核
B.5 ボース 分配関数
B.6 フェルミユークリッド核と分配関数
C.デルタ関数とシータ関数
C.1 デルタ関数の定義
C.2 フーリエ変換とガウス関数表示
C.3 分数関数表示
C.4 主値積分とデルタ関数
C.5 デルタ関数の性質
C.6 合成関数のデルタ関数
C.7 シータ関数
C.8 デルタ関数とシータ関数
D.ガウス積分公式
D.1 1次元ガウス積分(1)
D.2 1次元ガウス積分(2)
D.3 多次元ガウス積分(1)
D.4 多次元ガウス積分(2)
D.5 複素ガウス積分(1)
D.6 複素ガウス積分(2)
D.7 グラスマンガウス積分
E.分配関数で必要な無限和を含む公式
E.1 ユークリッド経路積分で現れる公式
E.2 経路積分で現れる公式
E.3 無限和とデルタ関数 −直交関数の完全性−
F.±1のN乗根に関する公式
F.1 因数分解・べきの和・積
F.2 プロパゲーター(グリーン関数)の導出公式
F.3 cos(2πr /N )を含む和公式
G.参考文献
練習問題解答
事項索引 (pdfファイル)
欧文索引 (pdfファイル)
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